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障害のある人の思いを描いた演劇台本を募集!「みんなが書く戯曲のコンテスト」作品受付は9月30日まで
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受賞者らが表彰状を持って一列に並んでいる様子
〈鳥の劇場〉で開催された2024年度の授賞式の様子

障害のある人が作者か登場人物の、短編戯曲を募集中

演劇創作や大規模な演劇祭の実施のほか、障害のある人とない人が共につくる演劇活動に長年携わってきた〈鳥の劇場〉。そんな〈鳥の劇場〉が「障害」をテーマにした短編戯曲のコンテスト「みんなが書く戯曲のコンテスト〜障がいのある人の生活・思い・想像を演劇台本に」を開催します。現在応募作品の受付中で、受付期間は2025年9月30日(火)までです。

募集しているのは上演時間5〜10分の短編戯曲で、物語に障害のある人が登場するか、または障害者手帳の交付を受けている人が書いた作品が対象。入選作品は2026年春にアメリカ・クイーンズシアターでの上演候補になるほか、同年2月の表彰式、同年秋の「鳥の演劇祭」でのリーディング上演を予定しています。

募集のポスター。車椅子に乗っている人やベッドに横たわっている人など、様々な人が執筆をするイラストが描かれている

地域に根差した活動を展開する〈鳥の劇場〉

〈鳥の劇場〉は、鳥取県鳥取市鹿野町の廃校になった小学校と幼稚園を劇場に変えて、2006年から演劇活動をしています。鳥の劇場という名前は、劇団名であり、場の名前でもあります。劇場がただ演劇を愛好する人だけの場ではなく、広く地域に必要とされる場所になることを目標に活動してきました。

これまで演劇創作のほか、地元の小中高生を対象にした表現ワークショップ「トリジュク」、毎年秋に開催する国際演劇祭「鳥の演劇祭」の運営、劇場から出かけて上演やWSを行うアウトリーチ活動や出張公演など、地域に根ざしながら、海外もまなざした活動を行ってきました。

「みんなが書く戯曲のコンテスト」は、2013年からプロデュースしてきた、障害のある人とない人が共に舞台を作り上げる「じゆう劇場」を背景に、書くことによる障害のある人の舞台参加などを狙いに、2023年よりスタート。今年度で3年目となる取り組みです。

学校の教室のような空間の奥に舞台があり、数人の役者が立ち上がって朗読劇を行っている
初年度・2023年度の受賞作品は「鳥の演劇祭」で上演されました

コンテストのこれまでの歩みと今年度の取組み

初年度となる2023年度は、全国から244作品の応募があり、特に優れた6作品が表彰されました。一方、素晴らしいモチーフであるにも関わらず、戯曲という形式に慣れていないために完成まで後一歩という作品も。そのため、2年目の2024年度は、一次選考を通った9作品を対象に、プロの劇作家による伴走支援を実施。各作品をブラッシュアップするとともに、その過程を座談会等を通じて記録し、冊子やウェブに残しました。また、初年度の6作品は鳥の劇場において、3作品はアメリカのクイーンズシアターにおいて、リーディング形式で発表されました。

舞台の手前に3人の役者が椅子に座って朗読をしている。右端の人は車椅子に乗っている。左奥にも3人役者の姿が見える
2023年度受賞作品が〈クイーンズシアター〉で上演された様子

今年度も、2年目と同様に、一次選考を通過した9作品には、プロ作家が伴走支援します。さらに、国内6ヶ所(鳥取2ヶ所、宮崎、東京、茨城、静岡を予定)でリーディング上演を行い、障害のある人による、あるいは障害を主題とした戯曲作品の普及や、短編戯曲創作の輪を広げることを目指します。

一次選考通過作品は、プロの劇作家が伴走支援

応募対象となるのは、上演時間5〜10分程度の短編戯曲。物語に障害のある人が登場する、または、障害者手帳の交付を受けている人が書いた作品であれば、誰でも応募可能です。なお、応募はオリジナル、未発表、未上演の日本語の作品に限ります。一次選考通過作品は英訳され、2026年春のアメリカ・クイーンズシアターでのリーディング上演候補となります。

一次選考委員および、一次選考を通過した方の伴走支援担当となるのは、大岡淳さん、坂本鈴さん、吉田小夏さん、いずれも第一線で活躍する劇作家です。

最終選考委員は、社会学者の大澤真幸さん、〈一般財団法人たんぽぽの家〉理事長の岡部太郎さん、〈鳥の劇場〉芸術監督の中島諒人さん、〈劇団こふく劇場〉代表の永山智行さん、義足の女優・ダンサーの森田かずよさん、〈クイーンズシアター〉劇作家のロブ・ウルビナーティさんが務め、多様な角度から審査が行われます。

黒い譜面台の前に座った4人の役者がお芝居をしている様子
2024年度は、全192作品の中から5作品が入選。表彰式の後には、〈鳥の劇場〉の俳優たちによる5作品のリーディング上演会も行われました

〈鳥の劇場〉の中島さんは募集に際して「演劇は人と人との関わりを扱うことが得意です」と呼びかけます。

“人を喜ばせるのも、悲しませるのも関わりです。関わりの中で生まれる一瞬の言葉、目の表情、息づかい、半歩の動き、これらが時に人の心を温かくし、時に人を深く長く傷つける。瞬間をつかまえてください。関わりの中のちょっとした瞬間にぐいっと光を当てる感じで書いてもらったらいいんじゃないかと思います。”

公式ホームページでは「戯曲の書き方ビデオ」という初心者の方に向けた動画を公開しているため、はじめての方でも安心して挑戦できます。日々のさまざまな関わりや出会いの中で、違和感を感じたことや心を動かされたことがある方は、ぜひその思いを形にしてみませんか。