ニュース&トピックス

人生最期の2年を凝縮したドキュメンタリー映画『愛について語る時にイケダの語ること』6/25上映開始
上映・配信情報

  1. トップ
  2. ニュース&トピックス
  3. 人生最期の2年を凝縮したドキュメンタリー映画『愛について語る時にイケダの語ること』6/25上映開始

2021年6月25日(金)よりアップリンク吉祥寺、7月10日(土)大阪・シアターセブンにてロードショー。以降全国で順次公開予定

イケダの人生最期の2年間を凝縮した、初主演・初監督の遺作

2015年に逝去した「イケダ」こと池田英彦さんの初主演・初監督ドキュメンタリー映画『愛について語る時にイケダの語ること』が、2021年6月25日(金)よりアップリンク吉祥寺(東京都武蔵野市)、7月10日(土)大阪・シアターセブン(大阪府大阪市淀川区)にて上映されます。公開後は、全国にて順次公開予定です。

この映画のエンディングは初めからイケダさんの死と決まっていました。「僕が死んだら映画を完成させて、必ず公開してほしい」という企画・監督・撮影・主演を務めるイケダさんの言葉に従い、プロデューサー・撮影・脚本を務める真野勝成さんが、編集を佐々木誠さんに依頼し、完成させた作品です。

本作品はイケダさんがハンディカメラなどを使って撮影した動画を編集した形で構成されている

イケダさんは、四肢軟骨無形成症という、低身長や四肢の短さを引き起こす骨系統の疾患を持っています。40歳の誕生日前には硬癌性胃がんのステージ4と診断され余命宣告を受け、2015年に亡くなります。

ガンの宣告後、イケダさんは「今までやれなかったことをやりたい。生きているうちにセックスを沢山したい」と考え、女性との性行為も含めた自らの生きる姿をビデオカメラで記録し続けます。本作品はイケダさんの人生最期の2年間を凝縮した初主演・初監督作品であり、遺作でもあります。

プロデューサー・撮影・脚本を務める真野さんとの軽妙なやり取り

イケダさんが自分のセックスを映像として残し始めたのは2014年。そして、自分自身を「映画」にすることを思いつき、古くからの友人である真野さんを映画制作に巻き込みます。真野さんは、『相棒』や『デスノート Light up the NEW world』などを手掛けた脚本家。作品中でのイケダさんと真野さんの軽妙なやり取りは笑いを誘い、骨太なテーマを扱いながらもユーモアに溢れています。

イケダさんは真野さんに恋愛観を語り、セックス記録とは別に、会話の途中で生まれた「理想のデートをしてみたい」というアイデアを映画の中で実現しようとします。そして、「理想のデート」を演じる中で、虚構と現実が入り混じることに。映画を通して見えるのは、イケダさんが見ていたリアルな世界と、イケダさんが企画・監督・撮影・出演として見せたいと思った世界の両方かもしれません。

「理想のデート」の相手は俳優の毛利悟巳さん。デート中の毛利さんのセリフや言動は真野さんの脚本がベースとなっている

リアルとフィクション、善意と偽善、生と死、表裏一体な多様性を問う作品

本作の共同プロデューサー・構成・編集は、『ナイトクルージング』などの監督を務める佐々木誠さんが担当。本作を制作している最中、イケダさんと真野さんは佐々木さんの監督作品『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』を一緒に観に行きます。そこでの出会いがきっかけで、編集を依頼することに。

佐々木さんの作品に通底するテーマは「虚実皮膜」。虚構と事実が皮膚と薄皮のようにくっつき、区別できないほどの微妙な違いを意味する言葉です。佐々木さんは、イケダさんの残した60時間にわたる膨大なセックステープやインタビュー映像の中に「虚実皮膜」を見出し、58分に凝縮しました。

本作品のタイトル『愛について語る時にイケダの語ること』は、アメリカの小説家レイモンド・カーヴァーさんの短編小説であり、日本では村上春樹さんによる翻訳版で知られる『愛について語る時に我々の語ること』のオマージュです。作品完成後に、「イケダはこんなにも沢山、愛について語っていたのか」と気づき、真野さんの愛読書でもあるこの本のタイトルにかけたのだとか。本作品はドキュメンタリーですが、「どこかアメリカ文学の短編小説のような余韻があると思う」と、真野さんは言います。

イケダさんという一人の人間の生き方とリアルな愛の探求に出会える作品です。ぜひ、劇場でご覧ください。