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“ケアする人”のためのアートワークショップ、千葉市美術館で開催! 「画材で遊ぶ、わたしをほぐす」12月6日
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カップに入ったさまざまな水絵具、クレパス、ちぎり絵などと一緒に、滲み絵が中央に置かれた俯瞰写真。
2025年12月6日(土)13〜16時、千葉市美術館・5階ワークショップルームにて開催

わたしがほぐれる、「アート」を生かしたセルフケア

人と関わる仕事のなかで、あるいは家族と一緒に過ごしたり、友人の悩みに耳を傾けたりしたあとで。「なんだか疲れちゃったな……」と感じるのは、ままあることではないでしょうか。

そんな心身の声をキャッチしたときの「セルフケア」には、さまざまな手法があります。例えば、体を動かしたり、モヤモヤした気持ちを文章にしてみたり、誰かに話したり、音楽を聴いたり、歌ったり。そうした対処法のひとつに、「アート」を生かしたセルフケアがあるのをご存知でしょうか?

身近な画材や素材を用いた表現を通じて、自分の内側と対話する。そんなアートワークショップ「画材で遊ぶ、わたしをほぐす」が、2025年12月6日(土)に〈千葉市美術館〉で開催されます。講師を務めるのは、介護福祉士、イラストレーター、アートワーカーとして活動する高橋恵子さんです。

マイクの前で笑顔で話している高橋さんの写真。
家族の認知症発症をきっかけに介護職に携わり、同時にアートワークを学び習得した高橋恵子さん。著書に『家でのこと〜訪問看護で出会う13の珠玉の物語』(医学書院)』などがあります

日頃から“誰かのケアに携わる人”に向けたアートワーク

今回開催されるイベントのサブタイトルは「ケアする人のためのアート時間」。看護師、介護士、保育士、家族の介護者など、日頃から“誰かのケアに携わる人”に向けたアートワークとなっています。

ほかにも、つい「誰かのために」とがんばりすぎてしまう人、誰かからの相談や感情を受け止めることが多い人などにもオススメのプログラムです。

水絵の具によるアート表現の画用紙が3枚ほど置かれている写真。

対象年齢は18歳以上で、参加定員は15名。3時間のアートワークを通して、水彩絵具、クレヨン、ソフトパステル、色鉛筆、濃い鉛筆、ちぎり絵など、身近な画材や技法に触れ、手の動くままに表現していきます。体の感覚、心の動き、各画材の性質や使い心地をゆるやかにリンクさせ、まるで聴き上手な親友を心の内側につくるような感覚で、表現を通じて自分自身と対話します。

そうして、今の気持ちや言葉では説明しにくい思いを色や形に変えていくなかで、不思議と心が和らぎ、ストレスケアにもつながっていくアートワーク。自分に寄り添うコツが見つかったり、日常に取り入れやすいセルフケアに出会えたりすることも狙いとしています。

クレヨンで画用紙に絵を描く参加者の様子の写真
「クレヨン、水彩絵具、和紙、パステル、鉛筆など、画材はそれぞれに心をほぐす独自のはたらきを持っている」と語る講師の高橋さん

体験と学びのプログラムを展開してきた〈千葉市美術館〉

このイベントを主催する〈千葉市美術館〉は、誰もが表現できる創造的な場を目指し、さまざまな体験・学びのための施設やプログラムを設けています。

そのひとつとして展開されてきたのが「みんなでつくるスタジオ」というプロジェクト。アート、陶芸、ダンス、演劇など、それぞれの得意なこと、好きなこと、ワクワクすることを持ち寄り、みんなで創造していくクリエイティブスペースとしてひらかれています。

これまでさまざまな講師がプロジェクトに関わるなか、高橋さんも「画用紙は、わたしだけの遊び場」「ライブに描く、色とあそぶ」などのアートワークを開催。大人も、子どもも、絵を描くのが得意な人も、そうでない人も、夢中になって表現し、遊ぶ時間となりました。参加者からは「全身全霊精魂つきはてるまで表現できた」「どんどん解放されていって、大胆に描けるようになり、心から楽しめた」といった声が届いているといいます。

クレヨンでアート表現している様子の写真。皿の上にたくさんのクレヨンが見える

さらに〈千葉市美術館〉は、誰にとっても身近であり、誰もが患う可能性のある「認知症」という社会的課題へのアプローチも試みてきました。

ただ恐れるばかりではなく、正しい知識を持ち、認知症のある人へのかかわり方を知れば、視界はきっと明るくなる。そんな思いから、同館のワークショップパートナーであり、家族が認知症になったのをきっかけに介護士となった高橋さんとプログラムを練りあげ、2024年7月から「〜認知症きほんの「き」~ 認知症が身近になるアートのじかん」を度々開催してきました。

参加者の多くは、認知症の家族を介護する人、介護経験がある人、介護職に関わる人など。アートワークに参加するなかで、いつの間にか表情がほぐれ、心を軽くして帰って行く姿が印象的だったといいます。

過去のアートワークショップの様子。テーブルを囲み、それぞれがアートワークに取り組んでいる写真

「画材」と「表現」の力を、より多くの人へ

そうしたプログラムの開催を重ねるなかで、認知症に限らず、ケアをする側・される側へポジティブに作用する体験とはなにか、美術館だからこそ提供できるものがないか、高橋さんと〈千葉市美術館〉は更なる議論を続けてきました。そして着目することになったのが、「画材」と「表現」が持つ力だったといいます。

美術館とは、「画材」によって生み出される「表現」に価値を見出し、人々にひらき、未来につなげる役割を持つ場所であること。そして高橋さん自身も「画材」と「表現」を日常のなかに取り入れ、介護に向き合う力としていること。美術館という場所と、高橋さんだからこそ提供できるプログラムとして、今回のアートワークショップ「画材で遊ぶ、わたしをほぐす」が企画されました。

水絵の具を使って画用紙に色を乗せている様子の写真

日頃から誰かのケアをしている人こそセルフケアが大切、という〈千葉市美術館〉。「なんだか疲れちゃったな……」と感じている方や、そうしたときのセルフケアを知りたいという方は、ぜひ本プログラムをチェックしてみてください。表現を大切にする美術館という場所で、アートを楽しみながら、わたしをほぐしてみてはいかがでしょうか。