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認知症の母と支える父の姿を描くドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。〜おかえり お母さん〜』が3月25日上映開始
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えいがのポスター。にわのあじさいのまえで、えがおのふうふツーショットのしゃしん。したはんぶんに、えいがタイトル
2022年3月25日(金)より劇場公開される映画『ぼけますから、よろしくお願いします。〜おかえり お母さん〜』

2018年に大ヒットした映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の続編が公開

ドキュメンタリー作家の信友直子監督による映画『ぼけますから、よろしくお願いします。〜おかえり お母さん〜』が2022年3月25日より全国で劇場公開されます。

本作は認知症になった母と、母を支える父の姿を捉えたドキュメンタリー映画。2018年に公開され、令和元年度文化庁映画賞、文化記録映画大賞を受賞するなど高い評価を得た映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の続編です。

ある日アルツハイマー型認知症になった87歳の母と、母を介護することになった95歳の父。その暮らしを、ひとり娘である信友監督が丁寧に映し出した前作は、単館で公開されると評判が口コミで広がり、上映劇場が約100館まで拡大。動員20万人を超える大ヒットを記録しました。

認知症を発症し「なにもわからなくなってしまった」と戸惑う母。90代にして家事と介護を始める父。そしてその様子を映像で記録しながら、帰郷して共に暮らすべきか悩む「私」。前作で描かれた家族の葛藤を紐解きながら、今回は前作で始まった介護生活のその後が描かれます。

入院、症状の悪化、延命治療…介護生活その後の物語

2018年。認知症の母と、母の介護をする父は、ともに90代になっています。母の認知症は進行し、さらに脳梗塞を発症。入院生活がはじまり、父は毎日1時間かけてお見舞いに通うようになります。「手がかかるようになってごめんね」という母を励まし、「早く良くなって家に帰ろう」と声をかける父。母がいつ退院してもいいように、98歳にして筋トレをはじめます。

ベッドによこたわるははのてをにぎる、ちち

一時は回復の兆しを見せたものの、新たな脳梗塞が見つかった母の病状は深刻さを増していきます。2020年、新型コロナウイルスの流行により面会さえ困難に。それでも諦めずに奮闘する家族の姿をありのままに、そして時にユーモラスに描き出します。

りょうてにりんごをもち、えがおのおかあさん
信友監督が映すお母さんは、とてもチャーミング。さまざまな困難が訪れる介護生活ですが、ユーモアを忘れず日常を楽しむ夫婦の姿も描かれます

娘と映像作家、2つの立場から制作に取り組む信友監督

監督を務める信友さんは、長年、主にテレビでドキュメンタリー番組の制作を手掛けてきました。2009年には自らが乳がんになったことをテーマに『おっぱいと東京タワー 〜私の乳がん日記〜』を発表し、ニューヨークフェスティバル銀賞・ギャラクシー賞奨励賞などを受賞。

前作『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、2013年から撮りためていた自身の父母の記録を「娘が撮った母の認知症」として2016年と2017年にテレビ放送したものが元になっています。一作目の完成後も、東京で暮らす信友監督は度々、広島県呉市にある実家を訪れ、撮影を続けていました。

娘でなければ撮れないような親密な会話や何気ない日常の風景と、現実を冷静に映し出すドキュメンタリー作家としての視点。娘と作家、2つの立場で揺れながらも、だからこそ捉えることができた映画になっています。

パソコンのがめんにむかっているふたり。りょうてをむねのまえにパーにしてあげて、わらっている
「ファンも多い」というお父さん(左)と一緒に、オンライン・イベントで配信を行う信友監督(右)

認知症とともに生きることの大変さや、家族の苦労、老老介護の問題なども含みながら、そこに映し出されるのは一組の幸せな夫婦の、等身大の姿。家族を思う母と、自分なりの美学を持ち、母に愛を注ぎ続ける父。二人の姿を目にすると、こんな風に老いていくことに向き合い、生きていけたら、と思わずにはいられません。

にわのあじさいによりそうようにポーズをとるおとうさん
母が大切に育てていた庭の紫陽花の前でポーズするお父さん

「この映画で描いているのは自分の母と父ですが、みなさまそれぞれの大切な人を思いながら、かけがえのない日常を一緒に体感していただければ嬉しいです」と、信友監督は語ります。

ひとつの家族の記録でありながら、家族や身近な大切な人のことを感じながら、自分の物語として観ることができる本作。ぜひ劇場でご覧ください。