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「そうぞうする団地」から生まれた“お手紙マガジン”配布スタート! 取手アートプロジェクトの文化市で編集会議も
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【写真】たよりいの、というロゴの下にマンガのコマをあしらった、雑誌の表紙。周囲に別の数冊の見開きページが広がっている

市民とアーティストがつくる出版社「ペンびぶんメールパブリッシング」

茨城県取手市が1999年から、市民・取手市・東京藝術大学の三者協働で展開している「取手アートプロジェクト(通称TAP)」。取手市というまちをフィールドに、これまでまちなかを会場とした展覧会の開催をはじめ、農や伝統技術を支える地域の人々がアーティストとともに衣食住のあり方を模索する「半農半芸」、団地を舞台に市民とアーティストがともに表現活動を展開する「アートのある団地」といったコアプログラムなど、多様な取り組みが行われてきました。

この「アートのある団地」のなかで、2024年9月から〈UR都市機構〉と連携した「そうぞうする団地」プロジェクトがスタート。暮らしのなかで「そうぞう(想像/創造)」を重ね、団地を起点とした将来の風景を描いていくことを目指すなか、2026年4月には「ペンびぶんメールパブリッシング」が発足しました。

井野団地の住民が編集に参加するこの出版社では、8月に“お手紙マガジン”『たよりいの』第0号を全戸に配布し、現在は次号へ向けた「おへんじ」を広く募集中。10月18日(日)に団地で行われる「そうぞうしてみる文化市」での、ブース出店も予定されています。

【写真】
できたマガジンを配布する「おくばり会」の様子。右から2人目と3人目が、パートナーを務めるアーティストユニット「宮田篤+笹萌恵」

住民、パートナー、みんなでつくる。すこしふしぎな出版社から生まれた“お手紙マガジン”

「ペンびぶんメールパブリッシング」の実験パートナーを務めるのは、2010年から「アートのある団地」のパートナーとして活動を続けるアーティストユニットの宮田篤さんと笹萌恵さんです。

2人はこれまでも、切り抜いたフェルトの文字やかたちを縫いあわせる「ちくちく地区」や、そこから派生した「はたまつり」、図書室や団地内での対話から物語が生まれる連載マンガ「リカちゃんハウスちゃん」など、井野団地に暮らす人々の言葉や存在を起点とした表現活動をともにしてきました。

 

【写真】大きなホールのような場所の床一面に、正方形のフェルトが並んでいる
「ちくちく地区」の一環として、2015年3月に閉校することになった井野小学校の校歌をフェルトで切り取り旗にする「ちくちく校歌」という取り組みの様子

新たに立ち上げた「ペンびぶんメールパブリッシング」が目指すのは、地域の人たちがゆるやかにつながる架け橋になるような媒体作りです。

団地内にある拠点「いこいーの+TAPPINO」にて開催した編集会議には、地域住民らが編集メンバーとして集まり、家にいながらでも人や風景、井野団地で行われるさまざまな活動をみんなで共有する方法を模索しました。

【写真】テーブルを囲んで10人ほどの人が話をしている。向こう側の大きなガラス扉の外は明るい

これまでに3回開催された編集会議では、住民が使い捨てカメラで撮影した日常写真をもとにマンガ家のひうち棚さんと構想を練るなど、編集メンバーがアイデアを持ち寄りながら制作が進められました。その様子は編集チームの一人であり、東京藝術大学先端芸術表現専攻に在籍するげんげまつりさんによる漫画レポートとしてWebで公開されています。

【画像】編集会議中のシーンを表したマンガのコマ
レポート:「ペンびぶんメールパブリッシング」第2回編集会議より

『たよりいの』をみんなで配る、読む

こうして作られたのが、“お手紙マガジン”の『たよりいの』第0号です。「たよりいの」の名前には、手紙の「便り」、暮らしの「頼り」、そして井野団地の「井野」の3つの意味が込められました。

なかには、住民の声を集めた「ウレシイナ」「コマッタナ」や、団地に住む誰かが書いた「だれかの日記」、季節のお花の写真などがお手紙としてまとめられています。

【画像】だれかの日記、と書かれたリーフレットをテーブルの上に並べているところ

8月下旬にはメンバーの手で封入作業が行われ、井野団地の全世帯のポストへ直接配布。誌面を読む楽しさに加え、同封された「おへんじシート」にメッセージを書いて送ると、次の号に掲載される双方向でやり取りできる仕組みが取り入れられています。

また刊行後の9月19日(土)には、完成を記念して一緒に『たよりいの』を読んでみるイベント「おひらき会」を開催。自宅に届いたお手紙マガジンを手にした住民たちが集まり、誌面を囲みながら感想を共有したり、その場で次号へ向けた「おへんじ」を書き込んだりと、メディアを介して人と人、家の中と外、アーティストと住人がつながる時間を過ごしました。

【写真】いくつものテーブルが並び、数人ずつが会話しているシーン
【写真】紙におへんじを手で書き込んでいる人の姿

10月18日開催「そうぞうしてみる文化市」で、あなたも編集メンバーに

『たよりいの』を読みたい方は現在、フォームからの申し込みで誰でも郵送してもらうことが可能です(要送料負担)。

一方で、2026年10月18日(日)には、こうした団地での継続的な試みを一堂に集めたイベント「そうぞうしてみる文化市」が井野団地の3街区広場や「いこいーの+TAPPINO」などを会場に開催されます。 アーティストのアトリエ公開や、地域資源を活用した各種ワークショップ、トークセッションなどが実施されるなか、「ペンびぶんメールパブリッシング」もブースを出展予定です。

【画像】そうぞうしてみる文化市&井野アーティストヴィレッジオープンスタジオ、という文字が入ったビジュアル

当日の「ペンびぶんメールパブリッシング」ブースでは、全戸配布後に住民から寄せられた声や返信を展示する「おへんじ展示」が行われ、地域の中でどのような言葉ややり取りが生まれたのかが紹介されます。

さらに、来場者がその場で『たよりいの』第0号に対する感想やメッセージを書くことができる「おへんじシート体験」も用意。ここで寄せられたメッセージは、今後のマガジンに掲載される可能性もあるそうです。

また、編集長を務める宮田篤さん、笹萌恵さんと直接話しながら、次回の「たよりいの」のアイデアを語り合うオープンな企画会議『たよりいの』第1号 編集会議も開催され、誰もが気軽に加わることができます。

アーティストや表現者の作品をただ鑑賞するだけでなく、自分たちの暮らすまちの出来事や視点を集め、メディアとして地域に届けていく。10月18日は、井野団地で繰り広げられる表現の場を訪ね、編集や表現に関わる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。