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大切な人へ、点字で想いを届ける──まっしろな手紙「White Letter」が本格始動
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【画像】White Letter

手紙を“点字”に代筆して、思いを届けるサービス「White Letter」

大人になるにつれて、言葉が体をすり抜けていくように感じることが増えました。SNSの発展によって、コンテンツは驚くほどの速さで流れ、仕事では少しでも早くメールを返さなければならない。言葉をじっくり受け止める暇もなく、誰かに言葉を渡す場面でさえ、焦る気持ちが先に立ってしまいます。

私たちはいつの間にか、大切な人にさえ、時間をかけて言葉を届けることを忘れてしまっているのかもしれません。

2025年4月〈一般社団法人FULLWONDER〉は、大切な人に「点字」で手紙を届けるサービス「White Letter(ホワイトレター)」を開始しました。このサービスは、あなたが綴った手紙を、点字に翻訳して相手にお届けするものです。指先で点字の凸凹に触れながら、ゆっくりと相手の想いを想像する。そんな“遅いコミュニケーション”を体現する、新しい手紙のかたちが「White Letter」です。

盲重複障害のある子どもの親3人が設立した〈一般社団法人FULLWONDER〉が驚きに満ちた仕事を創る

〈一般社団法人FULLWONDER〉は、盲重複障害(注)のある子どもを育てる3人の親によって立ち上げられた団体です。きっかけは、2023年に開かれた障害のある子ども向け進路相談会で、先生から投げかけられた「現実を見てください」という一言でした。

たしかに、盲重複障害のある子どもたちにとって、働ける場所は限られています。場合によっては、働くことが難しいこともあります。それでも3人の親たちは「現実は作るものではないか」「ないなら新しい仕事を作ればいい」という思いで立ち上がり、同法人を設立しました。

【画像】一般社団法人FULLWONDERロゴ

注:盲重複障害は、視覚障害に加えて、知的障害、肢体不自由、聴覚障害、精神障害など、他の障害が重複している状態を指します。

同法人が最初に立ち上げたサービス「White Letter」は、共同代表の澤田智洋さんが、全盲の息子さんから点字の手紙を受け取ったことをきっかけに誕生しました。その手紙は、澤田さんにとって「すぐには読めない」ものでした。

だからこそ、内容を理解するまでにじっくりと時間をかけて、一文字一文字を大切に味わうことになったといいます。その体験を通して、「これこそが手紙の本質なのではないか」と、澤田さんは感じたそうです。

【写真】点字を読んでいる様子

澤田さんは広告代理店でコピーライターとして働く傍ら、「スポーツ弱者を、世界からなくす」をミッションに掲げる〈一般社団法人 世界ゆるスポーツ協会〉の代表理事も務めています。「こここインタビュー」では、元サッカー日本代表監督・岡田武史さんとの対談を実施。「プロスポーツ」と「ゆるスポーツ」という対照的なテーマを通じて、スポーツが持つ多様な可能性について語り合いました。

伝えることが難しい世界で、まっしろな手紙が気持ちを運ぶ

「White Letter」は、あなたが書いた手紙を「点字」に翻訳し、大切な人へ届ける代筆サービスです。点字表付きのガイドも同封されるため、点字が読めない方でも安心して受け取れます。

実は2025年は、1825年にフランスのルイ・ブライユさんによって点字が考案されてから200年の節目を迎える年です。点字の普及と発展を促進するための活動も、さまざまな場所や団体によって行われています。

【画像】点字表付きのガイド

本サービスの大きな特徴は、名前にも込められた「白」です。多くのカードやギフトが色や装飾を重ねて華やかさを増すなか、「White Letter」はあえてその逆を選び、極限まで削ぎ落とした白い紙を用います。その余白に浮かぶ、書き手のまっすぐな想いが、混じり気なく相手に届く——そんなコンセプトを掲げています。

【写真】点字の手紙

手紙を点字に翻訳してくれるのは、点字のタイピングに長けた、視覚に障害のある「ブレイルライター」です。世界170カ国以上で使われている「パーキンスブレイラー」という点字タイプライターを用いて、時間をかけ、一文字一文字を丁寧に打っていきます。

「White Letter」は、誕生日や母の日・父の日・敬老の日などをはじめ、日頃の感謝やなかなか言えなかった想いを伝えたい時など、さまざまなシーンで利用されています。

これまで恥ずかしくて両親に手紙を出したことがなかったけど、 一見読めない点字なら恥ずかしさが緩和されると思ったので母の日に送りました。(50代男性)

毎年同じようなグリーティングカードで同じような内容で親の誕生日に手紙を送っていたので、変化をつけられてよかった(40代女性)

字に自信がないけど、タイピングした手紙ではないものを送りたいと考えていたのでピッタリだと思った(20代女性)

コミュニケーションが早くなる現代だからこそ、あえて「遅い」やりとりをしてみる。普段は意識しない指先の感覚で、相手の想いをたどる。それは、理解するまでに時間のかかる行為かもしれません。けれど、だからこそ言葉が深く染み込み、心に届くこともあるのです。

ぜひ「White Letter」で、言葉にできなかった想いを、大切な人へ届けてみてください。