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島民との豊かな関係を育む、香川県豊島〈島キッチン〉。2021年日本建築学会賞を受賞
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〈島キッチン〉の外観写真。敷地内にあった樹木は、改修した建物や景観にフィットするように生かしている。
瀬戸内国際芸術祭2010のアート作品のひとつとして豊島に建てられた、建築家・安部 良さん設計の〈島キッチン〉。2019 年には恒久的な建築へとリニューアル工事が施されました(撮影:堀田貞雄)

“豊かな島”のアート作品が、日本建築学会の作品賞を受賞

瀬戸内海に点々と浮かぶ島のなかでも、豊富な水資源に恵まれた「豊島(てしま)」。檀山の中腹からこんこんと湧きだす霊泉「唐櫃の清水」は、稲作や野菜・果樹の栽培を盛んにし、島民の暮らしに豊かさをもたらしてきました。

そんな豊島に、更なる豊かなよろこびをもたらすニュースが! 唐櫃岡(からとおか)集落に佇む〈島キッチン〉が、2021年日本建築学会賞の作品賞に選ばれました。

日本建築学会賞とは、〈一般社団法人日本建築学会〉が設けている国内で最も権威のある建築の賞。なかでも、近年中に竣工したすぐれた建築に対して授与される賞が、作品賞です。

豊島のアート作品〈島キッチン〉とは?

忙しそうな〈島キッチン〉のオープンキッチンの様子。客席には食事中のお客さんがずらり。
島のお母さんたちと、丸ノ内ホテルのシェフが協働する〈島キッチン〉

集落の空き家を改修した〈島キッチン〉は、2010 年の第1回瀬戸内国際芸術祭の作品として、建築家の安部 良さんが設計しました。そのテーマは、「食とアートで人々をつなぐ出会いの場」。

東京〈丸ノ内ホテル〉のシェフのアドバイスのもと、島や瀬戸内で手に入る食材で、豊島のお母さんたちが心づくしのご馳走でおもてなし。島の恵みをさまざまに堪能できるとあって、芸術祭開催期間以外でも多くの来島者が立ち寄るスポットになっています。

島民や観光客の垣根を超えて、盛大に祝う「島のお誕生会」

〈島キッチン〉に立ち寄るのは、観光客だけではありません。竣工から10年以上たった今、島の住民にとっても〈島キッチン〉は、なくてはならない存在に。

毎月1回〈島キッチン〉で行われる「島のお誕生会」は、誕生月を迎えた島民や来島者を、家族・友人・芸術祭スタッフ・タイミングよく訪れた観光客が盛大に祝う名物イベント。大道芸人、タップダンサー、ヨガ講師など、毎回さまざまなゲストを迎え、2014年の開催以降、延べ300人以上を祝ってきました。

60人以上集まった「島の誕生会」の記念写真。
〈島キッチン〉で開催された誕生会の様子。誕生月の人も、お祝いする人も、皆がうれしい一日に

小さな子どもから、お年寄り、外国から訪れた観光客まで、世代や国籍を超えて集う誕生会は、さまざまな出会いの場となり、島民の大きな楽しみになっています。

島民のお楽しみ「お弁当の日」

〈島キッチン〉が手がける「お弁当の日」も、島民の楽しみのひとつ。日々の食事の支度、特に揚げ物をこしらえることは、高齢者やひとり暮らしの人にとってなかなか億劫なもの。そこで〈島キッチン〉では毎月「お弁当の日」を設け、島の希望者から注文を受けています。

お弁当をつめるキッチンスタッフ。
この日のお弁当は、菜の花をのせたちらし寿司、白身魚のフライ、にんじんの素揚げ、わけぎのぬた。野菜たっぷりで栄養バランスもばっちり

献立は、魚や肉などの揚げ物などをメインに、島でとれる季節の野菜を組み合わせたおかずをミックス。配達当日には玄関先でお弁当が届くのを心待ちにする方や、「次回もお願いね!」と、次の予約をする人も。

〈島キッチン〉で腕を振るうお母さんたちにとっても、うれしい反応が返ってくる「お弁当の日」は、やりがいを感じられる機会です。

お弁当を受け取るおばあちゃんと、配達スタッフ。
お弁当を受け取ったおばあちゃん。その笑顔から、この日をいかに楽しみにしていたかが伝わるよう

島民と島キッチンの交流をつなぐ「島キッチン新聞」

「島のお誕生会」「お弁当の日」などのイベントは、毎月発行する「島キッチン新聞」で告知されます。芸術祭や、瀬戸内の島の出来事、〈島キッチン〉のトピックスなど、さまざまな話題を1枚の紙に手書きでまとめ、島内の全戸に配布。

島キッチン4月号の誌面。4月のお誕生会の告知や、前月の獅子舞イベントの様子などが書かれている。
誕生会の詳細やゲストの告知、農作物の様子、島民へのインタビューなど、親しみやすい内容の「島キッチン新聞」。全て手書きでつくられています

最近掲載した「各家庭に眠っている切れない包丁を研ぎます」という告知には、多くの反応が。島の方から預かった包丁には、それぞれの家庭の思い出やエピソードが詰まっており、〈島キッチン〉での新たな交流を生む機会にもなったそう。

2010年にオープンして以降、継続的にメンテナンスや増改築を繰り返し、2019年に刷新された〈島キッチン〉。これからも「食とアートで人々をつなぐ出会いの場」として、島民をたのしく巻きこみ、来島者をもてなすプラットフォームとして、ますます多くの人に親しまれていくはずです。

次回の瀬戸内国際芸術祭は2022年に開催予定。ぜひ豊島の〈島キッチン〉に足を運んでみてください。