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福祉と伝統工芸と共に、これからのものづくりを考える〈NEW TRADITIONAL〉
商品・プロダクト紹介

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つくえのうえにならべられたすぎのきからつくられたしょくだいのしゃしん
障害のある人のものづくりと伝統工芸の相互発展を目指す〈NEW TRADITIONAL〉。全国各地のつくり手やつたえ手と連携し、新しい工芸に取り組んでいます

福祉と伝統工芸の分野が混ざり合う〈NEW TRADITIONAL〉

〈NEW TRADITIONAL〉は、2019年、障害のある人の表現と伝統工芸の相互発展を目指した取り組みとして始まりました。

障害福祉の世界では、障害のある人の賃金が低く、仕事の選択肢が少ないといった課題があります。一方、伝統工芸の世界では、後継者不足や産業時代へのニーズ低下が起こっています。〈NEW TRADITIONAL〉はこれらの課題を創造的に解決したいと、奈良市を拠点にする一般財団法人たんぽぽの家が始めたプロジェクトです。

新しいものづくりのあり方や、それらが息づく生活文化を提案

プロジェクト開始から現在に至るまで、〈NEW TRADITIONAL〉からは数々の新工芸が生まれています。
そのひとつが、「春日大社境内の杉から生まれた燭台」です。

かすがたいしゃけいだいのすぎからつくられたしょくだい
春日大社境内の杉から作られた、燭台。合わせて、奈良県産のみつろうの蝋燭も制作しました

春日大社では、境内において枯損木や風倒木となった木を木材として活用しています。目指したのは、神聖な木に新たな生命を吹き込み、人の暮らしに寄り添う製品。ディレクションを担当したクラフトギャラリーのオーナーとどのような製品に展開するかを考え、ウッドターニング・旋盤加工を行う作家とともに“祈りや願い”を込めた燭台が生まれました。障害のあるメンバーが生地の染付けレクチャーを受けて燭台を仕上げたり、伝統的な和蝋燭の製法を体験したりしながらみつろう蝋燭を制作しています。

 【春日大社境内の杉から生まれた燭台】
 クリエイティブディレクション:五井あすか(空櫁)
 設計・加工:Nakajima woodturning studio
 木材認証管理:あたつく組合
 写真:衣笠名津美

かつようされるもくざい
境内において枯損木や風倒木となった木
すてつぞめのようす
Nakajima woodturning studioのスタッフによる、障害のあるメンバーへの酢鉄染めのレクチャーの様子

他にも、3Dプリンタで出力した型と障害のある人の手仕事で作る張り子「グッジョブの張り子」や、山形の障害のある人の表現を米沢緞通(よねざわだんつう)に取り入れた敷物「NEW DANTSU」が障害のある人と伝統工芸のコラボレーション商品として生まれています。

ぐっじょぶセンターかしばのはりこが二つならんでいる
福岡の筑前津屋崎人形巧房が製作する「モマ笛」と3Dプリンターを使ったはりこ制作を行う〈Good Job!センター香芝〉の「Good Dog」のコラボレーションにより生まれました

 【筑前津屋崎人形巧房×Good Dog】
 絵付け:筑前津屋崎人形巧房
 はりこ製造Good Job!センター香芝
 製品写真:伊藤誠一(Good Job!センター香芝)

よねざわだんつうとこらぼれーしょんしたしきもの
「NEW DANTSU」として販売される商品の一つ。緞通(だんつう)とは、高密度の手織りの絨毯のこと。クッション性のある椅子敷きや玄関マットとして愛用されています

「NEW DANTSU」では、絹織物の産地として有名な山形県米沢市にある滝沢工房と、地元山形のデザイナーと障害のある人が協働したワークショップからデザインが誕生しました。

 【NEW DANTSU】
 ファシリテーター、ディレクター:?田勝信(?勝制作所)
 コーディネーター:武田和恵(やまがたアートサポートセンターら・ら・ら)
 ワークショップ参加団体:社会福祉法人ほのぼの会 わたしの会社、
 社会福祉法人さくらんぼ共生会、株式会社修誠会 
 しょうがい者就労継続支援B型事業所「くらら」
 写真:三浦晴子
 製品写真:伊藤誠一(Good Job!センター香芝)

じゅうたんをおるふうけい
ワークショップで制作した粘土造形から、絨毯を織るための設計作業を行う滝沢工房での風景
ようもうをてでうえこんでずがらにひょうげんする
絨毯の補修技術を活用し、羊毛を手で植え込んで図柄を表現する手法にもアプローチしています

本プロジェクトでは、障害のある人のしごとづくりや伝統技術の継承に留まらず、製品の展覧会やものづくりの現場を訪ねるスタディツアーも実施しています。福祉と伝統工芸を掛け合わせた新しいものづくりに興味関心をお持ちの方は、ぜひ〈NEW TRADITIONAL〉のWebサイトをご覧ください。