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6/1-6 日・英・バングラデシュ3か国の障害のあるキャストによる演劇公演『テンペスト〜はじめて海を泳ぐには〜』
公演情報

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キャストのかおじゃしんがならんでいる
日本・英国・バングラデシュ、3か国の言葉もバックグラウンドも異なる役者が集結。英国・バングラデシュの役者はオンラインで出演し、距離を超えた共演が実現します

障害・言葉・距離を超えて、3か国のアーティストが共演

日本・英国・バングラデシュ、3か国の障害のあるアーティストによる舞台作品『テンペスト〜はじめて海を泳ぐには〜』が2021年6月1日(火)から6日(日)まで、〈あうるすぽっと〉(東京都豊島区)で上演されます。

本公演の企画は、障害の有無、国籍、性別、年齢、経験などを超えて、あらゆる人が楽しめる舞台芸術の創造を目指して、日英交流年「UK in JAPAN」の主要プログラムとして2019年2月にスタートしました。各国で参加アーティストによるワークショップやクリエーション・ミーティングを重ね、2020年5月の作品上演を目指していましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い延期。オンラインによるワークショップを継続し、2年以上の準備期間を経て、ついに2021年6月に上演が決定しました。

総合演出を務めるのは、英国の障害者アートムーブメントの先駆的存在であり、2012年のロンドン・パラリンピック競技大会開会式の共同ディレクターを務めたジェニー・シーレイさん。加えて、ワークショップで選ばれた大橋ひろえさんと岡康史さんの2名が演出を務めます。キャストとして出演するのは、ミュージカル『テニスの王子様』の初演時にデビューし、人気を博した柳浩太郎さんほか日本人4名、英国人3名、バングラデシュ人2名の障害のあるアーティスト。そして昨年の上演延期を経て、聴覚障害のある母親に育てられたコーダ(CODA: Children of Deaf Adults)の俳優・吉冨さくらさんが新たに加わりました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、演出家のジェニー・シーレイさんは英国からオンラインで演出を行い、英国・バングラデシュの出演者は映像で出演します。それぞれの障害、言葉、さらに距離を超えての共演が実現することになりました。

シェイクスピア作『テンペスト』をモチーフにしたオリジナル作品

本作の題材となっているのは、シェイクスピアの戯曲『テンペスト』。時代設定を現代に置き換え、さらに新型コロナウイルス感染症の影響に見舞われた世界の有り様を反映させた新作のオリジナル作品として上演します。

シェイクスピアの最後の戯曲である『テンペスト』は、嵐のあとの風のように透明感が漂うと言われる作品です。嵐により遭難した人々が孤島に流れ着くところから始まる物語は、「島国である日本、英国、そして水害に見舞われることも多いバングラデシュの3か国で取り組む作品としてふさわしいと思った」と、総合演出を務めるジェニー・シーレイさんは語ります。

運命、大自然の驚異、神々の導き、和解など、ロマンチックで超自然的な要素のなかに、人間礼賛、人間肯定といったメッセージを読み取ることができる『テンペスト』。このメッセージを、さまざまな障害やバックグラウンドを持つ出演者たちが、それぞれに異なる表現方法で観客へ伝えます。

多様な人々が楽しめる舞台を目指して

総合演出を務めるジェニー・シーレイさんは、様々な障害のある俳優やスタッフによる創作活動を行うことで知られる、グレイアイ・シアター・カンパニーの芸術監督でもあり、彼女自身も聴覚障害のある演出家として活躍しています。手話と音声描写を効果的に取り入れたジェニーさんの作品づくりは世界的にも評価が高く、本公演でもそのクリエイティブな演出が大きな見どころです。

また本作では、耳の聞こえない人や聞こえにくい人に向けて、赤外線携帯機器による磁気ループ/骨伝導ヘッドホンをご利用いただけるほか、字幕の投影や劇場案内時からの手話・筆談の対応をします。目の見えない人や見えにくい人に向けては、上演前に舞台セットなどを説明する音声ガイドを用意するほか、東池袋駅から劇場までの送迎を行い、多様な人々が芸術文化に親しめる環境づくりを推進します。

表現者と鑑賞者、双方のバリアフリーを目指す本公演。意欲的な取り組みを、ぜひお見逃しなく!

テンペストちらし