個と個で一緒にできること。福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉マガジンハウス

こここ編集部より

はじめまして、こんにちは。〈こここ〉を創刊しました。
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はじめまして

はじめまして。こんにちは。ウェブマガジン〈こここ〉編集長の中田一会(かずえ)と申します。

〈こここ〉は、本日2021年4月15日にオープンしました。約半年の準備期間がとても長い道のりだった気も、あっという間だった気もします。ぐるぐる悩みながら、しばしば立ち止まりながら、進んできました。こうしてようやくお披露目できることを心より嬉しく思います。

訪れてくださった方へ

生まれたての〈こここ〉に関心を寄せていただき、本当にありがとうございます。どんなご縁でこんな片隅のブログ記事までご覧いただいているのかな……と、私は今、自宅のデスクから想像を巡らせています。

たとえば、「気になっていた人が出ている!」と、記事のひとつが入り口になったのかもしれません。嬉しいです! 気が合いますね。〈こここ〉でたずねる先は多くの人に直接会っていただきたい人であり、訪れていただきたい活動です。

もしかしたら、「なんだかわからないし、福祉とかクリエイティブとか言われてもピンとこないけど、気になったので読んでみた」という方もいるかもしれませんね。それもとても嬉しいです! そういう「なんだか気になる」の種をどうやってつくれるかなと試行錯誤しています。

ひょっとしたら、「こういうメディアを待っていた!」と思ってくださったのかもしれません。

……というのは、私の願望ですが、いつかはそう言っていただけるよう、悩み考えながら〈こここ〉を育てていきたいと思います。

こんな時代だからこそ

最初に「自宅のデスクから」と書きましたが、〈こここ〉編集部はフルリモートで立ち上がりました。

新型コロナウイルスが世界を席巻している最中に立ち上がったメディアです。私も編集部メンバーも、みんなそれぞれの場所からオンラインでアイデアを出し合い、話し合い、企画を進めています。取材先には感染対策を相談した上で訪問したり、あるいは遠隔でお話をうかがっています。数々の媒体を生み出してきたマガジンハウスの長い歴史のなかでも、おそらく珍しい創刊の形でしょう。

なんという時代にはじまるのだろう。と、正直思います。同時に、こんなときだからこそ〈こここ〉をはじめられてよかったとも感じています。

「少しの違い」が亀裂を生む

私自身もこの1年、コロナ禍による変化に大きく翻弄されました。人間関係や住まい、働き方に悩み続け、ようやく自分なりの生き方が見つかったと思った矢先のパンデミックです。

閉ざされた場所で、それまでセーフティネットとして機能してきたものが一本ずつ途切れていく様子を(比喩ではなく)泣きながら眺めました。頼りにしていた関係性が失われ、日常の基盤が揺らぎ、孤独と不安に苛まれる日々。同じように不安を抱えた人々の声が、SNSを通じて大きくなり、ときに衝突する様子に怯えもしました。

どうやら未知の不安の前には「少しの違い」が亀裂を生むようです。ここ数年、キーフレーズのように繰り返されてきた「多様性」という言葉が、暗い影を帯びはじめたような気がしました。

そう、みんな少しずつ違います。あるいは、大きく違います。目に見える違いもそうではない違いもあります。心身に関わる違いも社会構造に紐づく違いもあります。ようやく世の中全体でその解像度が上がってきたところだったのに。悲しく、悔しい気持ちになりました。そんな最中にやってきたご縁が、「創造性」を入り口に「福祉」の世界に出会っていこうというウェブメディアの創刊企画でした。

――今、こんなときだからこそ、やってみたらいいのかもしれない。

自信なんて欠片もないですが、私は一歩を踏み出すことにしました。そうして、めらめらと燃える憤りをポケットに忍ばせ、そろそろと言葉を探し、うろうろと仲間を集り、産声を上げたのが〈こここ〉です。

合言葉は「個と個で一緒にできること」

「ともに」を表す英語の接頭辞「Co-」と、日本語の「個」をかけて〈こここ〉。

呼びやすくて親しみやすい、なおかつ意思のある人間みたいなウェブマガジンにしようと考えました。

最初に編集部に入ってくれた垣花つや子さんが「個がみっつでちゃんと“社会”の形になるところがいいですね!」と言ってくれたとき、正直そこまで考えてなかったので「なるほどね!」と驚いたのを覚えています。嬉しかったです。こうやって人から意味を見いだされるものいいなと感じました(垣花さん、あのときは本当にありがとう)。

問われる「こここ」

字面としてはちょっと間抜けな感じもする〈こここ〉は、合言葉の「個と個で一緒にできること」を掲げて、日々私に問います。

「一人ひとりみんな違う。それはわかった。じゃあ、具体的にどう違うの? そしてどうしたいの? 何ができる? あなたはどの立場でどう考える?」

……大きな宿題です。ちっとも答えはでません。「こうすればいいよ!」「これが近道だよ!」という旗振りはとてもできそうにありません。お約束できるのは、ずっと悩み続けるということだけ。さまざまな人の考えや活動をたずね、お話を伺いながら、読者も含めた多くの人とともに考えていきたいと思います。

その想いは、「こここについて」という文章にも綴りました。よかったら読んでみていただけると嬉しいです。そのなかでこんな風に書いています。

“そもそも「福祉」とは、「幸福」を指す言葉。

「社会」に関係のない人がいないように、「福祉」に関係のない人もいません。この世界に生きる“わたしたち”みんなに関わること、それが福祉だと〈こここ〉は考えています。

でも多くの人にとって、まだまだ福祉は身近なものではないのかもしれません。だから〈こここ〉では、「クリエイティブな福祉」の活動をたずね、「福祉に宿るクリエイティビティ」をたずねることで、読者と一緒に旅をしてみたいのです。”

「福祉」に関係のない人はいない

「福祉」に関係のない人はいない。〈こここ〉は、そこを足場に福祉をたずねる旅をはじめたいと思います。

ずいぶんぼんやりとした思いを書き連ねてきましたが、「個と個」を掲げるならばと等身大の自分の言葉ではじめさせていただきました。この時代に生まれるメディアだからこそ、弱くて悩んでるぐらいでもいいのかなと今は考えています。

もし関心を持っていただけたなら、ぜひこれからも〈こここ〉におとずれていただけると嬉しいです。この先も悩み、躓きながら、「個と個で一緒にできること」を考えていきます。それは今、この文章を読んでくれたあなたと私、そしてこれから出会う誰かと、です。

一緒に出かけてみましょう。編集部(私だけでなく他のメンバーも!)はこのお手紙のようなコーナーで、福祉をたずねる旅の過程もお届けしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

(編集長 中田一会)

こどもたちがじゃんぷしながらかわのなかのいわをわたっていくしゃしん
「福祉のしごとにん vol.01」の取材でたずねた、岡山県の放課後等デイサービス「ホハル」での一場面。「探検に行こう!」というホハルの子達についていったら、結構な川渡りをすることに。今にもすべりそうな岩場の上で「ま、負けてられない!! 」と、思いました。ホハルのみんなに勇気をもらって〈こここ〉も一歩一歩進みます。(撮影:川瀬一絵)