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“まちに愛される建築デザイン”がテーマの助成事業「みらいの福祉施設建築プロジェクト2022」が事業プランを募集中
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「地域と福祉の未来をつくる拠点」をかたちにする、福祉施設のための助成プロジェクト

公益財団法人 日本財団〉が2021年からスタートさせた助成事業「みらいの福祉施設建築プロジェクト」の第2回事業プラン募集が始まりました。2022年6月1日(水)より応募開始となり、締め切りは9月13日(火)です。

この事業は、「福祉施設」という場所が地域にひらかれた魅力的な場所となり、多様な人たちと共に「地域と福祉の未来をつくる拠点」として、豊かな共生の場を全国に展開することを目的とした助成プロジェクトです。

昨年の第1回助成事業の募集は〈こここ〉のニュースでもご紹介しました。

プロジェクトのポイントは「福祉」×「建築デザイン」

このプロジェクトは、単に新しい福祉施設を新設したり改築するための助成事業ではありません。最たるポイントは、施設の「建築デザイン」が地域にひらかれるための重要な要素として位置づけられていること。つまり、施設の事業実施団体と設計者の協働による建築デザイン提案が、建築関連事業プランに含まれることが必須条件です。

それらをベースに、福祉施設の更なるアップデートと、これからの地域社会づくりが考慮された事業内容であることが重視されます。

40年以上にわたり、数多くの社会福祉施設の建築助成を行ってきた〈日本財団〉は、「建築デザイン」を重視する理由をこのように述べています。

社会福祉施設が、地域社会に開かれた魅力ある場所として認知され、まちづくりの核となっていくためには、建築デザインが重要な要素となってきます。デザインは環境をつくり、環境はサービスやケアと密接に結びついているからです。

(開催趣旨より)

第1回「みらいの福祉施設建築プロジェクト」で採択された事業とは?

2021年に行われた第1回募集では、472事業から申請があり、うち1次通過が20件、最終的に6件が採択されました。

500件近い事業実施団体と設計者の協働が生まれたことは、それだけ多くの福祉施設が「地域と福祉のあたらしい拠点をつくりたい」といった未来思考や、「現状をなんとかしたい」という課題解決を目指していたということ。このテーマへの関心の高さを伺い知る機会となりました。

「みらいの福祉施設建築プロジェクト2021」のグラフィックビジュアル
2021年に行われた、第1回「みらいの福祉施設建築プロジェクト」のビジュアルイメージ

助成決定事業となった、北海道十勝市の訪問介護ステーション〈特定非営利活動法人 かしわのもり〉と〈株式会社トコト一級建築士事務所〉は、十勝ならではの暮らしや文化を伝える福祉事業と、農村風景に接続するような建築デザインを提案。

宅幼老所を中心に、カフェやライブラリーなど多機能で複合的な、地域にひらかれた福祉活動拠点〈まち化する福祉施設 レンガの家〉は、審査委員から以下のような評価を得て、採択となりました。

「敷地周辺地域に見られる形態や素材を用いることで、地域住民に受容されやすい寛容な佇まいとなっている点も高く評価される。」(竹宮健司委員)

「訪問看護等の地域ケアに加え、健康づくりや教育、交流等の活動に積極的に取り組んできた実績からも、本来制度で区切ることのできないまちづくりの視点が感じられた。」(森下静香委員)

〈まち化する福祉施設 レンガの家〉の構造、機能面、コンセプト、建築パース画像がまとめられた提案資料
〈特定非営利活動法人 かしわのもり〉と〈株式会社トコト一級建築士事務所〉による、農村風景に接続する〈まち化する福祉施設 レンガの家〉の提案資料 (提供:日本財団)

また、1年前から進めていた新施設の準備段階で本助成プロジェクトの存在を知ったという、茨城県古河市の重度障害児預かりサービス事業〈一般社団法人 Burano〉。医療的ケアが常時必要な子どもやその家族、また施設の事業内容に深い理解を示す〈NIDO一級建築士事務所〉とタッグを組み、子どもや家族の「やりたい」気持ちの実現や、地域とのつながりが生まれる場となる〈BURANO OYAMA ー医療的ケアが必要な子どもたちと家族の欲張り拠点ー〉を提案しました。

