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求む!83歳以上の画家たち。9~10月に大分県由布市で「東勝吉賞水彩画公募展」が開催
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【絵画】青空の下に山脈が広がっている。手前には川が流れ、黄色い花が咲いている
東勝吉《由布院の春》©︎NPO法人由布院アートストック

応募要件は83歳以上。〈由布院駅アートホール〉にて水彩画公募展「陽はまた昇る」開催

「人生100年時代」と言われる昨今。仕事を続ける方、地域の活動や趣味に取り組む方など、パワフルな人生の先輩たちはたくさんいます。

大分県由布市で、応募資格が83歳以上の「第7回東勝吉賞水彩画公募展 陽はまた昇る」が開かれます。〈由布院駅アートホール〉にて、9月26日(火)から10月27日(金)まで。83歳以上の方が、83歳以上の時に制作した作品が対象です。応募締め切りは7月31日(月)(当日消印有効)。

公募展には「オーバー83の方たちのチャレンジする気持ちを後押ししたい」との思いが込められています。でもなぜ、83歳なのでしょう。原点となっているのは、水彩画家・東勝吉(ひがし かつきち)さんの軌跡です。

83歳で絵筆を握った「勝吉さん」

東勝吉さんの生前の写真

1908年に大分県日田市で生まれた勝吉さんは、木こりなどの仕事をしたあと、78歳で湯布院町(現在の由布市)の老人ホーム〈温水園(ぬくみえん)〉に入所しました。なかなか集団生活に慣れない様子を心配したホームの理事長は、ある日、勝吉さんに絵の具をプレゼントします。「生きがいになれば」との思いからでした。

小学生のころ、「泥棒を捕まえたおまわりさん」の絵を先生に褒められたのを思い出した勝吉さんは、夢中になって水彩画を描き始めます。この時、83歳。新聞や雑誌の切り抜きを題材にし、毎日描き続けました。6年後、初の個展を〈由布院駅アートホール〉で開催するまでに。99歳で亡くなるまで描いた作品は、100点以上にのぼります。

【絵画】帽子をかぶった人が、腰をかがめて草を取っている
東勝吉《草取り》©︎NPO法人由布院アートストック
【絵画】こげ茶色の太い幹、くねくねと伸びる枝、濃い緑色の葉
東勝吉《オニ杉》©︎NPO法人由布院アートストック

2007年に息を引き取ったあとも各地で回顧展が開かれ、最期の半年間に密着したドキュメンタリー映画『99ninety-tine東勝吉99歳孤高の無名画家』(監督:大谷隆広さん)も公開。2021年には、〈東京都美術館〉でのグループ展「Walls&Bridges 世界にふれる、世界を生きる」に作品が展示されました。亡くなったあとも、勝吉さんの絵は多くの人を魅了してきました。

歴代出展者の最高齢は104歳!

何かを始めるのに、遅すぎることなんてない。勝吉さんの作品と人生からは、そんなメッセージが感じ取れます。公募展は、勝吉さんの姿に共感した〈NPO法人由布院アートストック〉と〈ゆふいんアート委員会〉のボランティアスタッフ約30名が運営しています。

〈由布院駅アートホール〉20周年企画として始まったこの公募展は、今回で7回目を迎えました。スタート当初は九州在住者の作品が中心でしたが、次第に口コミで広がり、北海道、東京、愛知、京都、福岡、愛媛など全国各地から応募がくるように。アメリカ、フランス、インドからも出展され、2016年には医師の日野原重明さんも参加しました。歴代出展者の最高齢は、なんと104歳!これまでの展示作品は282点にのぼります。

応募は水彩画のみで、テーマは自由。条件を満たす作品は全て〈由布院駅アートホール〉に展示され、「東勝吉賞」が授与されます。また、参加者には作品が収録された図録が贈られます。

出展者に贈呈される図録

応募条件は
・6号以上20号以内(24.2×27.2〜72.7×60.6cm)
・額装し展示できる状態であること(ご希望の方は実費にて額装対応)
・未発表の作品に限る
・出品料:3,000円 ※一人1点のみ。現金書留、または振込にて受け付け。

ご希望の方は申込用紙に記入し、実行委員会まで郵送またはFAXをお送りください。用紙はホームページからダウンロード、または下記「Information」欄に記載の事務局にお問い合わせください。

絵を描くのが好きな方はもちろん、「新しいことに挑戦してみたい」というオーバー83の方。ぜひこの機会に、参加してみませんか。身近にいる人生の先輩を元気づけたいと思っている方も、ぜひお声掛けしてみてください。