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児童養護施設・里親家庭を巣立つ18歳の子どもたちへ、陶芸・ガラス作家の器を贈る「手の⻑いおじさんプロジェクト」。2月19日、3月19日〈景丘の家〉にて開催
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「手の⻑いおじさんプロジェクト」で用意された大皿、小皿、マグカップ、急須など、さまざまな形の器の写真

丁寧につくられた器を“新生活応援ギフト”として贈るプロジェクト

児童養護施設や里親のもとを巣立ち、独り立ちを始める18歳の子どもたちへ、“新生活応援ギフト”として工芸作家による器やカトラリーを届ける「手の長いおじさんプロジェクト」が今年も実施されます。

この活動は、子どもたちへの単なる生活支援ではなく、個性的でぬくもりのある作家ものの器などを普段の生活に取り入れることが、暮らしのささやかな彩りやゆとりに繋がったり、ものづくりや手しごとに関心を持つきっかけになることを願い、2011年からスタートしたプロジェクトです。

2023年のお渡し会は、2月19日(日)、3月19日(日)の2日間。東京都渋谷区の〈景丘の家〉にて開催。お渡し会への参加は事前申し込み制で、締切は1月末までです。

器を手に取る参加者の写真

東日本大震災を機にスタートした「手の長いおじさんプロジェクト」

子どもたちに贈る器やカトラリーは、手づくりだからこそ制作の過程で生まれてしまう小傷のあるものや、販売余剰品など、「ハネモン」と呼ばれるものたち。とはいえ、使用にまったく支障はなく、通常の販売品とほとんど変わらないものばかり。

これらの品々は、地域の風土や素材にこだわり、自然に寄りそったものづくりを行なう、さまざまなつくり手から譲られたもの。なかには〈日本民藝館〉(東京都目黒区)で開かれる「日本民藝館展-新作工藝公募展-」で受賞した作家の作品も含まれます。

さまざまな動物がモチーフになった器が並ぶ写真

「手の長いおじさんプロジェクト」の始まりは、2011年の東日本大震災がきっかけ。さまざまなものを失った被災地の子どもたちに「よい器を使ってもらいたい」と、ガラス工芸家の石川昌浩さんが発起人となり、被災地に器を届けるプロジェクトを発足しました。

日本全国のさまざまなつくり手たちもこのプロジェクトに賛同し、有志で福島県や宮城県の保育園や幼稚園に器などを届けてきました。

2016年には、現在のプロジェクトの運営を担う〈株式会社マザーディクショナリー〉(東京都渋谷区)と出会い、こども食堂、児童養護施設、福祉施設への頒布もスタート。現在も多くのつくり手からハネモンを少しずつ分けてもらいながら、子どもたちが集うさまざまな場所へ届ける活動を行なっています。

名だたる作家の器も! 今回のお渡し会について

〈景丘の家〉の頒布会場に並ぶ器たちの写真

2022年に実施された「手の長いおじさんプロジェクト」では、14名のつくり手がプロジェクトに参画。寄付された中から100点近い品々が、子どもたちの新生活に加わりました。

そして、2023年のお渡し会に参画するつくり手は、17名+1ブランド。プロジェクトの発起人であり、“はちみつ色”と称される豊かな表情のガラス作品を手掛ける石川昌浩さん、ほとばしる化粧土(スリップ)作品などが国内外で賞賛される陶芸家の十場天伸さん、細かな削り模様の妙と、どんな料理も受け止める懐の深さにファンの多い小鹿田焼の匠・坂本創さんの作品などが並ぶ予定です。

“はちみつ色”と称される豊かな表情のガラス作品を手掛ける石川昌浩さんのガラス作品の写真

さらに今年は2社のアパレルブランドが洋服や装飾品を提供。子どもたち自身に会場を訪れてもらい、自分の生活に取り入れたい器や服を自由に選んでもらえたら、と呼びかけています。

また、器の扱い方、つくり手、ものづくりの背景などを子どもたちに伝えながら、さまざまな人が応援していること、いつでも立ち寄れる場所がここにあることを伝える場にしていきたいという主催側の思いがあります。

あらゆる世代が集まり、寄り添う居場所〈景丘の家〉

お渡し会場となる〈景丘の家〉は、社会福祉法人〈渋谷区社会福祉協議会〉によって設立されたコミュニティスペース。〈マザーディクショナリー〉が運営を行っており、“こどもと食”をテーマに、幅広い世代が集まり、寄り添う居場所として、2019年3月にオープンしました。

こども食堂をはじめ、食育にまつわる活動や、乳幼児がおだやかに過ごせるフロア、小中高校生の居場所となるスペースなど、さまざまな世代が自然と集まり、会話が生まれるような場所を提供しています。

インクルーシブなイベントやアートスクールなども積極的に行う同施設。言語の壁を超えたコミュニケーションのカタチを創り出していくラボラトリー「異言語Lab.」によるワークショップや、ドラァグクイーンによる絵本の読み聞かせを通じて、誰もが自分らしくあることの大切さを体験できる「ドラァグクイーン・ストーリー・アワー」なども開催されています。

基本的には渋谷区在住・在学の方のみが利用できる施設ですが、プログラムによっては区外の方の参加も可能です。ぜひ〈景丘の家〉の活動に注目してみてください。

マグカップなどの作品と、その制作者のプロフィールパネルが置かれたテーブルの写真

「手の長いおじさんプロジェクト」のお渡し会への参加申し込みは、子どもたちに代わり、児童養護施設の職員や、里親家庭の保護者からの申し込みも可能です。ただし、受け取りに関しては、実際に手に取って選んでもらいたい思いから、子どもたち本人に来場してもらうことを〈マザーディクショナリー〉は勧めています。

申し込み締切は1月末まで。ご興味のある方はお急ぎください!