「小規模な住宅のような落ち着いた佇まいを見せる一方、内部は将来の使い方の変化に対応できる可変性のある空間構成となっている。」(竹宮健司委員)

「医療的ケアの必要な子どもたちとご家族を、明るい場所で笑顔になれるようにしたい、というコンセプトを図面から感じとることができました。」(前田 晃委員)

といった審査委員の評価を得て、助成決定となりました。

〈BURANO OYAMA ー医療的ケアが必要な子どもたちと家族の欲張り拠点ー〉の構造、機能面、コンセプト、建築パース画像がまとめられた提案資料
〈一般社団法人 Burano〉と〈NIDO一級建築士事務所〉による新施設の提案〈BURANO OYAMA ー医療的ケアが必要な子どもたちと家族の欲張り拠点ー〉の資料 (提供:日本財団)

残念ながら採択には至らなかった応募施設からも「企画づくりを通して建築家など外部との協働により、多角的な視点で福祉施設が地域でどのような役割を担っていくべきかを考えるきっかけになった」という声が多数寄せられたそうです。

第1回「みらいの福祉施設建築プロジェクト」のアーカイブサイトには、1次審査結果、採択された6事業の提案資料、各事業のプレゼンテーション動画、審査委員による総評などが掲載されています。

2022年度の事業補助額は上限5億円、事業費総額を100%補助

第2回募集期間は、2022年6月1日(水)~9月13日(火)まで。

対象となるのは、一般社団法人、社会福祉法人、NPO法人、医療法人など、日本国内にて法人格を取得している団体です。

保育所の新設、老人福祉センターの改造、地域との交流活動を誘発するような外空間の増設など、社会福祉施設の新築からリノベーションに至るまで、幅広い事業を対象としています。

1事業あたりの補助額の上限は5億円。工事費、機器・備品購入費など、事業費総額を100%補助。助成件数は10事業程度を予定しています。

審査委員には、国内外の美術館設計のほか、災害時の仮設住宅や避難所用間仕切りシステムの開発でも知られる建築家・坂 茂さんを委員長とし、さまざまな分野で活躍する建築家、NPO法人の代表などが就任。

審査の視点は、施設の利用者や職員が心地よく過ごせる空間が、デザイン性を考慮したうえで設計されていること。支援計画や理念の明確さ、継続的な活用や将来展望を見据えた建築であることなどが重視されます。

新設されたばかりの特設サイト「福祉と建築」からも情報を発信中

〈日本財団〉と任意団体〈福祉と建築〉の共催企画としてスタートした、福祉と建築にまつわるイベントやワークショップの情報を発信する特設サイト「福祉と建築」も必見です。

2022年7月2日(土)に開催されるトークイベント「第3回 福祉と建築 -知る・つながる・やってみる-」は、「福祉」「ケア」「建築」「住まい」といった言葉をテーマに、福祉への深い知見を持つ研究者、福祉施設の代表、建築家が登壇します。

本イベントの第6セッション「日本財団みらいの福祉施設建築プロジェクト」では、第1回の採択事業者・設計者から4名が登壇。第2回応募の参考になるような話題がたくさん語られる予定です。

心地よい空間が設計された建物と、人々が集い遊んでいるイメージの、特設サイト「福祉と建築」のメインビジュアル
特設サイト「福祉と建築」のメインビジュアル。6月22日(水)開催の「福祉と建築 オンラインワークショップ」は、すでに定員に達したため、募集締め切り

福祉の現場に携わるなかで、さまざまな課題を感じ、またそれらの改善につながるアイデアをお持ちの方は、その思いや理想を叶えるチャンスかもしれません。この機会をお見逃しなく!

また、建築を学ぶ学生や、地域にひらかれた場づくりに関心がある方にも、本助成プログラムで採択された施設の構造や考え方、「福祉と建築」でのイベント内容は参考になるものが多いはず。ぜひチェックしてみてください。