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齋藤陽道さんの写真展「神話7年目 —— 人間が始まる」3月27日〜30日新宿歌舞伎町の〈王城ビル〉にて開催。9年かけて撮影したシリーズ最終章
展覧会情報
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大自然の中で憩う子どもを捉えた写真シリーズの集大成
写真家・齋藤陽道さんの写真展「神話7年目—— 人間が始まる」が、2025年3月27日(木)〜3月30日(日)まで、歌舞伎町の〈王城ビル〉(東京都新宿区)にて開催されます。
本展で展示されるのは、齋藤さんが2015年〜2024年の間に全国各地で撮影した、大自然の中で憩う子どもの姿を捉えた写真シリーズ「神話」の作品です。今回は、2017年から展示や冊子制作を行ってきた本シリーズの集大成となります。
期間中は染物ワークショップや、写真家・編集者・ジャーナリストの都築響一さんと齋藤さんによるトークイベントも実施されます。

写真シリーズ「神話」とは
2011年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所の事故をきっかけに失われた、自然への素朴な喜び、そして日常へ影を落とす放射能が減少するまでの途方もない時間。この圧倒的な時間に対して、写真がどのように抗えるかを模索したのが、写真シリーズ「神話」です。「7つまでは神のうち」という言葉を元に、7歳までの子どもたちが、神のような存在として世界と対等にふるまう姿を撮影してきました。
2015年から撮影していた「神話」シリーズは、2017年から1年ごとに1日限りの展示と冊子の制作を行ってきました。しかし、2020年から2022年の「神話4年目」から「神話6年目」は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、冊子のみの制作に。そのため、今回の展示「神話7年目」は2019年以来、5年ぶりの展示であり、当初より7年かけて発表することが決められていた「神話」シリーズの集大成となります。
展示では、齋藤さん自身の視点で「現代神話」を再解釈し、失われかねない自然の姿や、大きな希望として子どもという存在を見直すことを、物語として語りかけるような空間をつくります。
会場は、新宿・歌舞伎町に1964年に建てられた、城を模した赤い建物〈王城ビル〉。時代に合わせて業態を変えながら、街の記憶を今へ受け継ぐこの場所のありようが、未来の継承を築くことを目指した本展の趣旨と重なります。
また今回の展示では、これまで作品1枚1枚に名前をつけることをほとんどしてこなかったという齋藤さんが、すべての作品に命名をするという新しい挑戦も行っています。

展覧会開催までの過程を日記として公開
齋藤さんは、写真家としてだけでなく、エッセイやマンガの執筆、作詞など多彩に活躍されています。また、ろう者でもある齋藤さんは、さまざまな仕事をするろう者を訪ね、ポートレート写真とインタビュー(テキストと手話で語る動画)で紹介する〈こここ〉の連載「働くろう者を訪ねて」も担当されています。
齋藤さんは今回の展覧会に向けて、その道程を日記として自身のnoteで公開。展覧会を開催することへの不安や気付きなども、包み隠さず記しています。
例えば、作品1枚ずつに名前をつけることにした背景には、齋藤さんのお子さんのいつきさんの言葉「……おれがね、シャツやぼうしに名前をつけているでしょう。おとさんも、写真ひとつひとつに名前をつけたらどう?」があったことも日記の中で明かされています。
“これまでは写真に言葉をつけることに抵抗感があったけど、あのワクワク感は、遠い別の世界へつれていってくれる嬉しいものだった。あのワクワクを思うにつけ、少なくとも『神話』の写真たちは、それぞれ、ふさわしい名前がつけられることを待っている。さらなる深淵へと向かう言葉がある。素直にそう思えた。すごい。すごいぞ。”(2025/01/12(日)の日記より)
展覧会開催の日まで続けられるという日記。読むことで開催を一緒に待つような心持ちが生まれるとともに、制作の背景を知ることで、展示を見る新たな視点を得ることができそうです。

染物ワークショップとトークイベントも開催
会期中は、関連イベントとして、染物ワークショップとトークイベントが開催されます。
染物ワークショップは、「神話」のモデルとなった齋藤さんのお子さん・いつきさんとほとりさんと「神話」の世界に入り込みながら、自分の「神話のかけら」を染めるワークショップです。染めるものはTシャツやトートバッグなどから選ぶことができ、会期の4日間、平日は1日1回、週末は1日2回ずつ開催されます。
トークイベントは、3月28日(金)20時に、展示会場の〈王城ビル〉から徒歩4分ほどの場所にある、「Rock Cafe Loft」にて開催されます。「『神話』についてのエトセトラ」と題して行われる齋藤さんのトークの聞き手となるのは、写真家・編集者・ジャーナリストの都築響一さん。お二人のトークは筆談で行われます。会場チケットのほかに、配信チケットも販売中で、アーカイブ視聴も可能です。

「神話」を通して齋藤さんがまなざすのは、今目の前にある存在だけではなく、遠い未来や世界です。
“「神話」における写真は、未来永劫変わらない光景への祈りです。数千、数万年先も当たり前のようにあってほしい光景として撮影しました。自然と子どもを畏怖の対象として見つめ直すきっかけとなることが私の願いです。その根本に、写真の圧倒的な力に自分自身が呑み込まれたいという渇望があります。すべてはその想いに突き動かされています。(企画趣旨より)”
写真を通じて一人ひとりの胸に、どんな新しい物語が紡がれるでしょうか。ぜひ会場で感じてみてください。
Information
齋藤陽道 写真展「神話7年目___人間が始まる」
会期:2025年3月27日(木)〜3月30日(日)
時間:12:00~20:00 (最終入場19:30)
会場:王城ビル(東京都新宿区歌舞伎町 1丁目13−2)2階・3階
入場料:¥1,000 チケット提示で会期中何度でも再入場可(高校生以下無料 ※学生証要提示)
主催:株式会社せかいはことば
協力:王城ビル
制作・コーディネート:米津いつか
「神話」染物ワークショップ(予約制)
各日1〜2回開催
詳細・申込
トークイベント「『神話』についてのエトセトラ」
都築響一さん(写真家、編集者、ジャーナリスト)×齋藤陽道さん
日時:2025年3月28日(金)20:00
会場:Rock Cafe Loft(王城ビルから徒歩4分)
※会場チケットは売切れ、配信チケットのみ1000円で販売中
詳細・申込
Information
「働くろう者を訪ねて」の写真作品データを無償公開
〈こここ〉では、ろう者、ろう文化、手話などの紹介・教育的普及・啓蒙を目的としている活動・企画であれば、齋藤陽道さんによる連載「働くろう者を訪ねて」の写真作品を使っていただけるように、データを無償公開しています。
詳しくはこちらのページをご確認ください。
Information
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