ニュース&トピックス

東日本大震災の記録展示「星空と路ー3がつ11にちをわすれないためにー」が〈せんだいメディアテーク〉で4月24日まで開催中。3月12・13日には上映・配信も
上映・配信情報 展覧会情報

  1. トップ
  2. ニュース&トピックス
  3. 東日本大震災の記録展示「星空と路ー3がつ11にちをわすれないためにー」が〈せんだいメディアテーク〉で4月24日まで開催中。3月12・13日には上映・配信も

まんなかに「ほしぞらとみち」のもじ、ひだりがわにほしぞらをきりとったようなまるいえん、みぎがわにあしのうらのがぞう
2022年3月9日から4月24日まで〈せんだいメディアテーク〉で開催中の「星空と路ー3がつ11にちをわすれないためにー」

東日本大震災にまつわる記録の展覧会が開催中

東日本大震災にまつわる事柄を記録してきた〈3がつ11にちをわすれないためにセンター〉(通称:わすれン!)が、〈せんだいメディアテーク〉で記録展示「星空と路」を2022年4月24日まで開催中です。本展は〈わすれン!〉が参加アーティストや市民と共に、年に一度同タイトルで開催している展示です。参加者それぞれの活動を通じて、震災を振り返ります。

展示は、市民によるプロジェクトと〈わすれン!〉企画のプロジェクトがあり、その他に映像上映とオンライン配信があります。

専門家、アーティスト、市民が協働するプラットフォーム〈わすれン!〉

〈わすれン!〉は、〈せんだいメディアテーク〉が2011年5月3日、東日本大震災による被害に向き合い、市民とともに復興への長い道のり歩むために開設されました。

センターの参加者になると、ビデオカメラ等の取材機材が使用でき、映像や写真の編集、インターネットへの配信作業なども行えます。市民、スタッフ、専門家、アーティストが協働し、映像・写真・音声・テキストなど様々なメディアを活用しながら、情報を共有するとともに、アーカイブとして記録保存しています。

今回のイベント「星空と路」は、そうした記録を利活用する機会として毎年開催されています。

てんじパネルがつりさげられた、いどうしきしりょうしつ
過去に開催された「星空と路」の展示風景

「星空と路」からおすすめのプロジェクトをご紹介

今回は「市民によるプロジェクト」から7組、「わすれン!企画のプロジェクト」から5組が展示されます。ここでは、両方の展示の中から、3組をご紹介します。

「リアルふっこうボイス」 まちづくり部

震災後に、復興まちづくりが進められてきた地域の方々へのインタビューを行い、その「こえ」を配信するラジオ番組「リアルふっこうボイス」。このプログラムは、まちづくりを専門とするNPOスタッフや大学生らによる団体「まちづくり部」が展開しています。

番組では、復興計画に対する、賛成・反対意見をはじめ、とまどいや葛藤など、本人が話す音声で伝えられます。さらに、その音声を紹介しながら、メンバー自身もまちづくりについて語り合います。

これまで全43回の配信を行い、118人の声が紹介されてきました。3月13日(日)には、「リアルふっこうボイスvol.44 復興は『こえ』とどう向き合うか」として、公開収録・配信イベントも開催されます。

きざいとマイクをかこむ、しゅうろくちゅうのようす
市民の声を聴き、まちづくりについて考える番組「リアルふっこうボイス」

HOPE FOR project」 HOPE FOR project実行委員会

津波の被害を受け、現在は震災遺構となった荒浜小学校を拠点とし、毎年3月11日にイベントを開催している「HOPE FOR project」。地元小中学校の卒業生が中心となって、花の種を入れた風船を飛ばす企画のほか、音楽ライブも開催しています。元地域住民だけではなく、地域や震災に思いを馳せるたくさんの人々が年に一度集える場として継続的に取り組んできました。

今回は、関係者へのインタビューと10年の記録映像が展示されます。3月13日(日)には、プロジェクトにまつわる2本の映像を上映。1本目は、舞台裏に関わってきた関係者のインタビューと10年の記録、2本目は震災から10年の日のために演奏された音楽ライブの映像です。

こうしゃをはいけいに、たくさんのいろとりどりのふうせんがそらにとんでいく
「HOPE for project」で風船をリリースする様子。風船はすべて自然分解されるエコバルーンを使用しています

312日はじまりのごはんーいつ、どこで、なにたべた?ー」

「3.11オモイデアーカイブ」と〈わすれン!〉による協働企画。炊き出しや食事の風景など、震災当時のごはんにまつわる写真を展示し、来場者が当時の体験や想いを自由にふせんに書いていく参加型の展示です。

例えば、「炊き出しでご飯を提供する写真」には、「炊き出しを仕切ったこと」「職場の人がおにぎりをつくって届けてくれたこと」「米よりもパンが食べたかったこと」「食品用ラップフィルムが役立ったこと」などが書き込まれたふせんが集まります。

時間の経過とともに語られにくくなった震災の記憶を、「食」を通じて思い起こすと同時に、暮らしの変化をより実感を持って伝えます。

ごはんのしゃしんのまわりに、たくさんのふせんがはられている
ひとつの写真を契機に、様々な記憶がよみがえります

「リアルふっこうボイス」の配信と「HOPE for project」の映像上映の他に、3月12日(土)には〈わすれン!〉の資料利活用を考える取り組み「ダイブわすれン!」の鼎談映像「ダイブわすれン!に参加して」の上映や、佐藤そのみ監督による映画上映などが予定されています。

バスのなか、せいふくをきたふたりのしょうじょ、ひとりのかたにもうひとりがよりかかる
佐藤そのみ監督の映画『春をかさねて』より。上映後のトークでは、制作の経緯や記録と表現への向き合い方について、映像作家の小森はるかさんと共に語ります

東日本大震災から11年目となる今年。震災のことを知らない世代も増えてきているからこそ、当時の証言や体験を忘れないように伝え続けていく活動はますます大切になっていくでしょう。会場での展示や配信プログラムを通して震災の記憶と記録に触れ、今私たちにできることを考えてみませんか。