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戦争・核兵器の悲惨さを伝える『原爆の図』を所蔵する丸木美術館が改修工事への支援を呼びかけ
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【写真】原爆の図

全国、そして海外を巡った『原爆の図』を守り伝える。〈丸木美術館〉が支援を呼びかけ

埼玉県東松山市にある〈原爆の図 丸木美術館〉は、画家・丸木位里さん(まるき・いり、1901~95年)と俊さん(とし、1912~2000年)夫妻が、「共同制作による『原爆の図』を、誰もがいつでもここに来れば見ることができるように」という思いを込め、1967年に開館した美術館です。

現在、〈原爆の図 丸木美術館〉は改修工事のため、長期休館しています。建物の老朽化に加え、集中豪雨による斜面崩落への対応などで工事費が当初の想定より大幅に膨らんでいるほか、「原爆の図」の修復・保存にも多額の費用が必要となっています。

2027年5月のリニューアルオープンに向け、美術館では保存基金への支援を呼びかけています。

人間が人間を傷つける愚かさを描き続けた丸木夫妻

1901年6月20日に広島で生まれた位里さんは、戦前に上京し、夢や無意識の世界を表現しようとするシュルレアリスム(超現実主義)の影響を受けながら、抽象的な表現を取り入れた独自の水墨画を発表して高い評価を得ていました。

そして、1945年8月6日、故郷・広島に原子爆弾が投下されます。当時は情報がほとんど入らない状況でしたが、位里さんと妻の俊さんはいち早く広島へ駆けつけ、被爆直後の現地で救護活動にあたりました。

終戦後は、GHQ(連合国軍総司令部)による厳しい検閲と報道管制が敷かれ、被爆者の写真さえ見ることができない状況でした。しかし、そのような状況下でも、人々から見聞きした証言や自身の救護活動の経験をもとに、広島の惨状を記録し、後世に伝えるため「原爆の図」の制作を開始しました。

『原爆の図』は全15部からなる連作です(注)。1950年に第1部『幽霊』が発表されて以降、第15部『ながさき』の完成に至るまで、30年以上の歳月をかけて描き継がれました。

注:〈原爆の図 丸木美術館〉では1部から14部を常設展示。第15部は長崎原爆資料館が所蔵。

1950年には第3部までが完成し、GHQによる検閲や報道規制が続くなか、日本各地を巡回。公民館や寺院、学校の体育館などを会場に展覧会を開催し、占領下にもかかわらず100万人以上が鑑賞したといわれています。

そして1954年からは海外での巡回展もスタートしました。旧共産圏を含むヨーロッパ各地をはじめ、中国、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどで展覧会を開催。さらに1970年から1971年にかけては、アメリカ7都市を巡回しました。

全国各地、そして海外でも展示されてきた『原爆の図』ですが、作品を安全に保管し、継続的に公開できる恒久的な拠点が求められていました。そこで丸木夫妻は、「誰でも、いつでも、ここに来れば見ることができるように」という願いを込め、1967年に埼玉県東松山市に〈原爆の図 丸木美術館〉を建設しました。

位里さんは1995年に94歳で、俊さんは2000年に87歳でその生涯を閉じました。しかし、〈原爆の図 丸木美術館〉は現在も、『原爆の図』の常設展示にとどまらず、若手作家を積極的に招きながら、独自の視点による企画展を精力的に開催しています。

2024年5月5日には、沖縄をテーマにした開館57周年イベントを開催。〈こここニュース〉でも取り上げました。

リニューアルオープンに向け、保存基金への支援を呼びかけ

さまざまな角度から平和について問い続けてきた〈原爆の図 丸木美術館〉ですが、現在は改修工事のため長期休館しています。

工事を進めるなかで、当初の想定を上回る基礎部分の劣化や構造上の問題が判明し、工事費も大幅に増加しているといいます。そのため、2027年5月のリニューアルオープンを実現するには、2026年度中に少なくとも約5,000万円以上の資金を確保する必要があるとしています。

【写真】美術館の改修の様子
【写真】改修中の美術館ツアーの様子
2026年5月5日に行った改修工事見学ツアーの様子

こうした状況を受け、『原爆の図』を後世に継承し、美術館の修復・維持を支えるためのプロジェクト〈原爆の図保存基金〉では、支援の呼びかけを強化しています。

また、2026年4月からは友の会のマンスリーサポーターの費用を見直し、一般会員(年会費2,000円)を廃止。より継続的な支援につながる維持会員(年会費5,000円)への移行を呼びかけています。さらには、寄付金額は任意で設定ができるウェブサイトも立ち上がっています。

第二次世界大戦終結から81年を迎えた今、当時の戦争を直接知る人々は年々少なくなっています。しかし、世界を見渡せば、今も各地で戦禍は広がり、毎日数え切れない人々が尊い命を落とし、傷つき、苦しんでいます。「戦争がもたらす破壊への想像力」を失わないためにも、記憶や教訓を次の世代へ伝えていく場の存在は、ますます重要になっています。『原爆の図』とともに歩んできた丸木夫妻の思いを未来へつないでいくためにも、〈原爆の図保存基金〉への寄付を検討してみてはいかがでしょうか。