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10代の「悩み」「不安」に寄り添う事典アプリ『おたすけことてん』誕生。親子を支援してきた〈ぷるすあるは〉が制作
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『おたすけことてん』アプリのスマホトップ画面のイメージ
2022年2月にリリースされた『おたすけことてん』。4月上旬には、未実装だった「セルフケア」「SOS」の機能も追加

困りごとにまつわる「99の知恵」を掲載したスマホアプリ

子どもたちが悩み・不安・苦しみなどに対峙したとき、どのように解決への道を探るでしょうか。本来なら、親や信頼を置く大人に相談したり、頼ったりできるのがベストです。けれども、なかには親や身近な大人が原因である悩みや、「誰にも話したくない、話せない」と苦しみをひとりで抱え込む子どもも多くいます。

そのような子どもたちが誰にも気兼ねなく、困りごとへの解決の道やアドバイスを得られるように開発されたのが、無料のスマートフォン向けアプリ『おたすけことてん(iOS版/Android版)』です。

精神保健に関する情報発信を行う〈NPO法人ぷるすあるは〉と、ソフトウェア開発の〈エルワイス株式会社〉が共同製作し、10代の子どもが生活上直面しやすい課題に必要な知恵が“事典”形式でわかりやすくまとめられています。

「自分を守る」「こころとからだ」「家と家族のこと」「学校生活」「ごはん」「相談リスト」など、アプリに掲載されている99の知恵の一部
アプリに掲載されている99の知恵の一部

子どもはもちろん、大人も役立つ! 『おたすけことてん』の内容とは?

ちょっと気持ちが楽になる知恵、自分を守るための知恵、困りごとの相談に乗ってくれる場所など、99の知恵が搭載されている本アプリ。子どもはもちろん、大人にとっても役立つ情報がつまっています。

たとえば、「こまったとき・緊急のときの電話」や「救急車をよぶかまよったとき」など、日常生活のなかで突如訪れるかもしれない“もしものとき”に使える電話リストや判断のためのアドバイス。「プライベートゾーンのルール」「断り文句いろいろ」といった、自分を守るための知恵。ほかにも、「不調のきっかけとサイン」「家のことをどこまで話すか」「学校がすごくしんどいとき」「相談したくないとき」など、こころとからだ、家や家族のこと、学校生活における悩みといったテーマが設けられ、その解決の糸口やヒントになるかもしれない情報がまとめられています。

さらに「ガスコンロの使い方」「ごはん(米)のたき方」「くつや服の洗たく・アイロンがけ・ゼッケンつけ」など、大人にとっては当たり前でも、子どもは意外と知らなかったり、聞きづらかったりする暮らしのハウツーも掲載。また「妊娠の相談・緊急避妊」「SNS相談先リンク」といったリストからは、支援団体のウェブサイトも参照できるようになっています。

「ポジティブワード集」「透明バリア」の知恵のページイメージ
親しみやすいポップなイラストはすべて〈ぷるすあるは〉の細尾ちあきさんが描いています

2022年4月上旬には「セルフケア」「SOS」のふたつの新機能を実装予定。自分や家族の状態・症状などをメモできる「気になってることリスト」や、ピンチのときに連絡する人・場所・電話番号を登録できる「困ったときリスト」と、自分でカスタムできる機能が追加されます。

(編注:2022年4月4日、バージョン1.2.0にて追加機能のリリースを確認)

精神障害を抱えた親と、その子どもを応援する〈ぷるすあるは〉

『おたすけことてん』のコンテンツ制作&イラストを手がけた〈ぷるすあるは〉は、精神科の看護師・細尾ちあきさんと、医師であり同法人代表の北野陽子さんを中心として立ち上がったプロジェクトチームです。親の精神障害やこころの不調、発達凸凹(でこぼこ)など、さまざまな家庭の事情のなかで生きている子どもたちを、絵本やウェブサイト『子ども情報ステーション』を通して応援してきました。

文字もイラストもすべて手描きの『生きる冒険地図』の1ページ
周りに頼れる大人がいない子どもに向けた、一日一日を生きぬく知恵と工夫をつめこんだ書籍『生きる冒険地図』の1ページ。子どもがうまく表現できない苦しみ、心の声、いじめ、虐待、貧困などの問題を描いた絵本をいくつも出版するなかで、2022年2月には「第2回やなせたかし文化賞・大賞」も受賞しました

今回のアプリには、これまで紙とウェブで子どもたちに希望や安心を届けてきたエッセンスがギュッとつめこまれています。子どもや若者が知るべき情報を、より届けやすくするための新チャネルとして開発されました。

ターゲットは10代の子どもですが、大人が読んでも、初めて知る言葉や知識、無自覚だったけれどなんとなく身に覚えのあること、自分自身にも関連する悩みなど、さまざまな発見があります。また、親や家族からはちょっと伝えづらいけれど、子どもには知っておいてほしい情報も、このアプリに多く含まれています。「こんなアプリがあるよ」と共有することで、子どもたち自身が情報をキャッチし、必要な知恵を得るきっかけになるかもしれません。

「ブックマーク」「探す」のページのイメージ
アプリには「ブックマーク」の機能も搭載。また、不安に感じたこと、人には言えないと思ったことなど、ふと頭に浮かんだ言葉を「探す」に入力すれば、求めている答えや、それに近い情報が得られる可能性も

リリースしてまだ2か月ほどですが、すでに子ども食堂、子どもの居場所、相談機関など、子ども支援に関わる方々からの問い合わせがあり、「チラシを送ってください」という要望も多いのだとか。アプリユーザーからも「自分が子どもの頃にこういう情報を知っていたかった」「まず大人が読んでおくのも有用」といった声が寄せられています。

今、どのような情報が子どもにとって必要なのか、子どもはどんな悩みを抱えているのか──それらを知るためにも、まずは大人がアプリをインストールしてみませんか? あなたのその行動ひとつが、子どもたちが発する小さなヘルプやSOSに気づくきっかけにつながっていくかもしれません。