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福祉の課題を解決する「インクルーシブデザインチャレンジ!」が7月19日から滋賀県長浜市で開催。聴講参加者を募集中
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【ロゴ】
「インクルーシブデザインチャレンジ!」のロゴには、〈シブヤフォント〉が展開するご当地フォントで、滋賀県東近江市の社会福祉法人〈やまびこ福祉会〉、創作ヴィレッジ〈こるり村〉のメンバーが製作したフォントが使用されています

福祉分野の“困りごと”がアイデアのタネに。「インクルーシブデザインチャレンジ!」が今年も開催

さまざまな属性やバックグラウンドを持つすべての人々が孤独や孤立、排除などを感じることなく、社会の一員として共に生きることをめざす「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」の理念に広がりつつあります。その中でも、「インクルーシブデザイン」は、高齢者、障害者、外国人、生きづらさを抱える人といった、これまで製品やサービスのデザインプロセスから除外されてきた多様な人々を巻き込みながら進めるデザイン手法として注目を集めています。

滋賀県・長浜市社会福祉協議会では、他分野との協働によって福祉分野にある潜在的な資源を活かすべく、2022年に〈福祉とデザイン研究会〉を立ち上げ、インクルーシブデザインの先駆的存在である〈一般社団法人シブヤフォント〉の協力のもと、さまざまな分野を巻き込んだインクルーシブデザインに取り組んでいます。この研究会では、福祉の課題を抱える当事者を中心としたチームがそれぞれのプロジェクトを進めつつ、2023年からは市民参加型の公開セミナー「インクルーシブデザインチャレンジ!」を開催。プロジェクトでの実践のほか、ワークショップやプレセンテーションを通じてインクルーシブデザインへの理解を深めています。

現在、2025年から2026年にかけて開催される「インクルーシブデザインチャレンジ!」の聴講参加者を公式サイトの応募フォームから募集中です。2024年度に引き続き、〈シブヤフォント〉から古戸勉さんとライラ・カセムさんをアドバイザーとして招き、全3回のインクルーシブデザインに関するセミナーを行います。

【画像】ワークショップにさんかしている人の手元。プロジェクトについてワークシートにかきこんでいる
昨年開催された「インクルーシブデザインチャレンジ!」の様子

「インクルーシブデザインチャレンジ!」で、福祉分野の潜在的な資源を育てる

〈福祉とデザイン研究会〉は、福祉分野にとどまらずさまざまな分野と協働してインクルーシブデザインを実践することで、分野を横断した「インクルーシブデザイナー」を育成することを目的としています。この研究会が立ち上がったのは2022年のこと。「福祉分野の課題は、福祉分野の人材だけで解決する」という傾向がある中で、「さまざまな分野と協働しながら、新しい取り組みが始まるようなことがしたい」という思いから、長浜市社会福祉協議会ではインクルーシブデザインの領域で先進的な取り組みを行なっている実践者の話を聞く全3回の講義型セミナーを開催しました。

そして、このセミナーに参加した人たちからの「今度は実践的な試みをしてみたい!」という声に後押しされ、2023年からは実践的にプロジェクトに取り組みながらインクルーシブデザインを学ぶ研究会が行われるようになりました。

2023年度には、それぞれの福祉の現場の課題感から、発達障害のある子どもたちの職業体験を実践する「グッジョブ×ジョブ」、高齢者を対象にリズム体操や口腔体操を開発するユニット「ノリノリ‘S」、車椅子ユーザーなどに向けたインクルーシブな衣服開発を行う「suinner」という3つのチームが発足。実践的にプロジェクトを進めるとともに、計3回行われるセミナーでインクルーシブデザインに対する理解を深めました

2024年には、それらのチームに加え、未来の福祉人材に福祉の仕事の魅力を伝える「ミラプロ」、社会的にマイノリティな状況にある人が感じるさまざまなハードルを体験して、想像・共感を促すためのコミュニケーションツールを開発する「わだちプロジェクト」、自社従業員に対して認知症のある人へのサポート研修を行う「平和堂」の3つのプロジェクトチームが発足。計6つのチームは、福祉分野で困りごとをかかえる当事者を中心に、福祉関係者や民間企業、フリーランスのデザイナー、社協職員など、組織や属性の枠を越え、継続的に実践活動に取り組んでいます。

【画像】参加者のみなさんが机をかこんで議論をしているようす
昨年開催された「インクルーシブデザインチャレンジ!」の様子。中央にいるのは、アドバイザーを務めるライラ・カセムさん

2025年度も3回にわたって公開セミナーを開催

2025年度は、2025年7月19日(土)にキックオフとワークショップが行われ、プロジェクトチームの紹介とインクルーシブデザインの講義、アイデアを産むためのワークショップが開催されます。続いて2025年10月18日(土)には、中間プレゼンテーションが行われ、プロジェクトの進捗紹介とアイデアをさらに発展させるためのワークショップを実施。そして、年をまたいで2026年2月21日(土)には、プロジェクトの1年間の発表会と参加者によるトークセッションが行われます。

【画像】プロジェクトさんかしゃとアドバイザーが集まっての集合写真

インクルーシブデザインの先駆者たちによるアドバイスも魅力

インクルーシブデザインについて考え、学びたい人たちにとって、アドバイザーの存在も大きな魅力のひとつです。2024年度に引き続きアドバイサーを務めるのは、福祉作業所ふれんど施設長で〈シブヤフォント〉共同代表、社会福祉士でもある古戸勉さん、〈シブヤフォント〉アートディレクターで国立奈良女子大学特任准教授のライラ・カセムさん。

古戸さんは大学在学中に福祉作業所の立ち上げに携わり、卒業後はそのまま作業所職員としてキャリアをスタートしました。そこから現在に至るまで36年間、作業所職員としての活動を続ける傍らで〈シブヤフォント〉、東京ヴェルデイによるスポーツ教室、地域の無料カフェ運営、伝福連携によるウチワ製作など多くの地域活動に参画しています。ライラさんは、〈シブヤフォント〉のアートディレクターを務めるほか、デザイナー・アートディレクターとして障害福祉や支援を必要とする現場の人々とクリエーターを繋げ、立場やアビリティ問わず一人ひとりの社会参加や自立につながるアート作品・商品や取り組みを作り出すプロジェクトに国内外で取り組んでいます。

公開セミナーとセミナー当日のワークショップには、各プロジェクトチームのメンバーや社会福祉協議会職員以外にも、聴講参加者として参加可能です。福祉やインクルーシブデザインに関心のある人はもちろん、福祉関係の仕事をする中で新たに視野を広げたいという人もこの機会に参加してみてはいかがでしょうか。

【チラシ画像】