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ゲーミングルームに食堂、中高生のための延長開館……多彩な姿を見せる「児童館」の姿って? 江東区、名古屋市、那覇市などの事例も
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学校が長い休みのこの季節。夏は自由な時間が増える一方で、安心して過ごせる場所が少ない子どもにとっては、リスクが高まるケースもあります。
学校給食がなくなり、十分な食事をとれない子ども。危険な暑さのなか、涼める場所が見つからない子ども。誰かに話を聞いてほしいけれど、どこへ行けばいいのかわからない子ども。
そうして夏休みが終わり、新学期を迎える時期には、学校や家庭、進路などをめぐる悩みが深まりやすいことも指摘されています。
そんなときに思い出してほしい場所のひとつが、地域の児童館です。小学生が放課後に遊ぶ場所を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、その対象は限られているわけではありません。18歳未満の子どもなら誰でも無料で利用できる児童福祉施設として、全国に約4,300か所あり、近年では中学生・高校生に向けた夜間開館や食事の提供、不登校の子どもの居場所づくりなど、地域のニーズに応じた取り組みも広がっています。
児童館や放課後児童クラブなどの活動を支援する〈一般財団法人 児童健全育成推進財団〉は、2026年7月17日(月)から9月16日(水)まで、「じどうかんもあるよ」というメッセージを全国へ発信しています。その言葉に込められた思いと、各地で始まっている児童館の取り組みを紹介します。
18歳未満なら、誰でも無料で利用できる「児童館」
児童館は、児童福祉法に基づいて設置される児童福祉施設です。子どもが自由に遊び、体を動かし、ほかの子どもや地域の人と関わりながら過ごすことができます。館内では「児童厚生員」と呼ばれる専門職員が、遊びやさまざまなプログラムを通して子どもたちの育ちを支えています。
その大きな特徴は、特別な目的や相談事がなくても利用できることです。遊びたいとき、勉強したいとき、少し休みたいとき、誰かと話したいとき。あるいは、何もしたくないときにも立ち寄ることができます。
「支援を受けに行く」と構えなくてもいい。日常のなかで自然に足を運べて、顔なじみの職員や地域の人に見守られる。そうした敷居の低さが、児童館の大切な役割です。いつもの様子を知る大人がいることで、本人が言葉にしにくい困りごとや変化に気づき、必要に応じて相談機関などにつなぐこともできます。
さらに近年は、乳幼児と保護者、小学生だけでなく、中学生・高校生世代が過ごしやすい環境づくりも進んでいます。Wi-Fiや自習スペースを使う。友達とおしゃべりする。音楽やダンス、スポーツを楽しむ。食事を囲みながら、職員に今日あったことをぽつりと話す。
各地の児童館には、子ども・若者が自分らしい距離感で人や社会とつながれる、多様な時間があります。
ゲーミングルームに延長開館……多彩な姿を見せる中高生の居場所づくり事例
東京都江東区では、区内17か所の児童館を中高生世代の居場所「Teen’s Base KOTO」として展開しています。全館にWi-Fiを備え、17時以降は中高生が優先して使える遊びやスペースを用意。学習や読書のための個別スペース、ソファ、ダンス用の鏡やBluetoothスピーカーがある館もあります。
また、同区の亀戸児童館は日曜日を除いて毎日19時まで開館し、毎週水曜日には無料のドリンクを提供。夏休みには祭りや花火などのイベントも予定されています。ひとりで落ち着いて過ごしたい日も、友達と遊びたい日も、それぞれの過ごし方を選べる場所です。
名古屋市内4か所の児童館では、不登校の小中学生を対象とした専用の部屋を館内に設け、平日の日中に利用できる居場所づくりを行っています。子どもたちは部屋のなかで自由に過ごすことができ、常駐する専門職員が相談にも応じます。また、緑児童館では毎週木・金・土曜日に20時まで延長開館し、中高生世代を受け入れています。
学校へ行けない、あるいは行かない時間に、家とは別の居場所があること。そこで「何をするか」を決められなくても、ひとまず安心していられること。児童館が担っているのは、学校への復帰だけを目的としない、子どもの“今の時間”を支える役割でもあります。
