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身体に障害のある人による表現を追求する〈劇団態変〉が最新三部作『さ迷える愛・序破急』を12月17〜19日に上演、ライブ配信も
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ぶたいじょう、ちょうほうけいのオブジェのなかによこたわるひとが4にんいる
〈劇団態変〉の最新三部作が12月17日より一挙上演されます ©︎bozzo

YPAMで〈劇団態変〉『さ迷える愛・序破急』三部作が上演

パフォーマンスグループ〈劇団態変〉による三部作『さ迷える愛・序破急』が、2021年12月17〜19日に〈KAAT神奈川芸術劇場〉(神奈川県横浜市)で上演されます。

本プログラムは、12月1日から3週間にわたって開催されている、「横浜国際舞台芸術ミーティング(YPAM)2021」の一演目です。会場での開催と同時に、オンラインでも生配信されます。

身体に障害のある人の表現を追究するパフォーマンスグループ〈劇団態変〉

 〈劇団態変〉は、身体に障害のある人の表現を追究するパフォーマンスグループです。自身もポリオ(急性灰白髄炎)による重度身体障害者である主宰・金滿里(キム マンリ)さんが、1970年代の身体障害者解放運動への参加を経て、1983年より大阪を拠点に活動を開始。「身体障害者の障害自体を表現力に転じ、未踏の美を創り出す」ことを目指し、活動を展開しています。

舞台では、身体のフォルムがよく見えるレオタードをユニホームとして身につけ、身体に障害のあるパフォーマーたちがその姿態と、固有の動きを生かして表現をします。

海外でも数多く公演を行い、個々の身体性と結びついたパフォーマンスは、「これまでのダンスの枠組みを大きく捉え返す必要のある表現に出会った」などの評価を得ています。

あおいしょうめいのぶたい。ひだりてまえに、ぶたいぜんぽうにあたまをむけてよこたわるひと。みぎてこうほうに、そちらをのぞくようにみているひとがいる
ユニフォームのレオタードを身につけ、姿態と固有の動きを生かしてパフォーマンスを行う〈劇団態変〉 ©︎bozzo

「愛」をテーマにした三部作『さ迷える愛・序破急』

今回上演されるのは、最新三部作『さ迷える愛・序破急』です。2016年に相模原の障害者施設で起きた大量殺人事件をきかっけとして生まれた本作は、「愛」をテーマにしています。

初日の17日に上演されるのは、『翠晶の城 – さ迷える愛・序』。外部との交わりをシャットアウトする要塞と、内と外を自由に行き来できる開かれた関係性、どちらにもつながるメタファーとして「城」を捉え、モチーフにした作品です。本作にはオーディションによって選ばれたエキストラ5名が出演するのもみどころです。

2日目の上演作品『箱庭弁当 – さ迷える愛・破』は、梅干しやタコウインナーなどの弁当から捨てられた食材が、出会いと別れを繰り返す旅に出るユーモラスな作品です。旅情をかきたてるクレズマー音楽(東欧系ユダヤに起源を持つ音楽)がライブで奏でられるなか、物語は進みます。社会の縮図や隔離された空間と捉えることができる「箱庭」や「弁当」。コミカルな作品の中から、どのような問いを受け取ることができるでしょう。

あかいレオタードをきてすわるふたり、まわりにはエビフライ、ブロッコリー、タコウインナー、アスパラガス、たまごやきなどがならんでいる
出演者が弁当の具材になりきって旅をする『箱庭弁当 – さ迷える愛・破』 ©︎N. Ikegami

最終日に上演されるのは三部作の完結編である『心と地 – さ迷える愛・急』です。コロナ禍で三度の延期を経て2021年11月に初演されたばかりの本作の舞台は、宇宙。高度に発達した資本主義、強化される管理社会ーー破壊の手を宇宙にまで伸ばしていく人類の近未来を予見しながら、その行く末を問うSF作品です。

ちゅうおうおくに、うちゅうせんのまどからみえているようなけしき。そのしたに、すわってこちらにせをむけて、コントロールパネルをそうさしているようなひと。みぎはしにこちらをむいてあしをふみだし、たつひとがいる
完結編のテーマは宇宙。どこか現実とつながっているようなSFの世界へ足を踏み入れます ©︎bozzo

一般鑑賞者のチケットは、会場・オンラインとも3500円。YPAMに登録している舞台芸術関係者は会場1000円、オンラインは無料で観劇することができます。

これまであえて「愛」をテーマにすることを避けてきたという劇団態変が、「愛」に向き合った「さ迷える愛」シリーズ。今回は、城、弁当、宇宙と舞台を変えながら展開する3作品を一挙に観劇できる貴重な機会です。作品のテーマやパフォーマーの身体表現から見えてくる「愛」とはなにか。ここでしか見られない表現を、ぜひお見逃しなく。