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地域と文化のあいだで学ぶ。実践型プログラム『たまのニュータウンスタディ』が参加者を募集中。応募6月22日まで
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地域と文化をつなぐ実践の場が、多摩ニュータウンに生まれる

地域で文化活動に関わりたい。アートプロジェクトを実践的に学びたい。そんな人に向けた新たな学びの場が、東京都の多摩ニュータウンで始まります。

〈公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京〉は、東京都とともに、芸術文化活動を支える担い手の創出を目的とした「地域連携型演習事業」を開始。今年度は多摩ニュータウンを舞台に、実践型プログラム「たまのニュータウンスタディ」を実施します。

この事業の特徴は、講義中心の座学ではなく、地域で活動する実践者たちとともに現場に身を置きながら学ぶこと。受講生は、多摩ニュータウンをフィールドに地域との関係づくりや文化活動のあり方を考え、自分なりの関わり方を探っていきます。

近年、全国各地でアートプロジェクトや地域文化事業が広がる一方、それらを継続的に支える担い手の存在がより重要になっています。作品をつくるアーティストだけでなく、人と人をつなぎ、地域との関係を育みながら活動を支える実践者もまた、文化を支える大切な存在です。

現在、プログラムの参加者を募集中。応募締め切りは6月22日(月)13時です。

学びの舞台は、多摩ニュータウン

今年度のフィールドとなる多摩ニュータウンは、日本最大級のニュータウンとして開発され、近年、若いクリエイターやアーティスト、建築家、福祉実践者などが活動の拠点を置く地域としても注目されています。

かつてはベッドタウンとして発展してきたこの地域ですが、近年は商店街や団地、公共空間などを活用したさまざまなプロジェクトが生まれています。地域に暮らす人々とクリエイターが緩やかに関わり合いながら、新たな文化活動やコミュニティが育まれていることも特徴の一つです。

多摩ニュータウンは「地域と芸術文化がゆるやかにつながる、文化の担い手を育成する」土壌としての豊かさを持つ場所だと言えます。地域に暮らす人々と文化活動がどのように出会い、関係を育んでいくのか。その過程そのものが、このプログラムの学びの対象となります。

多摩ニュータウンで活動を続ける「スタジオメガネ」

スタジオメガネ。左から、大戸厚史さん、横溝惇さん、宮澤祐子さん、山下開靖さん

プログラムの企画制作を担当するのは、多摩ニュータウンの落合団地商店街に拠点を構える建築設計事務所〈スタジオメガネ(株式会社studiomegane architects)〉です。

〈スタジオメガネ〉は、一級建築士の横溝惇さんと宮澤祐子さんを中心に2017年に結成された建築設計事務所で、2018年からは多摩ニュータウンの落合団地商店街に拠点を構えています。

彼らの活動は建築設計だけにとどまりません。商店街の空き区画を活用した実験的な企画や、地域にゆかりのあるクリエイターたちによるコレクティブ活動「MUSEUM for NEWTOWN」、ニュータウンをテーマにしたリサーチや展示など、多様なプロジェクトを実践してきました。また、同商店街内にある活動拠点「STOA」は地域の人々が立ち寄り、交流する場としても機能しています。

建築をつくるだけではなく、人が集まり関係が生まれる環境そのものを設計する。その実践は、今回のプログラムの土台にもなっています。

「たまのニュータウンスタディ」で何ができる?

受講生は、メンターや事務局とともに文化的実践を考えるチーム「よこみちコレクティブ」の一員として活動を行い、グループワークやディスカッションを重ねながら、自分なりの地域との関わり方や文化活動との接点を探っていきます。

プログラム期間は7月から12月まで。グループワークや、各分野で活動するゲストを招き、プロジェクトや実践について対話を重ねるゲストクリティークに加え、イベントへの出展や企画運営なども予定(任意参加)されており、受講生は単なる参加者ではなく、実際に地域の中でプロジェクトを動かす経験を積むことになります。

地域を知ることと、地域で何かを実践すること。その両方を行き来しながら学ぶプログラムといえそうです。

メンターたちが実践する、それぞれの「文化活動」

本プログラムでは、多摩地域で活動する3名の実践者がメンターを務めます。いわゆるアートプロジェクトの担い手だけではなく、美術、福祉、デザインといった異なる領域で活動する人々が集まっています。

美術家 久村卓さん

久村卓さんは、美術作品を成立させる制度や仕組みに目を向けながら制作を続ける美術家です。彫刻や展示空間、額縁といった要素を題材にしながら、「美術とは何か」という問いに向き合ってきました。手芸やDIYなど、従来の美術の中心から外れてきた技法や素材を用いる実践でも知られています。

作品をつくることだけでなく、作品が存在する環境や制度そのものを見つめ直す視点は、地域との関係を考える上でも大きな示唆を与えてくれそうです。

理学療法士・地域福祉実践者 影近卓大さん

影近(かげちか)卓大さんは、多摩ニュータウンを拠点に活動する理学療法士であり、〈合同会社ライフイズ〉、〈一般社団法人Life is〉の代表を務めています。影近さんは、「日常生活の景色を多様にする」というビジョンのもと、医療的ケア児や障害のある人たちと地域との接点を生み出す活動を続けています。

近年は、多摩ニュータウンの商店街に医療的ケア児者と地域住民がゆるやかに交わる場「modoki」も展開。福祉施設と地域コミュニティの境界を越える試みとして注目されています。

人と人との関係性を編み直していく実践は、文化活動とも深く重なっています。

テキスタイルデザイナー シミズダニヤスノブさん

テキスタイルブランド「JUBILEE」を手がけるシミズダニヤスノブさんは、プリントデザインを軸に活動するデザイナーです。

ファッションやインテリア、コスメなど幅広い領域で企業との協働を行う一方、八王子の染工場で自らシルクスクリーンプリントの工程に関わり、ワークショップなども展開しています。

ものづくりを地域の産業や人との関係の中で捉える視点は、地域文化のあり方を考える上でも重要なヒントになりそうです。

各分野で活躍するゲストとの対話も

プログラムでは、メンターに加え、各分野で活動する実践者を招いたゲストクリティークを予定。ゲストとして参加するのは、現代美術家の八幡亜樹さん、音楽家の東郷清丸さん、映画監督・映像作家の清原惟さん。アート、音楽、映像と、それぞれ異なる領域で活動する実践者たちとの対話を通じて、自身の実践や考え方を見つめ直す機会にもなりそうです。

地域で活動を続けるメンターたちの視点に加え、多様な表現領域で活躍するゲストたちの視点に触れられることも、このプログラムの特徴の一つといえるでしょう。

地域とアートのあいだで、自分の立ち位置を探す

募集対象は、アートプロジェクトや地域での芸術文化活動に関心があり、現場で実践的に学びたい人。専門的なアート教育の経験は問われません。アーティストや企画者をめざしている人に限らず、地域や文化活動に関心のあるさまざまな人を対象としています。

地域で暮らすこと、誰かと関係を結ぶこと、場をひらくこと。文化活動は、特別な表現やイベントだけでなく、そうした日々の営みとも地続きにあります。多摩ニュータウンを舞台に行われる半年間の実践は、地域と文化のあいだにあるさまざまな関わり方に触れながら、自分なりの立ち位置を見つける機会になるかもしれません。

応募締め切りは6月22日(月)13時。詳細は公式サイトで確認できます。