夏休みならではの「食」の支援も
学校給食がなくなる夏休みは、家庭の状況によって子どもが十分な食事をとれないことがあり、児童館でも酷暑対策や食支援など、子どもを切れ目なく支える取り組みが行われています。
例えば、沖縄県浦添市の森の子児童センターでは、長期休業中に地域のボランティアと協力し、年齢を問わず週3回の昼食提供を行っています。ここは夏休みに限らず毎週火・木曜日の18時から20時までを中高生世代に向けて夜間開放していて、おにぎりなどの軽食提供もしています。
また、宮城県仙台市の八本松児童館では、2026年度から「中高生世代食堂」が始まっています。毎週火・木曜日と月1回の土曜日、17時から19時は、中高生世代だけが利用できる時間です。訪れた子どもたちは、一緒にごはんを食べながら学校や部活、勉強、その日にあった出来事について話したり、バドミントンや卓球、ダーツを楽しんだりして、思い思いに過ごしています。
こうした食事の提供は、子どもたちの空腹を満たすだけのものではありません。同じものを一緒に食べる時間が、人と人とのあいだに会話を生み、安心してその場にいられるきっかけになることがあります。
「おなかがすいた」「誰かといたい」と言葉にしなくても、いつものおにぎりを目当てに足を運べる。食の支援と居場所づくりを分けずに行う児童館だからこそ、つくれる関係があります。
「助けて」と言えないときには、「じどうかんもあるよ」
一部の地域で児童館は、危険な暑さから身を守るための「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」にも指定されています。屋外で体調に不安を感じたときや家で涼しく過ごすことが難しいときの、一時的な休憩場所としても実は利用できます。
しかし、児童館のこうした新しい側面は、まだあまり知られていません。〈児童健全育成推進財団〉が発信する「じどうかんもあるよ」は、生きづらさやしんどさを感じている子どもたちに、「児童館を安心できる居場所のひとつとして利用してほしい」と伝えるメッセージです。
2025年の小中高生の自殺者数は532人と過去最多となりました。背景はひとつではなく、学校や進路、家庭、健康など、さまざまな問題が複雑に関係しています。特に長期休業明けの前後は子どもの自殺が増える傾向にあることから、同財団は毎年夏休みの始まりから、9月10日〜16日の「自殺予防週間」が終わるまでを発信強化の期間としています。
期間中、全国の児童館ではポスターやカード、館のお便り、ウェブサイト、SNSなどを通じてメッセージを届けています。「LINEで相談して」など、地域や館の状況に合わせた言葉を添えて地図やQRコードを載せたり、子どもたち自身が「スライムつくれるよ」といった、その館ならではのメッセージを考えてポスターをつくったりする例もあります。さらに、児童館を知らない子どもが訪れやすくなるウェルカムデー、中高生向けイベント、夜間の延長開館などの取り組みも年々増えています。
つらさのなかにいるとき、自分から「助けて」と声を上げたり、相談窓口を探したりすることは簡単ではありません。だからこそ、深刻な悩みを話すことを入口にせず、「涼みに行く」「Wi-Fiを使う」「おにぎりを食べる」「友達と遊ぶ」といった日常の延長でたどり着ける場所があることには、大きな意味があります。
もし身近な子どもが、夏休みをどう過ごせばいいか困っていたら。新学期を前に、しんどそうにしていたら。あるいは中高生になり、「もう児童館へ行く年齢ではない」と思っていたら。こんな選択肢もあると、伝えてみてください。
遊んでもいい。勉強してもいい。話しても、話さなくてもいい。
家と学校のほかに行ける場所があること。名前を知っている大人がいること。今日をひとまず過ごせること。その小さな選択肢が、子ども・若者の孤立をやわらげ、必要な支援につながる入口になるかもしれません。
Information
「じどうかんもあるよ」
実施期間:2026年7月17日(金)〜9月16日(水)
主催:一般財団法人 児童健全育成推進財団
協力:全国児童館連絡協議会、全国児童厚生員研究協議会
詳細:児童健全育成推進財団「じどうかんもあるよ」
児童館を探す:児童館情報サイト「コドモネクスト」
※開館日・時間、対象年齢、利用方法、実施内容は施設によって異なります。利用前に各児童館・自治体のウェブサイト等で最新情報をご確認ください。