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ヘラルボニー主催の国際アートアワード受賞展「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」9月22日まで開催中
展覧会情報

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作品の前でほほえみを浮かべて立っている、浅野さん
9月22日まで開催中の「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」。グランプリを受賞した作品「ヒョウカ」と作家の浅野春香さん

受賞作品と最終審査進出作品62点による展覧会

〈株式会社ヘラルボニー〉が主催する、障害のある作家を対象とした国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024(ヘラルボニー・アート・プライズ)」の受賞作品が一堂に会する展覧会「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」が2024年9月22日(日)まで、東京・大手町の〈三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン〉にて開催中です。

応募総数1,973点から選ばれた、グランプリをはじめとする、各受賞作家と最終審査進出作家、総勢58名による全62作品が展示されています。入場は無料。また、展覧会期間中の週末には、〈ヘラルボニー〉スタッフによる作品鑑賞ツアーなども実施されています。

展覧会の会場内の写真
地下鉄・大手町駅直結、JR東京駅からも徒歩圏の〈三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン〉にて開催中です

「HERAL BONY Art Prize 2024」とは

〈ヘラルボニー〉は、「異彩を、放て。」をミッションに、アートを起点に新たな価値や文化の創造を目指す、福祉実験カンパニーです。国内外の主に知的障害のある作家の描く2,000点以上のアートデータのライセンスを管理、ビジネスへと展開しています。

今回、障害のある作家の才能が評価され、さらなる活躍の道を後押ししていけるようにとの思いから、公募制コンペティションを創設。2024年1月31日「異彩(イサイ)の日」から3月15日までの期間、作品を募集しました。

世界28カ国924名のアーティストから1,973点の作品が届き、グランプリ他、企業賞や審査員特別賞が決定。厳正な審査により選出された全62作品が、8月10日(土)より、〈三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン〉にて展示されています。

グランプリと受賞作品のご紹介

今回グランプリを受賞したのは、浅野春香さんの「ヒョウカ」。満月の夜の珊瑚の産卵をテーマに、切り広げた米袋に満点の星空や宇宙、満月などのモチーフが緻密に描かれた作品です。母親の胎内にいた頃の情景や、珊瑚の研究者である父親からインスピレーションを受けたという本作。無数の小さな円の連なりからは、生命の広がりやエネルギーが感じられます。

受賞作品の写真
会場で実際に見ると、紙の凹凸やシワなどから、作品の立体感も感じることができます

20歳で統合失調症を発症後、入退院を繰り返しながら闘病を続けてきた浅野さんは、29歳で本格的に作品制作を始めました。受賞作品である「ヒョウカ」は「評価されたい」という純粋な思いから制作されています。浅野さんはその欲求を「恥ずかしいこと」だと思っていましたが、ある人に「それもあなたの素直な気持ちの表れ」と言われたことをきっかけに、ありのままの気持ちを表現していくようになりました。

こうした「ヒョウカ」への浅野さんの思いを受けて、〈ヘラルボニー〉代表の松田崇弥さん・松田文登さんは「障害のある方が『ピュア』とイメージされやすい一方で、評価されたい、自立したいという思いは、一人一人が持つ権利であると感じました。この賞が浅野さんにとって誇りとなるよう、私たちも努力して参ります」とコメントを贈りました。

賞金額が書かれたボードやたてなどを手に、浅野さんを挟んで3人で並んでいる
グランプリを受賞した浅野さん(中央)と、〈ヘラルボニー〉代表のお二人

「企業賞」はゴールドスポンサーの7社、東京建物株式会社、株式会社サンゲツ、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社ジンズ、株式会社丸井グループ、日本航空株式会社、トヨタ自動車株式会社より授与されました。受賞した作品は、その企業のサービス・プロダクト・事業のいずれかに採用される予定です。

オレンジ色や黄緑色、黄色、などを使って画面いっぱいに描かれた絵
大家美咲「お城」(sangetsu賞)
青や黒が混じってマーブル模様のようになっている作品
フラン・ダンカン「Blue Marble」(丸井グループ賞)
カラフルなクジラが重なりあうように画面いっぱいに描かれている
澁田大輔「クジラの群れ」(トヨタ自動車賞)

また、予想を上回る数の応募があったことから、審査員特別賞を創設。審査員を務めた、金沢21世紀美術館チーフ・キュレーターで〈ヘラルボニー〉のアドバイザーでもある黒澤浩美さん、東京藝術大学長の日比野克彦さん、LVMH メティエ ダール ジャパン ディレクターの盛岡笑奈さん、フランス・パリのギャラリー〈Galerie Christian Berst〉の創設者Christian Berst(クリスチャン・バースト)さん、4名の審査員がそれぞれ独自の視点で選出しました。

赤、紫、水色、クリーム色の様々な形のパーツを組み合わせたような絵画
S.Proski「Untitled」(審査員:日比野克彦)
黒い画面に白いペンで風景が描かれた作品
鳥山 シュウ 「ウガンダ(黒)」(審査員:盛岡笑奈)

来場特典のプレゼントや、鑑賞ツアーも開催

〈ヘラルボニー〉の公式LINEの友だち登録をすると、会場にてスペシャル音声コンテンツとグランプリ受賞作品のポストカードが1枚プレゼントされます。(※ポストカードは数に限りあり。なくなり次第終了。)

スペシャル音声コンテンツでは、俳優・アーティストの片桐仁さんと〈ヘラルボニー〉クリエイティブ・プロデューサーの朴里奈さんが、受賞作品について語り合います。展覧会会場で、作品をより深く楽しむことができるコンテンツです。

出演者の顔写真が載ったコンテンツのバナー画像
受賞作品の鑑賞と解説を交えたボリュームたっぷりの音声コンテンツ。会場内でイヤホンの貸出はないため、ぜひご持参の上、お楽しみください

展覧会期間中の土、日、祝日には、ヘラルボニースタッフが作品を紹介する鑑賞ツアー「アートクルーズ」が開催されます。参加費無料で事前申込は不要です。また、夏休み企画として、小学生を対象としたツアーも開催。こちらは、各回15名が定員で、申し込みが必要です。

審査員の黒澤浩美さんは、2,000点に及ぶ作品を見た総評としてコメントを寄せています。

様々な文化や歴史、異なる背景を持つ一人ひとりのストーリーを丁寧に見る度に、世界はとても広く美しいのだと実感しました。
賞を取った作家をはじめ、残念ながら今回は受賞できなかった作家のみなさんが、これから様々な機会を得て世界に旅立ってほしいと思います。
アートの世界ではいかに他の人と違うかが重要ですが、それこそヘラルボニーのミッション「異彩を、放て。」、そのものだと感じました。

異彩を放つ62作品の、実物を見ることができる貴重な機会です。一つひとつの作品の筆使いや色の重なり具合を感じながら、ぜひゆっくりとご鑑賞ください。