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テクノロジー×福祉で何ができる? 9/4・5開催「IoTとFabと福祉セミナー」
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せみなーぼしゅうがぞう
「IoTとFabと福祉」プロジェクトで、誰でも参加できるオンラインのセミナーが開催されます

これからの福祉とテクノロジーの関係性を考える、2日間の学びの場

2021年9月4日(土)・5日(日)、「IoTとFabと福祉セミナー 誰のためのテクノロジー? -福祉が変える技術のありよう-」がオンラインで開催されます。主催は、奈良県奈良市でアートとケアの視点から事業を展開する〈一般財団法人たんぽぽの家〉です。

1日目は「デジタルファブリケーションによる仕事づくり」、2日目は「IoTの活用場所をひろげる:ものづくりとケアの現場から考える」をテーマに、それぞれ3つのセッションを実施。すでに福祉現場で新しい技術を活用している方々やサービス開発者をゲストにお招きし、福祉とテクノロジーの関係性を考えます。

せっしょんのすけじゅーる
後日、各セッションのアーカイブ映像の配信も予定されています

「IoT」「Fab」って?

IoTとは「Internet of Things」の略で、モノのインターネットとも呼ばれます。日常生活で使うモノをインターネットを介してつなぎ、暮らしや生き方の選択肢を増やす提案として、近年広がってきました。

かつてはパソコンやゲーム機、タブレットなどのデバイスが中心でしたが、最近は時計やメガネ、家電、住居などにも導入されています。今後は、「食材の残量から商品を自動注文してくれる冷蔵庫」などへの用途の広がりも期待されています。

またFab(ファブ)とは、「Fabrication=モノづくり」と「Fabulous=愉快な」の2つの意味が含まれた造語で、あらゆるモノづくり行為の総称です。近年ではコンピューターで作成したデータを活用し、レーザーカッターや3Dプリンターなどの工作機械によって造形する技術「デジタルファブリケーション」が注目されています。

今回のイベントを行う〈たんぽぽの家〉でも、いくつかの実践がなされています。〈たんぽぽの家〉が運営する、障害のある人たちが仕事を生み出す拠点『Good Job!センター香芝』では、Fabの実践として「Good Dog張り子​​」を制作。

職人の数が減少していることを受けて、張り子の新たな可能性を探るべくFabに着目しました。手作りの作品をスキャンしてデータ化し、3Dプリンターで出力された型をベースに一枚一枚紙を貼り、絵付けしてつくり上げています。

福祉×現代技術で新たな仕事をつくるプロジェクト

「IoTとFabと福祉」は、2017年に〈たんぽぽの家〉が立ち上げたプロジェクトです。その背景には、科学技術の社会への影響力が高まるにつれて生じた「トランス・サイエンス問題」(科学で問うことはできても、答えを出せない問題)がありました。

科学が生んだ状況に対し、科学だけでは良し悪しを決められない。複雑化する問題に対して、「人の生死が身近にある福祉の現場だからこそ、専門的な技術を日常生活の知恵や感覚に変換できるのではないか」という仮説を持ち、IoTとFabと福祉の現在地や、新たな技術・知識を学んでいます。

これからの福祉とテクノロジーの関係性を考える「IoTとFabと福祉」プロジェクトの目的は、大きく2つ。福祉×技術によって新たな仕事をつくること、ケアの環境をよりよくすることです。

実際、4年間でさまざまな地域の福祉施設・団体とエンジニア・デザイナー・クリエイター・学生などによる協働プロジェクトを実施し、福祉現場における活用例を生み出しています。

でじたるししゅうき
障害のある人の手しごとをつくり出す愛知県豊山(とよやま)町の〈FLAME〉は、刺繍ミシンメーカー〈TAJIMA〉が製造している「デジタル刺繍機」を導入。障害のある人の創作の幅や地域とのつながりを広げていく取り組みを進めています
おりじなるてきすたいるでつくられたしょうひん
布小物・インテリア・アウトドア用品など質の高いモノづくりを実現している長崎県佐世保市の〈就労継続支援B型事業所MINATOMACHI FACTORY〉と、産業用プリンタを開発する〈株式会社ミマキエンジニアリング>が協働。オリジナルのテキスタイル(布製品における生地や柄)をつくり、新商品を展開しました

他にも3Dプリンターによる自助具の開発など、Fabの可能性を広める一方、介護現場でのIoT活用も始まっています。さらに、普及活動のためトークイベントや、国際シンポジウムの開催なども積極的に行ってきました。

対話から事例紹介まで、計6セッションを開催!

今回の「IoTとFabと福祉セミナー」は、2日間に渡り6つのセッションを開催します。

1日目の「デジタルファブリケーションによる仕事づくり」では、デジタル技術を活用したモノづくりが、障害のある人の暮らしや働き方にどんな変化を生みだすのかについて考えます。

たとえば「3Dプリンターでつくる道具と環境」のセッションでは、作業療法士が中心となり仕事や暮らしに必要な道具を社会に提供している〈ファブラボ品川〉と、フィルムや樹脂、不織布など多様な機能素材の可能性を広げている〈ユニチカ株式会社〉による対話を予定しています。

ファブラボ品川×ユニチカが共同開発した「TRF+H」と呼ばれるフィラメント。3Dプリンタで出力後、ドライヤーなどで45℃以上に温めると柔らかくなり、形状を変えることができるため、一人一人にぴったりな形にフィッティングすることが可能です

2日目の「IoTの活用場所をひろげる:ものづくりとケアの現場から考える」では、社会のなかでIoTの活用に取り組む企業の事例から、福祉の世界で「何ができそうか」「何が大切か」「何から始められるか」を学びながら現場への活用を考えます。

まだまだ未知数のIoTやFabの活用。福祉現場をより楽しく、豊かなものにしていく道具やメタ技術として、まずはセミナーに参加して知りませんか?