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歩くことを通して他者との対話を味わう「編路」。10月11・12日北の丸公園(東京都)で開催
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歩く人の足元の写真が掲載されたチラシ画像

自分自身や他者との間に新しい関係性を見出すウォーキング・プログラム

毎日、どこかへ移動するときに何気なくしている「歩く」という行為。変化する景色、すれ違う誰か、足元の感触。さまざまなことを感じているはずですが、意識を向けずにいることが多いのではないでしょうか。

そんな「歩く」をテーマにした参加型プログラム「編路」が、2025年10月11日(土)・12日(日)に北の丸公園(東京都千代田区)で開催されます。豊かな自然に囲まれた公園で、他者と歩く経験を通じて、言葉にならない対話を味わい、自身の中で浮かび上がるさまざまな思考や想像と出会います。要予約、参加費は無料です。

企画者の吉田拓さんと「ソーシャル・コレオグラフィ」

本イベントを企画したのは、ダンサー・振付家の吉田拓さん。ダンスカンパニー〈東京ELECTROCK STAIRS〉の国内外のダンス公演に多数出演し、現在は作品制作を行いながら、パフォーマンスアート・プラットフォーム〈Stilllive〉や、アーティスト・コレクティブ〈pito〉などで、多分野のアーティストや研究者と数多くのコラボレーションを重ねてきました。

吉田さんの横顔
吉田拓さん ©️Ryo Mitamura

また、近年はダンステクニックをベースにしていない身体表現との出会いから「あらゆる動きがダンスとみなされるのであれば、誰でも主体的にダンスを生み出すことができる」という考えのもと、参加型プログラム「ダイアローグ・コレオグラフィ」「かすかなひかり、ひみつのおどり」などを企画しています。

二人の人が隣同士で立ち、右側の人の踊りを左側の人が見ている
参加者がペアになり、対話しながらお互いに振付し合う「ダイアローグ・コレオグラフィ」。ダンス経験にとらわれないアイデアが多く見られ、日常では生まれることのないコミュニケーションを経験する場にもなりました ©️Chiharu Saito
薄暗い中で踊る人たちの残像
薄暗い照明で、人目を気にせず踊るプログラム「かすかなひかり、ひみつのおどり」。他者と場を共有しながら、自由なアイデアで身体を動かすことは、セラピーのように心身がゆるむ効果も得られたそう ©️Ray Thoma

そのような関心を持つなかで、2024年に吉田さんは「ソーシャル・コレオグラフィ」と出会います。「ソーシャル・コレオグラフィ」とは、2000年代前半に理論化され、実践が確立された新しいダンスの分野。人と人との関わり方を変化させることによって、新しい関係性のあり方を身体で体験し、想像しえなかった社会の構造を想像・体感することを目的とした振付を実践しています。

2025年3月に、ソーシャル・コレオグラフィの第一人者・マイケル・クリエンさんの代表作「Parliament」を東京で実施した吉田さんは、2025年7月には、ギリシャ・アテネで行われた「Parliament」のエキシビションにコアコラボレーターとして参加しました。今回のイベントは、日本人アーティストによって作られ、日本国内で実施される初めてのソーシャル・コレオグラフィ作品となります

「編路」とは

イベントタイトルの「編路」は、四国で伝統的に行われている巡礼の「お遍路」からインスピレーションを受けています。しかし本イベントでは特定の目的地を目指すのではなく、「路(みち)を編む」という意味を持ち、他者や自然との関係を編みながら歩く過程に焦点を当てています。隣にいる誰かのリズムを感じ、目には見えないつながりに意識を向けて歩くことで、自分の身体と他者や自然との境界を探り、新しい関係性を見出していきます。

実施されるのは、10月11日(土)・12日(日)の2日間。各日の11:00、15:00、17:00で、所要時間は70分程度です。準備運動をしてから歩き始め、リラックスした状態で「歩く」という経験と出会います。激しく運動するような場面はなく、実際に歩くのは30分程度。途中で休憩することもできるので、体力にあまり自信がない方もご安心ください。目の見えない方や耳の聞こえない方、英語話者の方も参加ができます。

ダンスや運動経験を問わず参加できるので、身体表現やコミュニティ形成に関心がある方から、ハイキングなど自然の中を歩くことが好き、あるいは街歩きが好きという方まで、幅広く参加者を募集中です。

「普段とは異なるつながりが感じられる体験になるように準備を進めています」と吉田さんは話します。いつもは何気なくしている歩くという行為に意識を向けることで、自身やともに歩く他者、自然との間にどんな関係を編むことができるでしょう。ぜひ北の丸公園へ足を運んでみませんか。