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「介護のまなざし」が生む本当の景色とは? 映画『もう一歩』オンラインで無料公開中、全国で上映イベントも
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制作:一般社団法人KAiGO PRiDE(KAiGO PRiDE FiLMS)

公開2カ月で再生120万回。介護の“現場”から生まれたショートムービー

介護という仕事に、どのようなイメージがあるでしょうか?

最近は「ケア」などの概念が注目を高めるに従い、リスペクトをもって介護福祉士などの職業が語られる機会も増えてきています。一方で、大変そう、つらそう、などのネガティブな印象を抱く人も未だ少なくはないでしょう。

2025年11月に発表された映画『もう一歩』は、実際の介護職がどんな思いで働いているのか、どのように日々高齢者に関わっているのかを、実話をもとに描いた作品です。YouTube公開後2カ月を待たずに再生120万回を突破するなど、反響は大きく、各地でトークセッションを含む特別上映イベントも展開されています。

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監督:マンジョット・ベディ/制作総指揮:小口貴幸

父を施設にあずけて出会う、「もう一歩進んだら」のまなざし

本作の中心となるのは、高齢で認知症の症状が現れはじめた田辺昭雄。同居していた息子の浩介、遠方に暮らす娘の紗英は葛藤を抱えながらも、無気力さの増す昭雄を施設にあずけることを決めます。

「2人で、まだやれることがあったんじゃないのかなって!」

父を入所施設に送った帰途、そうこぼす紗英に、浩介はいらだちを隠せません。一方の昭雄も、最初は生活の変化に戸惑い、遠くをぼんやりと見つめる日々……。

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そんななか、介護職の藤井美咲がある場面でかけた一言から、昭雄の“新しい暮らし”が生まれていきます。

色づく景色と、変わってゆく昭雄の表情。24分の短編を通して、その変化のプロセスと、家族を支えた美咲の「もう一歩進んでみたら」のまなざしの意味が、作中で明かされていきます。

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父が少しずつ変わっていく。
その姿に揺れる家族。
在宅か、施設か——正解のない介護の選択に葛藤する日々。

やがて出会った介護職との時間が、
失われかけた“その人らしさ”を取り戻していく。
これは、いつか誰もが直面する人生の選択。
(『もう一歩』特設サイトより)

介護の本質に、クリエイティブの力で光を当てる〈KAiGO PRiDE〉

映画の監督を務めたマンジョット ・ベディさんは、長く日本の広告業界で活動してきた人物です。ある時出会った高齢者施設での光景から、「外から見た介護施設や介護職のイメージ」と「中で行われていること、大切にされていること」のギャップを痛感し、以来10年以上にわたって、日本の介護の課題をクリエイティブの力で解決しようと挑んできました。

自身が代表を務めてきた〈KAiGO PRiDE〉で、今回『もう一歩』を制作したのも、その取り組みの一つ。実際の介護職の持つマインドや、誰もが“自分らしく生きられる”ためのアプローチに、新たな光を当てたいという思いから、本作をつくりあげました。

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作品内の各シーンで登場するエピソードや言葉はどれも、制作にあたって〈KAiGO PRiDE〉が介護現場を取材するなかで聞いた、実話がもとになっています。

それらの逸話が生まれた背景も含め、どのように作品として表せば、「介護の世界」に誤解を抱いている人にも新しい視点を届けられるか──。事実を丁寧に伝えつつ、物語が“きれいごと”に映らないバランスには、特に気を遣ったとベディさんは語ります。

「家族であれば立ち止まってしまうところを、介護職の皆さんはさらに一歩踏み込んでトライしたり、諦めないで本人と話してみたりします。観た人がそのすごさに気づき、リスペクトが生まれる映画にしたいと思いました。

もちろん、役者自身には介護の仕事をした経験はありません。なので、リハーサルはもちろん撮影に入ってからも、現場には常に複数の現役介護職に居てもらって、しゃべり方や説明の仕方、立ち方や振る舞いなど細かい指導をしてもらいながら制作を進めました」

全国の上映イベント

介護の魅力を伝えるための多様なプロジェクトを手がけてきた〈KAiGO PRiDE〉には、活動に協力してくれるアンバサダーが全国各地にいます。

映画『もう一歩』が特徴的なのは、そうしたKAiGO PRiDEアンバサダーたちが作品監修を務めただけでなく、自ら“語り部”となって普及にも協力をしていること。実際、2025年12月の大阪上映、福岡上映を皮切りに、アンバサダー主催での特別上映会&トークイベントが始まっています。

2026年の予定は以下のとおり。詳細は、記事末にある映画公式サイトを参照ください。

1月12日(月) イオンモールとなみ(富山) ※終了
2月1日(日) 岡山県立図書館(岡山)
2月6日(金) なみきスクエア(福岡)
2月7日(土) Space札幌(北海道)
2月14日(土) 郡山公会堂(福島)
2月15日(日) 日本福祉大学 半田キャンパス(愛知)
2月26日(水) International KAiGO Festival 2026(東京)
2月28日(土) メルカつきまち(長崎)
3月1日(日) 守口市立図書館(大阪)

「みんなで泣きながら観た」「介護がこんな仕事だなんて知らなかった」など多くの反応が本作には寄せられており、上映会イベントでは終了後に、観客が登壇アンバサダーに悩みを打ち明けるなかで「今度こうしてみよう」というポジティブなアクションが見つかった……という一幕も。すでに介護に関わってる方にさまざまな気持ちの変化を生んでいる一方で、これまで介護の世界が縁遠かった方が「自分ごととして身近に考えられるようになった」と語るケースもあるといいます。

年を重ねるなかで、老いと向き合う瞬間はすべての人に訪れます。その時「介護」にどのようなイメージを持っているかは、その先の人生の選択に大きく影響するのではないでしょうか。24分の映画を通じて、新しい世界をぜひのぞいてみてください。