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高齢者福祉施設での滞在から生まれた作品『ケアと演技』の劇場公演が「すみだ五彩の芸術祭」で開催。9月11〜13日
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過去の上演時の写真の上に文字情報が掲載された、チラシ画像
2026年9月11〜13日に〈すみだパークシアター倉〉(東京都墨田区)で上演します

ケアと演技の重なりを、演劇作品と対話の場を通して見つめる

目の前の人が何に困っているのか、どんなことを感じているのか──ケアは自分とは異なる他者を想像することから始まります。

こうしたケアと、自身が続けてきた演技に重なりを見出した、俳優・プロデューサーの竹中香子さん/ハイドロブラストによる演劇作品「ケアと演技」が、「すみだ五彩の芸術祭」の一演目として、2026年9月11日(金)〜13日(日)に〈すみだパークシアター倉〉(東京都墨田区)にて上演されます。2024年の初演より全国各地で上演を続けてきた本作を、今回は「劇場版」として創作。また、アートや福祉に関わるゲストを招いて対話する「ラーニングルーム」も開催されます。

太田さんと竹中さんの芝居中の写真
「ケアと演技」2024年初演時の様子 撮影:加藤甫

高齢者福祉施設での滞在をきっかけに生まれた作品「ケアと演技」

「ケアと演技」は、竹中さんが高齢者福祉施設(デイサービス)でのアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「クロスプレイ東松山」へ参加したことを経て生まれた作品です。パーキンソン病を患う実父の生活に10年以上にわたって寄り添い続けた在宅介護チームの「ケアの技術」に感銘を受けた竹中さんは、父の死とケアに向き合うために、「クロスプレイ東松山」へ参加しました。

滞在中、利用者や介護者と過ごす中で、他者を想像することや、不確実性に身を開いていくことなど、自身が長年取り組んできた「演技」と「ケア」に重なりを見出した竹中さん。滞在中に感じたことをパフォーマンスにしたいと思ったことが、本作の創作へとつながっていきました。

2024年の東京での初演後、2025年には滞在した福祉施設〈デイサービス楽らく〉で再演。その後、大阪、上田(長野県)、横浜(神奈川県)の3都市で上演されました。

これまで、福祉施設やスタジオなど、観客と演者の距離が近い、オープンなスペースで上演されてきた本作ですが、今回は「劇場版」として〈すみだパークシアター倉〉で上演されます。出演するのは、俳優・映画監督の太田信吾さんと竹中さん。音楽家の島崎智子さんのピアノと服部将典さんのコントラバスが生演奏で加わります。

空間のイメージが、イラストで書かれている
空間コンセプト・スケッチ:中村友美

ひとりひとりが過ごしやすい環境を目指す本公演では、受付や場内スタッフが筆談に対応しているほか、上演空間を模した「ふれる模型」の展示などがあります。見えない・見えにくい方を対象に同伴者が視覚情報をささやきながら鑑賞できる席や、日本語字幕を見ながら鑑賞できる席などもあるので、ご希望の方はチケット購入後にお問い合わせください。

アートや福祉に関わる人々とともに学び考える「ラーニングルーム」

作品の上演に加えて、アートや福祉に関わる人を招き、ともに学び、考える場として「ラーニングルーム」が開かれます。

初回の8月26日(水)18:30〜20:30は「誰かに『わたし』を貸してみる」をテーマにした、竹中さんのファシリテーションによるワークショップです。自分のケアの経験を、他者が「わたし」として演じる姿を見ることで、別の視点に出会う時間を過ごします。

翌日8月27日(木)18:30〜20:30は、「すみだ五彩の芸術祭」のディレクターで会場となる地域福祉施設〈興望館〉と協働を続ける青木彬さん、アーティストの武市雄介さん、「クロスプレイ東松山」に取り組む〈デイサービス楽らく〉施設長の武田奈都子さん、東京藝術大学 芸術未来研究場 特任助教の新妻葉子さんをゲストに迎えます。「福祉施設にアーティストがやってくる」をテーマに、ケアと芸術が出会う場の可能性を、参加者とともに考えます。

4人のポートレートが並んでいる
左から、青木彬さん(撮影:加藤甫)、武市雄介さん、武田奈都子さん、(撮影:加藤甫)、新妻葉子さん

9月12日(土)と13日(日)はそれぞれ上演後にラーニングルームが実施されます。12日(土)14:30〜16:30は、福岡で先進的なケアを実践してきた〈宅老所よりあい〉代表の村瀬孝生さんを迎えて、トーク「『わたし』の複数性に驚く」を、13日(日)14:30〜15:30は、アートトランスレーターの田村かのこさんをファシリテーターに、鑑賞対話「あなたのケアの物語を教えてください」を行います。

2人のポートレートが並んでいる
9月12日のゲスト村瀬孝生さんと、9月13日のファシリテーター田村かのこさん(Photo: Flavio Karrer)

ラーニングルームは上演の鑑賞の有無に関わらず参加でき、参加無料、途中入退室自由です。定員があるため、事前にご予約ください。

自分とは違う誰かと出会い直す時間を共有する

公演に寄せて竹中さんは、「『演技』とは誰かになる技術ではなく、誰かに応答する技術なのではないか」と投げかけます。

人はそれぞれ異なる経験や記憶を抱えて生きています。そのため、同じ出来事を前にしても、見えている現実は少しずつ異なります。だからこそ、自分の見方だけを握りしめるのではなく、他者の世界を想像しながら関わり続けることが必要になります。 

『ケアと演技』は、ケアと演技に共通するその営みを見つめるプロジェクトです。上演や対話を通して、自分とは違う誰かと出会い直す時間を、皆さんと共有できれば嬉しく思います。

竹中さんのこれまでの演劇修行、父の介護、アーティスト・イン・レジデンスを通して体験したことや、それらを通して感じたこと、ケアと演技にまつわる取り組みなどは、2026年12月に書籍『ケアと演技』として、医学書院「ケアをひらく」シリーズより刊行予定です。

人と関わりながら生きる私たち誰もにとって、ケアは無関係ではないもの。ケアや演劇にまつわること、刊行される書籍に関心がある方もぜひ、「ケアと演技」の上演やラーニングプログラムに参加し、自分とは異なる誰かと出会い直す時間を過ごしてみませんか。