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「あなたが“福祉”と出会って気づいたことは?」── 〈こここ〉5周年に寄せられたメッセージ
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社会に関係のない人がいないように、福祉に関係のない人もいない

「社会に関係のない人がいないように、福祉に関係のない人もいません」

2021年4月、〈こここ〉はこんなメッセージを掲げ、「福祉をたずねるクリエイティブマガジン」として創刊しました。この5年間、編集部としてさまざまな“福祉”をたずね、ますますその実感を深めています。現代社会に生きる私たち一人ひとりは、生まれたその瞬間から深く福祉と関わり続け、そして福祉のそばで命を終えていきます。

それでも、忙しい日々を過ごしていると、“福祉”が遠くに感じることがあります。今の自分に必要な仕組みではないような気がしたり、「困っている人」のためのものだと限定的に考えたり……しかしある瞬間、急にぐっと身近に迫ってくることも少なくないのです。それが“福祉”という概念の不思議な存在感でもあります。人が生きていく基盤にある概念だからこそ、見えにくいのかもしれません。あるいは、あまりにも「生きること」に密接なため、その生々しさから目を逸らそうという意識が働くのかもしれません。

〈こここ〉がたずねてきた“福祉”には、いわゆる福祉制度によって運営されている現場(=いわゆる「社会福祉」)も、より広義の、生きやすい環境や社会をつくるような取り組み・考え方・態度(=語義である「人の幸せ」)も含んでいます。たずね、出会うたびに、福祉から学ぶことがたくさんありました。そしてそれは決して一部の人のものではないはず。

そこで、〈こここ〉5周年記念企画として、読者・関係者・編集部メンバーから「わたしが“福祉”と出会って気づいた100のこと」を募集しました

「具体的なエピソードというよりは、あなた自身が“福祉”にまつわる人・もの・ことに出会って気づいたこと、はっとしたことなどを伺えればと思います。この場合の“福祉”は、いわゆる福祉施設や福祉サービスに直接的に関わることでなくてもかまいません(本、人、言葉、商品、作品、考え方などなんでも)」

そんな問いかけに対して、寄せられたメッセージを一部ご紹介します。

わたしが“福祉”と出会って気づいた100のこと

変化は対応すべきこと、対処すべきことではなくて、自分やその人が向き合う契機、どうしたいか希望や想いを考える契機だということ。

(30代・元介護職)

人の人生に触れること。それが福祉のはじまりであり、私たちが共に生きていく上で必要不可欠な、改めて大切にしなければならないものなのかなと思ってきました。

(30代・建築家)

将来や過去の心配やしがらみにとらわれず、今この瞬間をあるがまま生きている方々がいるという事を知った

(30代)

世界が、自分の見えていたものよりもはるかに複雑なグラデーションで成り立っていること

(こここ編集部・佐々木将史)

救ってくれた場所、生きがい、ほっとする場所

(40代)

今世の乗り物がそれぞれなだけ

(40代・海の街で暮らす人)

こうじゃなければいけない!ではなく、それいいな!なにそれ、素敵!にたくさん出会える。

(20代・旅人)

差別の存在やそれを生む社会構造について、深く考えずに生きてこれたということ

(こここ編集部・垣花つや子)

気づかなかったこと、見えなかったことが見えるようになった

(50代・旅したい画家)

より世界がカオスに感じた

(50代・生活芸術推進家)

私は、大人の発達障害当事者兼発達障害(ASD)・はざま(境界知能)の当事者の親です。なので、自分の二次障害(気分障害という精神疾患、過去約8年間の摂食障害など)からくる生きづらさと向き合えるようになったり、福祉に支えてもらって漸く「生きやすい」と思えるようになったり。社会的障壁を抱える人の“生きづらさを軽くしてくれる仕組み”だと感じるようになりました。

(学ぶことが好きな主婦・30代)

居場所があるようなないような。家って何なのだろう居場所って何なのだろうと考えるようになりました。

(20代・専門学生)

その人がその人のままで居られることを考えながら働いている人や仕事が、こんなにもたくさんあるということ。

(こここ編集部・ちばひなこ)

支援する側と支援される側。いつの間にか自分は支援する側であり、サービス提供する側だと思っていたが、その逆も同じくらいある。支援員ではあるが、利用者さんから教えられる事が多い。

(40代・福祉職)

「人間」を社会構造・環境・時間軸の視点でとらえること

(こここ編集部・中田一会)

全てのスタートは自分 福祉を学んぶことは自分を救う 自分の道を正すことにより他者への配慮もできるようになった

(30代・移動大好きまん)

