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「ふたご助っ人くじ」で、育児の“困った”を当日サポート。気軽に誰かに頼れる社会へ
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すべりだいであそぶふたごをみまもる、ほごしゃとほいくスタッフ
「ふたご助っ人くじ」は東京都内10自治体で利用可能です(提供写真 ©認定NPO法人フローレンス)

多胎児家庭専門の訪問サポートサービスがスタート

多胎児(双子・三つ子など)家庭専門の訪問サポートサービス「ふたご助っ人くじ」が2022年4月にスタートしました。手がけるのは、これまで訪問型病児保育事業などを通して子育ての課題解決に取り組んできた〈認定NPO法人フローレンス〉です。

このサービスは、多胎児を育てる保護者の「育児」や「外出」などを手助けする内容で、当日朝8時まで応募が可能。当選した家庭には、プロの保育スタッフが「ふたご助っ人」として派遣されます。対象地域は東京都内の10自治体で、助成制度を利用すると実質無料でサービスを受けることができます。

育児負担を減らす「ふたご助っ人くじ」

子育てで、親の身体的負担が特に大きい乳幼児期。中でも、双子や三つ子など、2人以上の子どもを同時に育てる「多胎児家庭」では、保護者がつきっきりで育児にあたる必要があります。また、保育園や幼稚園へ通うようになると、大きな2人乗りベビーカーや大量の荷物を伴う移動を、多くの場合保護者1人が担うことになります。

育児の手が不足しがちでサポートのニーズが高いにも関わらず、これまで多胎児家庭に特化したサービスが少なかったことから、今回の「ふたご助っ人くじ」は始まりました。

しょくじをするふたごのサポートをサポートするじょせいがふたり。ほごしゃと、ほいくスタッフとみうけられる
東京都指定研修や、助産師監修の多胎児家庭支援研修を受けたプロの保育スタッフが訪れる「ふたご助っ人くじ」(提供写真 ©認定NPO法人フローレンス)

本サービスは、メッセージアプリ「LINE」で登録・利用・支払いまで済むのが特徴です。事前に利用登録を行い、前日15時から当日8時までにくじに応募すると、9時頃に当選が決定。そこから保育内容について、実際に訪問するスタッフとメッセージで相談することができます。利用時間は平日10時から18時半の間で、最短2時間から可能です。

サポートは保護者がいる状態を前提とし、食事、入浴、寝かしつけなど育児全般の手伝いのほか、通院や買い物、公園での見守りなども依頼することができます。

保育料は双子家庭の場合に1時間5000円、三つ子家庭の場合だと7500円。ですが、自治体に対して「一時預かりベビーシッター利用支援事業」の助成申請を行うことで、実質無料(※)で利用することができます。

※ 対象年齢や助成の上限は、各自治体で異なります

当日&気軽にサポートを依頼できる「くじ」という仕組み

「ふたご助っ人くじ」を始めた〈認定NPO法人フローレンス〉の市倉加寿代さんは、多胎児を育てる友人の困難な状況を目の当たりにし、2019年に〈多胎育児のサポートを考える会〉を立ち上げた方でもあります。これまでに全国の多胎児家庭を対象に「育児の困りごと」に関するアンケートを取り、3年かけて東京都内を走るすべてのバスで2人乗りベビーカーの乗車を可能にするなど、多胎児家庭の暮らしやすい社会の実現に向けて行動してきました。

たてじくにじかんがかかれていて、ふたごのいちにちのじゅにゅうとおむつがえがきろくされている
生後27日の双子の、実際の1日の記録。養育者がほぼ24時間つきっきりで育児にあたっている様子が伺えます(提供画像 ©認定NPO法人フローレンス)

そんな市倉さんを中心に、多胎児家庭の支援として始まった本サービス。一風変わった「くじ」という仕組みを導入しているのは、既存のシッターサービスなどではサポートしきれない方に、少しでも支援の手が届くよう配慮したためです。

「多胎児家庭では、子どもの状態や天候などによって『いきなり』『急激に』育児の困難度があがる場合があります。そうした予測のできない事態にあってもサポートを受けられる可能性を残すために、先着順や事前予約ではなく、当日朝までの応募で利用できる『くじ』という仕組みにしました」(市倉さん)

落選の可能性もありますが、実際の当選率は「平均9割程度」(2022年1〜3月のトライアル運営時)と高確率。「気軽に第三者に頼れる」メリットも大きいこの仕組みが、本サービスでも継続されました。一方で「確実にサポートが受けられる機会がほしい」という意見もあったことから、週1回以上利用する家庭へは、「当選率UPチケット」(3ヶ月に1度利用可能)を配布するなどの配慮も行っています。

ほごしゃとほいくスタッフが、ふたごとみられるあかちゃんをひとりずつだっこしている
(提供写真 ©認定NPO法人フローレンス)

先着順を競い合う余裕がない、先が読めない事前予約は申し込みづらい……そんな家庭でも、「くじ」だと当選を楽しみにしながら、気軽な気持ちで誰かを頼ることができそうです。当事者の方に積極的に利用いただくことはもちろん、サービスの存在を知った方が話題にしてみることで、「子育てをひとりで背負わなくていい」というメッセージが、身近な誰かの育児の支えになるかもしれません。