こここなイッピン
厄除鬼の土鈴〈たんぽぽの家 アートセンターHANA〉
福祉施設がつくるユニークなアイテムから、これからの働き方やものづくりを提案する商品まで、全国の福祉発プロダクトを編集部がセレクトして紹介する「こここなイッピン」。
今回のイッピンは、障害のある人のアート活動を支援している〈たんぽぽの家 アートセンターHANA〉(奈良県奈良市)でつくられている「厄除鬼」。ユーモラスな表情の8色の鬼は、それぞれ意味が異なります。あなたはどの鬼を選びますか?
鬼を招き入れ、鬼を祓う!? 奈良の鬼伝説をモチーフにした、愛らしい厄除けお守り
ユーモラスな表情の8色の鬼は、それぞれ意味が異なります。あなたはどの鬼を選びますか?
寒さのピークを迎え、少しずつ春へ向かう頃、奈良の各寺院で大々的に開催される節分会。その際のお土産品として人気を博す、土鈴の「厄除鬼」。コロンコロンと素朴な音を奏でるカラフルな土鈴は、鬼といえどもそのお顔は愛嬌たっぷり。つい自宅に連れて帰りたくなる愛らしさです。
この厄除鬼が誕生したのは1987年のこと。障害のある人たちの個を支えあう市民コミュニティであり、〈アートセンターHANA〉の母体である〈たんぽぽの家〉では、新たな福祉施設を設立する話が持ち上がっていました。その資金集めとして、地域の唯一性を大事にしたお土産品を制作・販売することに。そこで、1300年の歴史を誇る〈元興寺(かんごうじ)〉に伝わる鬼「元興神(がごぜ)」に着想を得て制作されたのが、厄除鬼です。
ちなみに元興神とは、悪さをする「悪鬼」ではなく、悪鬼がおそれる「善鬼」。そんな伝承もあってか、元興寺の節分会は「福は内、鬼は内」というユニークな掛け声でも知られています。鬼を内に入れ、厄(鬼)を祓い、多幸を願う厄除鬼は、奈良を代表するお土産品として年々その知名度をあげ、近年は品薄状態になることも。
厄除鬼が誕生して30年以上。現在は年間約2000個が制作されています。当初は保護者やボランティアが中心となって制作していましたが、2000年頃から多くの工程を障害のあるメンバーにバトンタッチ。石膏型への流し込み、着色、土鈴の中の玉づくり、木札や紐を通す作業のほか、「制作には携われないけれど、販売は得意!」というメンバーは、節分会での対面販売で活躍しているそうです(注)。それぞれの関わり方で厄除鬼づくりに参加し、多くの人の手に届いています。
コロナ禍の今、疫病退散の期待を込めて購入する方も多いのだとか。玄関やリビングに、ちょっと怖くてかわいらしい厄除鬼を飾り、福を招き入れてはいかがでしょうか。
注:2020年は対面販売を中止し、委託販売、オンライン販売を行いました。
Information
厄除鬼
販売価格:【小】赤・黄・青・緑・黒1100円、白・銀・金1650円、【大】赤・黄・青・緑・黒1320円、白・銀・金1980円
※価格は税込
サイズ:【小】幅64×奥行55×高さ72ミリ、【大】幅93×奥行70×高さ93ミリ
素材:半磁器、レーヨン、アクリル、ツゲ材
製造:たんぽぽの家アートセンターHANA
販売:オンラインショップ GOOD JOB! STORE
Profile
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たんぽぽの家 アートセンターHANA
コミュニティ・アートセンター
すべての人がアートを通じて自由に自分を表現したり、互いの感性を交感することができるコミュニティ・アートセンター。障害のある人たちが自分の得意なことを生かして働き、興味や関心のあることを学び、それを人に発信・共有できる社会づくりに取り組む。アートセンターHANAには、障害のある人たちによるビジュアルアーツやパフォーミングアーツのスタジオ、今を生きる人たちの表現を紹介するギャラリー、コミュニケーションの場としてのカフェ&ショップ、アートの可能性について探求するインフォメーションセンターやミーティングルームが用意されている。たんぽぽの家と連携して活動を展開。