「より豊かに」「よりたのしく」で、すでにある問題にふたをして誤魔化すことよりも、お互いの生活や健康で文化的な生活を願い行動することが大事

(こここ編集部・垣花つや子)

自分の気持ちにもっと正直で、素直であっていいということ。

(30代・相談員)

福祉の仕事のやりがいは、支援する・されるという関係を超え、互いに影響し合いながら人としてつながれる瞬間にあった。

(30代・福祉職)

困ったとき、しんどいとき、悩んだとき、「わたしのせい」と引き取らなくていいこと

(こここ編集部・中田一会)

ひとりひとりの「身体」「心身」が大切にされ、その声がもたらすものに繊細であること

(こここ編集部・及川卓也)

「福祉」とは「しあわせ」だから色々な人とつながって出会って、向き合うことができるのでそれがとても楽しい!

(40代・福祉職(広い意味でクリエイターかなと))

人がしあわせに生きるあり方は本当に様々だということ。自分が本当に狭い場所で生きてきたということ。

(こここ編集部・杉本杏菜)

社会の当たり前に焦点を合わせるのではなく、その人という存在に目を向けること。

(こここ編集部・岩中可南子)

ひとりひとりのワールドが豊かすぎて、面白すぎること

(50代・中学校の教員(支援学級・通級))

「わたしとあなたは、同じ世界を生きている」ということ。障害の有無や年齢や価値観や、いろんなものを超えて、みんな一緒にこの世界を生きているんだなと思いました。

(30代)

困りごとの背景には、見落とされている前提や設計があるのかもしれないこと

(こここ編集部・ちばひなこ)

子どもを通して、知的障がい者の可能性を感じたこと

(40代・主婦、美容サロンオーナー、就労支援員、市民団体代表)

自分自身の感情や声から何かを始めることが、想像以上にできていなかったこと

(こここ編集部・佐々木将史)

命の尊さでしょうか。ひとりひとり違って良い!凸凹でも素晴らしい!

(50代・相談員)

面白がる姿勢が余白を生む、関係を豊かにする。

(こここ編集部・岩中可南子)

喃語のみのコミュニケーションでも、魂から通じ合えた!と実感してふるえた。

(40代・人とヒト、モノやコトをくっつけるのが好き)

哲学(倫理)が存在し、「有用性」というしがらみから逃れ、「そのままある/いる」が尊重されること

(こここ編集部・及川卓也)

これまであった不均衡に対して、さまざまな人が声をあげ、訴えてきたからこそ、生まれ改善された制度や仕組みがあること

(こここ編集部・垣花つや子)

「選択肢がある」、それを「自分で選べる」ことが、人の尊厳や幸せに深く関わっているということ

(こここ編集部・佐々木将史)

使える言葉の数がとても少ないのに、相手を幸せにするコミュニケーション能力がとても高い人がたくさんいるということ。選択肢がとても少ないのに、自由な心でいられる人がたくさんいるということ。人々の世界や価値観を広げてくれて、人々に安心を与えてくれる人がたくさんいるということ。表現活動において特別な才能を発揮する人がたくさんいるということ。福祉職についていると、そうした人の自由を奪ってしまう側にも立っていることがあるということ。

(60代・福祉職)

愛する という言葉の意味が、現場での振り返りを経て日々感じています。人間同士、他者に対しての気持ちや想いがこんなにも、自分からチームから生まれることの面白さの景色が愛だったんだなぁと。

(40代・伴歩人)

「ことば」は想像以上に多様なこと、わたしが使っている「ことば」はとても限定的であること

(こここ編集部・中田一会)

ことばにならないものは見落とされやすく、“言葉”になった途端に社会の枠組みの中で意味づけられていくこと

(こここ編集部・ちばひなこ)

考えても考えても、答えは出ず、とっても疲れる。でも、時には休みながらも考え続けている人たちがいること、その存在を近くに感じられることはとても心強い。

(こここ編集部・杉本杏菜)

自分の生きている世界以外に、たくさんの見えていなかった世界があること。

(こここ編集部・岩中可南子)

*投稿いただいたメッセージと編集部メンバーの気づきを一部抜粋し、順不同で掲載しました

これからも“福祉”をたずね、共有していきたい

以上、「わたしが“福祉”と出会って気づいた100のこと」でした。メッセージをお寄せいただいた皆様、本当にありがとうございます。

「100のこと」は「たくさん」という意味で呼びかけさせていただきました。まだまだもっともっとたくさんの「気づいたこと」があるはずです。〈こここ〉はこれからも福祉をたずね、その場で育まれる知恵や試行錯誤、感情、関係に学びながら、関わってくださる皆さんと共有していきたいと思います。

(撮影:馬場真海)