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「せかい」はあなたの隣に住んでいる。「SHIZUOKAせかい演劇祭2026」4月25日〜5月6日まで静岡で開催
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頭の上にある、白いボールを触りながら歩く人たちのシーン
GW期間中、静岡市の劇場や公園などでさまざまな演劇やダンスが上演されます ©︎SPAC photo by Suzuki Ryuichiro

静岡市街地を舞台に、パフォーミングアーツの祭典が開催

国内外の優れた舞台芸術作品を紹介する「SHIZUOKAせかい演劇祭」が、2026年4月25日(土)〜5月6日(水・振休)の期間、〈静岡芸術劇場〉や〈駿府城公園〉(どちらも静岡県静岡市)などを会場に開催されます。

劇作家・石神夏希さんがアーティスティック・ディレクターを務め、新作『うなぎの回遊 Eel Migration』を発表。さらに社会を映し出す演劇や、内なる声に深く潜るダンス、表現の可能性を押し広げるパフォーマンスなど、さまざまな「せかい」を想像する作品が静岡に集結します。後半の5月3日(日・祝)〜5日(火・祝)には、ストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡 2026」も同時開催され、静岡市街地一帯を舞台に、演劇やパフォーマンスのある風景が繰り広げられます。

演劇祭のロゴ

世界の舞台芸術を紹介してきた演劇祭

「SHIZUOKAせかい演劇祭」を主催するのは、〈公益財団法人静岡県舞台芸術センター(SPAC)〉です。1999年に世界の舞台芸術の祭典「第2回シアター・オリンピックス」を成功させたのち、2000年より「Shizuoka 春の芸術祭」を毎年開催。〈SPAC〉が活動15周年を迎えた2011年から名前を「ふじのくに⇄せかい演劇祭」に変更し、2016年より「ふじのくに野外芸術フェスタ」と同時開催しながら、世界の演劇、ダンス、映像、音楽、古典芸能などを招聘してきました。

〈SPAC〉が財団設立30周年を迎えた2025年に名称を「SHIZUOKAせかい演劇祭」へと変更。2026年度は劇作家の石神夏希さんがアーティスティック・ディレクターを務め、「SHIZUOKA」と「せかい」が一体となり、隣り合う人々が「せかい」を共有できるハレの場を目指しています。

おすすめプログラムのご紹介

石神さんの新作や〈SPAC〉の芸術監督・宮城聰さんの代表作のほか、現代サーカス、ダンス、ワーク・イン・プログレス公演など、多彩なプログラムが並びます。

たくさんのプログラムの中から、〈こここ〉がピックアップした3作品を紹介します。

・『うなぎの回遊 Eel Migration』
4月25日(土)、26日(日)、29日(水・祝)各日18:30開演
舞台芸術公園 野外劇場「有度」

日本でもとりわけブラジルにルーツを持つ人々が多く暮らしている静岡。静岡で暮らすブラジルにルーツを持つ地域住民を主要キャストに迎えた本作は、1年以上のリサーチや対話によって集められた言葉や記憶をもとに、劇作家・石神夏希さんが立ち上げた、寓話的なフィクションです。静岡県西部を代表する特産品うなぎをモチーフに、その不思議な生態系を国境や文化を越えて生きる人々の歴史とも重ね合わせながら、「移動すること」「生き延びること」「受け継がれること」を静かに問いかけます。

海を背景に、出演者が横一列に並んでいる
©︎SPAC photo by Suzuki Ryuichiro

・『Qui som(キ ソム)?ーわたしたちは誰?』
5月3日(日・祝)、4日(月・祝)、5日(火・祝)、6日(水・休)各日13:00開演
静岡芸術劇場

フランスとカタルーニャのサーカスアーティスト、俳優、ダンサー、ミュージシャン、陶芸家などによって、2000年に結成された〈バロ・デヴェル〉。サーカスを出発点に、身体そのものを素材とした作品を生み出してきました。

