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企画展「語りの複数性」が〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉で開催中。さまざまな語りのあり方と、その語りを紡ぎだす身体を想像する
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2021年12月26日(日)までの開催

8名の作家が思いおもいの形態で「語り」を表現した展覧会

さまざまな語りのあり方と、その語りを紡ぎだす身体を想像する展覧会「語りの複数性」が〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉にて、2021年12月26日(日)まで開催中です。

本展では、人の身体の数だけさまざまな「語り」が存在するということを前提に、個々が持つ固有の感覚や経験に裏打ちされた表現、見えない「語り」を表現する試みなどを表したアート作品が展示されています。

手前に写っているのは、小林紗織さんによる全長30mの作品『私の中の音の眺め』(2021年)。音を聴いたときに浮かんだ情景が五線譜の上に描かれている (撮影:木奥惠三)

本展では、「語り」を”自分と異なる他者や物事とともに生きるための能力”として捉え、物事の受け取り方や表現の仕方はひとつではなく、それぞれの方法や形態で語れると考えています。8名の作家による表現方法は、写真、絵画、模型、描譜、映像、音など。

会場では、鑑賞者独自の想像力を尊重し、作品を解説する情報がほとんどない状態で作品が展示されています。そうすることで、ひとつの作品からさまざまな鑑賞体験が生み出されることが本展の狙いの一つです。自分にとって唯一と感じている世界を少しだけ忘れてみる。一人ひとりが少しずつ異なる世界を持っていることを想像してみる。そんな時間を提供する展覧会です。

鑑賞者の想像を後押しする空間づくり

企画を担当しているキュレーター・田中みゆきさんは、目が見えない人と映画を制作したり、一緒にダンスを鑑賞するなどのさまざまなプロジェクトを通して、人がものを見ることの不確かさを感じてきました。そういった経験をきっかけに、さまざまな解釈の仕方が可能で複数の捉え方が共存する、「違うということを許容する場所」の実現を目指し、この展覧会を企画したそうです。

公園通り(東京都渋谷区)のゆるやかな坂をのぼると作品がガラス越しに見えてくる(撮影:木奥惠三)
プレトークでは、田中みゆきさんと本展の会場構成を担当した中山英之さんが、展示空間を「複数性を許容する場所」として設計するための試行錯誤について語っている

会場の空間設計を担当したのは、建築家の中山英之さん。中山さんは本展の出品作家でもある大森克己さんの写真集『心眼 柳家権太楼』のブックレビューで、「鑑賞者の能動性が作品体験をアシストすること」について綴っています。このレビューをきっかけに展覧会の空間設計を中山さんに依頼したと、田中さんは語っています。

思いおもいの形態で「語り」を表現した8名の作家による作品

展示作品のひとつである、写真家・川内倫子さんの『無題』(シリーズ「はじまりのひ」より)は、川内さんの写真絵本『はじまりのひ』を壁面に再構成したもの。同じ空間には、『はじまりのひ』について目が見える人と見えない人で読書会を行い、その場で生まれた言葉や絵、触って観賞する作品が展示されています。

川内倫子さんの作品『無題』(シリーズ「はじまりのひ」より)(2018年)(撮影:木奥惠三)

遺品整理クリーンサービスで働く小島美羽さんの作品は、仕事場で出会ったさまざまな孤独死の現場の要素を自身で再構築し、ミニチュアで表現しています。

小島美羽さんの作品『終の棲家』(2019年)(撮影:加藤甫)

その他にも、夢というその人固有の体験を他者が想像し、対話する様子を撮影した山本高之さんの映像作品『悪夢の続き』や、振動スピーカーを使って視覚的に見えている現実世界とは別の世界を音から立ち上げる山崎阿弥さんの作品『長時間露光の鳴る』など、さまざまな「語り」を表した作品が並びます。

関連したイベントとして落語上演とトークショーも!

2021年12月17日(金)〈代官山蔦屋書店〉にて、柳家権太楼さんによる落語『心眼』の上演が行われます。二部では、柳家権太楼さんと大森克己さん、中山英之さんが登壇するトークも。

トークでは、大森さんがなぜ『心眼』を写真で収めようと思ったのか、そこに見えるものと見えないものとは何か、写真を展示空間に再構成するプロセスはどのようなものだったのかなど振り返りながら、落語家、写真家、建築家それぞれの観点から『心眼』を語ります。

大森克己さんが寄席ではなく真っ白な空間で柳家権太楼さんを撮影した作品『心眼 柳家権太楼』(2019年)の1枚。〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉の会場では、作品を解体し、2つの空間に再構成した展示が行われている

落語上演とトークショーは〈代官山蔦屋書店〉での実施の他、オンラインでの配信もあります。展示と併せて、ぜひお楽しみください。