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アーティスト・檜皮一彦さんと千葉の街のアクセシビリティを考察しよう。8月21日まで参加者を募集中
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千葉国際芸術祭ワーキングプラクティスについての参加者募集要項が書かれている。

千葉の街を舞台に、アクセシビリティの検証・実証を行うプロジェクト

自転車侵入防止の柵、普段なら意識せずにまたいでしまうような高さの段差に、道路の向こう側に行くための横断歩道。車椅子に乗る人たちと行動を共にすると、いかに彼ら・彼女らの日頃の行動が制限されているかに気付かされます。バリアフリー法が施行され、整備が進んでいるとはいえ、日常生活ではまだ多くのバリアが存在します

そんな中、2025年に新しくスタートする「千葉国際芸術祭」にて、アーティスト・檜皮一彦さんによるプロジェクト〈walkingpractice™ code_bridge [spec_chiba]〉が開催されます。〈walkingpractice™〉は、自身も車椅子を利用す檜皮さんが、車椅子ユーザーが日常生活で直面する課題を体験し、共に考えるため、全国各地で展開しているアートプロジェクトです。

「千葉国際芸術祭」では、千葉県千葉市内を舞台として、参加者と千葉駅周辺のスポットを巡り、スロープ設置が必要な場所のリサーチを通してます「アクセシビリティ(誰もが利用しやすい可能性)」についての検証・実証を行います。また、今回のリサーチをベースに、千葉大学西千葉キャンパス内の工房にてスロープを制作して、完成したスロープを実際に設置します。

今回、スロープ設置が必要な場所のリサーチを行う参加者を募集しています。締め切りは2025年8月21日(木)で、車椅子やベビーカーユーザーの方や、そうでない方など、どなたでも参加が可能です。プロジェクトの成果は、参加者や市民が鑑賞できるよう、「千葉国際芸術祭」の集中展示・発表期間に常時展示される予定です。

【画像】
檜皮一彦さんによるプロジェクト〈walkingpractice™〉。横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」でのスロープ制作風景

檜皮さんが取り組む〈walkingpractice™〉とは

【画像】アーティスト・檜皮一彦さんのプロフィール画像

大阪府出身のアーティスト・檜皮さんが千葉市を訪れるのは「千葉国際芸術祭」が初めてだと言います。これまで、〈walkingpractice™〉のほか、自身も移動に用いる車椅子を素材にしたインスタレーション作品〈HIWADROME〉シリーズや、車イス編み機による路面レコーディングプロジェクト〈TRAIL by walkingpractice™〉といった身体性をテーマとした映像作品やパフォーマンスを展開。最近では、横浜美術館の「おかえり、ヨコハマ」やEXPO 2025 大阪・関西万博の「Study:大阪関西国際芸術祭」において展示を行っています。

〈walkingpractice™〉では、車椅子で移動する際に車椅子のユーザーとそうでない人とが同じルートを通ることをめざし、ワークショップ形式で、参加者の人たちが互いに協力し合い、コミュニケーションを取りながら、共に同じ道を歩むことを体験します。そして、それらの経験を通して、現代社会におけるバリアフリーや、人と人との関係性についての考察を深めます。今回の〈walkingpractice™ code_bridge [spec_chiba]〉では、同プロジェクトの一環で、千葉大学の学生や教職員、OBOGを参加対象とした千葉大学内のアクセシビリティについてのリサーチが8月8日(金)に行われています。

今年からスタートした〈千葉国際芸術祭〉が舞台

車椅子に乗ったひかわさんをはじめとする人たちが千葉市内でプロジェクトの下見をしている
2025年4月に行われた檜皮さんによる千葉市内のリサーチの様子

「千葉国際芸術祭2025」は、千葉県の県庁所在地・千葉市において、3年に1回開催されるトリエンナーレ方式の芸術祭として、2023年から一部プレ会期企画を実施しつつ、2025年に本格的にスタートしました。

初回となる2025年度は、総合ディレクターにアーティストで東京藝術大学教授の中村政人さんを迎え、「ちから、ひらく。」をコンセプトに国内外30組以上のアーティストによる参加型アートプロジェクトを実施。観光で訪れた人たちのみでなく、千葉市内外に暮らす人々の創造性を刺激して、それらの人たちの日常が豊かなものとなり、千葉市の「人づくり」「まちづくり」「未来づくり」に寄与することをめざします。

今回の〈walkingpractice™ code_bridge [spec_chiba]〉によって、この芸術祭のアクセシビリティがアップデートされ、より一層多様な人たちに開かれた存在となることが期待されています。

街中のアクセシビリティに対して、新たな視点を持つ

〈walkingpractice™ code_bridge [spec_chiba]〉のワークショップが終わった後は、改めて参加者を募集して、実際にスロープを制作し、千葉大学のキャンパス内や「千葉国際芸術祭」の中でスロープの設置が必要な場所への実装を行う予定です。

車椅子ユーザーの目線から千葉市内のアクセシビリティの課題点を体験・発見し、参加者に街や社会への新たな気付きを促すことが、今回のプロジェクトの狙いです。街中のアクセシビリティにおける新たな視点を手にいれるためにも、参加してみてはいかがでしょうか?