今回の舞台では「Qui som?(わたしたちは誰か)」という問いのもと、12人のアーティストが集い、国境や言語、人種と言った枠を越え、粘土や陶器、さまざまなオブジェを用いながら「一緒に生きる」ことを身体で描き出します。サーカスやダンス、ユーモラスな瞬間が重なり合う舞台。夢の中にいるような時間は、私たちの感覚をそっと呼び覚まし、「これからやってくる世界」へと共に踏み出す小さな勇気を手渡してくれるでしょう。

4人の人を1人の人が両手両足を広げて飛んでいる様子
©︎ Christophe Raynaud de Lage

・『王女メデイア』
5月2日(土)、3日(日・祝)、4日(月・祝)、5日(火・祝)、6日(水・振休)各日19:00開演
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場

1999年に初演され、世界20都市以上で上演を重ねた〈SPAC〉芸術総監督・演出家の宮城聰さんの代表作のひとつが、16年ぶりに静岡で上演されます。古代ギリシアの英雄イアソンの妻メデイアによる「子殺し」の悲劇の舞台を、明治時代の日本へと置き換えた本作。セリフを語るのはすべて男で、その言葉に導かれるように女たちが身体を動かすという構造が、やがて女たちの反乱へと転じ、悲劇を祝祭として立ち上げていきます。色褪せることなく、鋭い問いと衝撃を放つ本作の今を体感できる貴重な機会をお見逃しなく。

着物を着た女性が涙を流してたたずんでいる様子
©︎SPAC photo by Uchida Takuma

ストリートシアターフェス、トーク、グルメも

会期中の、5/3(日・祝)〜5日(火・祝)には、ストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡2026」も駿府城公園や青葉シンボルロードなど、静岡市内で開催しています。

コアプログラムのひとつ『Peace & Quiet』は、振付家・鈴木ユキオさんと障害のあるダンサーが所属するイギリスの〈Stopgap Dance Company〉の国際共同制作作品。舞踏出身の鈴木さんと、ダンスや演劇をベースにしたダンサーたちが刺激を与え合い生まれた、新しいインクルーシブダンスです。期間中各日17:30から松坂屋静岡店 北館屋上にて上演します。

子どもを含むダンサーたちが真ん中に集まり、思い思いに踊っている
撮影:岩本順平

その他にも、駿府城公園の開放的な空気のもと行われる広場トーク「この社会で演劇は何に応答できる?」が5月3日(日・祝)16:30〜18:00に、「劇作家が集まるとどんな『せかい』が生まれる?」が5月4日(月・祝)16:30〜18:00に開催。いずれも石神さんが、海外のアートディレクターと語り合います。

また、4月25日(土)・26日(日)の15:00〜22:00、29日(水・祝)の12:00〜22:00は、演劇公演『うなぎの回遊』に関連して、ブラジル音楽に包まれながら、ブラジルコーヒーやフェイジョアーダを味わう「Festa Brasil(ブラジル・ナイト)」が舞台芸術公園にて開かれます。さらに、5月3日(日・祝)〜6日(水・休)11:00〜18:30には、駿府城公園 東御門前広場にて、「アジアのような路地」をコンセプトにした交流スペースが出現。屋台やカラオケスナック、DJブースなどが立ち並ぶほか、グルメが集結するマルシェも開催されます。食事や音楽、文化の交流も楽しむことができそうです。

キッチンカーの前で料理を受け取る人や並ぶ人がいる様子
©︎SPAC photo by Makita Natsumi(F4.5)

アーティスティック・ディレクターの石神さんは、演劇祭に向けたメッセージで、「都市に疲れたら劇場の椅子に座ってみるのはどうでしょう」と投げかけます。

“わかりあえない孤独を分かち合うこと。共に居ること。共に想像することを諦めないこと。それがユートピアであれディストピアであれ。楽天的すぎますよね。楽天的なふりでもいいと思います。なにせ戦いたい相手は「絶望」なのです。

劇場という場所は、都市に似ていてほしい。都市は劇場に似ていてほしい。だから、今年も演劇祭をやります。わたし/あなたの隣には、いったいどんな「せかい」が住んでいるのでしょうか。”

新緑が気持ち良いGWの静岡で、演劇、ダンス、サーカス、さまざまな表現に触れながら、私たちの隣にある「せかい」と出会ってみませんか。