こここ編集部より
編集後記・みねやま福祉会──児童養護施設の訪問から、寄稿「『言わなきゃわからない』の向こう側」まで
編集後記
京都北部で福祉事業を展開する〈社会福祉法人みねやま福祉会〉さんを訪問したのは、2024年の12月頭。早いもので、まもなく1年になろうとしています。
〈みねやま福祉会〉さんの運営する福祉施設は約30あり、原点でもある児童福祉分野だけでなく、さまざまな障害福祉、高齢者福祉に関わる施設があります。今回の取材では、2018年にオープンし当時建築で注目を集めた「てらす峰夢」(京丹後市)と、ごちゃまぜの福祉を掲げる「マ・ルート」(宮津市)を訪問しました。
このブログでは記事に載せきれなかった写真とともに、改めて取材の内容や、インタビューに応じてくださった櫛田啓さんにその後いただいた「言葉のもやもや歩き」への寄稿を振り返ってみたいと思います。(編集部:佐々木将史)
こここスタディ「家庭ってなんだろう?」
〈こここ〉で訪れたいと思いつつ、実現できていなかった児童養護施設の初訪問。子どもたちの生活空間であることに配慮しながらも、「社会的養護」について考える機会をつくりたい……そんな意図をお伝えするなかで、平日の午前、子どもたちが学校に通っている時間に取材をさせていただきました。
「てらす峰夢」で行われている養育や、職員の方々のまなざしについて、読者が(何より僕が)少しでも自分ごととして考えられるように、今回は“家庭”という言葉をテーマに置いています。
“家庭”や“家庭的”は、福祉の分野では基本的に「重要なもの」として捉えられる概念ですが、実際にはこの言葉に苦しい感情を覚える方も少なくないと感じます。施設長の櫛田さんへのインタビューは、僕らが“家庭”という言葉に本来込めるべき要素が浮かび上がってくる、刺激的な時間となりました。
公開後、記事への反響がしっかりあったぶん、この話が今後も読まれ続けるにはどうすればいいかと、公開して半年たった今も考え続けています。
なお、櫛田さんにはその後、別の寄稿シリーズで、“「言わなきゃわからない」の向こう側”をテーマに文章を寄せていただいてます。毎回三者三様の切り口が、言葉の幅を広げてくれる連載ですが、今回のテーマには児童福祉の現場を知る人のまなざしがぜひほしい、と思ってお願いをしました。
タイトル「本当の気持ちは、最後に⾔葉になった」は、初稿が届いた時点で添えられていたものを、実はそのまま使っています。見事な文章なので、まだの方はぜひ。
こここ訪問記事「福祉ってなんだろう?」
「てらす峰夢」を後にした取材チームは、車で30分ほど離れた、隣の市にある「マ・ルート」へ。こちらは2017年にオープンした、児童福祉・障害福祉・高齢者福祉の3分野が同じ建物に入った複合型施設です。
ここでは現場で生活支援員として働く清水真実さんに、まずは全体をご案内いただきながら、施設として掲げる「ごちゃまぜ」の意味を伺っていきました。
今、あちこちの福祉の現場で「地域にひらく」というキーワードが掲げられるようになってきています。「マ・ルート」が目指すように、地域のハブ的な機能を担おうとする事業所も出てきました。制度と制度の間を繋ぎ直す試みには、いわゆる「社会の分断」を乗り越えるヒントがたくさんありそうな気もします。
ただ清水さんも言うように、支援する側が「勝手に人と人とを同じ場に混ぜていいわけではない」。分けられた暮らしを繋ぎ直さないといけない状況も、各福祉分野が高度に専門化したからこそ起きています。そこを一足飛びに解決はできないのだと、お話を伺いながら感じました。
その人がその人らしく生活していくなかで、あくまで結果として「ごちゃまぜ」が生じていく。そういう環境の整え方があるのだ、と教えていただくような取材でした。丹後は京都市内からでもそれなりに時間がかかりますが、今度は自分の子どもたちも連れて、またぜひ行きたいと思います。
(撮影:寺田和代)
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