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異なる身体や感覚から生まれるダンス。Project WonyoungとMi-Mi-Biの2作品が11月14日(土)・15日(日)神戸で上演
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「優れたダンスとは何か。その評価基準を決めるのは誰なのか。」

韓国で作家・パフォーマーとして活動するキム・ウォニョンさん。2026年5月に日本語版が刊行された著書『完全に平等で、非常に差別的な――拡張のダンス史』(牧野美加訳、みすず書房)の帯には、このような問いが掲げられています。身体の動きや、その美しさを、私たちはどのような物差しで見ているのでしょうか。

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演劇制作やバリアフリー公演に関する研究に携わりながら、2018年までは人権法を専門とする弁護士としても活動していたキム・ウォニョンさん

そんなウォニョンさんの作品が、2026年11月14日(土)・15日(日)、神戸・新長田の劇場〈ArtTheater dB KOBE〉で、日本で初めて上演されます。神戸を拠点とするダンスカンパニーMi-Mi-Bi(みみび)と、それぞれの作品を2本立てで上演する「Project Wonyoung /ダンスカンパニーMi-Mi-Bi ダブルビル公演」です。

ウォニョンさんと振付家・パフォーマーのチョン・ジヘさんは、身体や車椅子、周囲のものとの関係から動きを探る作品を上演します。一方、Mi-Mi-Biの新作で振付・演出を担当するのは、ろう者の俳優・身体表現者であるKAZUKIさん。どちらも、異なる身体や感覚から生まれる表現を探る作品です。

一人ひとりの違いを出発点に、表現や関係を育む

本公演は、NPO法人DANCE BOXが2019年に始めたプロジェクト「こんにちは、共生社会(ぐちゃぐちゃのゴチャゴチャ)」の一環として開催されます。

同プロジェクトが大切にするのは、障害の有無や経済環境、家庭環境、国籍、性別など、それぞれに異なる背景や経験を持つ人たちが出会い、関わり合うこと。劇場〈ArtTheater dB KOBE〉を拠点に、舞台芸術を通じて、誰もが芸術文化を楽しみ、表現に向き合える社会をめざしています。

身体の関係と、それを見つめるまなざし

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ソウルの国立現代美術館(MMCA: National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea)の「Looking After Each Other」展(2025年05月16日〜7月20日)でのパフォーマンス

ウォニョンさんとチョン・ジヘさんが上演する作品のタイトルは、『補綴としての動き:マシーン/アフォーダンス/ケア』。ウォニョンさんがコンセプト・振付を、ジヘさんが共同振付を手がけ、二人で出演する作品です。

タイトルにある「補綴(ほてつ/プロテーシス)」とは、身体を支えたり、その働きを補ったりするものを指します。本作が着目するのは、人の身体もまた、別の人の身体を支え、動きを補う存在になりうることです。

その関係に関わるのは、二人の身体だけではありません。車椅子や床、小さなもの、さらには観客の視線や位置も、動きが生まれる条件の一部となります。誰が誰を支え、何によって動いているのか。その関係は、周囲の環境とともに変わり続けます。

また、ジェンダーや障害の有無といった違いによって、両者の関係が特定の物語に当てはめて受け取られてしまう危うさもあります。目の前の動きを、私たちはどのような関係として見ているのでしょうか。本作は、観客のまなざしも含めて、身体が互いを支え、補い合う関係の意味を探ります。

〈こここ〉の連載「森田かずよのクリエイションノート」では、2023年にウォニョンさんと、ダンサー・俳優でMi-Mi-Biのメンバーでもある森田かずよさんの対談を公開しています。自分の身体を誰かに見せることへのためらいや、「いいダンサー」とはどのような存在なのか。二人が踊ることを通じて考えてきたことを語っています。

「身体的オンガク(見えてくるオンガク)」を共有する試み

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ダンスカンパニー・Mi-Mi-Bi photo by Junpei Iwamoto

神戸を拠点とするMi-Mi-Biは、2022年に結成されたコンテンポラリーダンスカンパニー。それぞれに異なる身体性や感覚、世界の捉え方を観客と共有する方法を模索しながら、作品をつくり上げてきました。

4作目となる『VISIBLE SCORE — 個々旅人の航海 —』では、メンバーのKAZUKIさんが初めて演出を手がけます。ろう者の感覚を出発点に、光や身体の動き、うねり、呼吸を通じて、“音が見える”ような体験を試みます。誰かの「あたりまえ」を前提とせず、互いの身体や感覚について対話しながら、表現を探っています。

作品の軸となるのは「船/航海」です。異なる身体や感覚を持つ人たちが同じ船に乗り合わせ、それぞれの世界の捉え方が重なり、離れ、響き合う旅路をたどります。

上演後には、身体やダンスをめぐる対話も

両日とも、上演後には手話通訳・日韓通訳付きのトークが開催されます。11月14日(土)は、ウォニョンさん、ジヘさん、KAZUKIさん、アラン・シナンジャさんが登壇するアフタートークです。

15日(日)17時からのスペシャルトーク「そこに身体があること——ダンス、障害、政治性」には、ウォニョンさんと森田かずよさんが登壇。アクセシビリティ研究者・キュレーターの田中みゆきさんがファシリテーターを務めます。

「障害」や「インクルーシブ」という言葉との距離の取り方、身体の違いと表現の関係、芸術と社会運動、地域や制度との関わり。それぞれの経験を手がかりに、身体を表現することの政治性や、ダンスを通じて社会に働きかける可能性について語り合います。スペシャルトークのみの参加も可能です。

異なる身体がともに動く舞台と、その表現をめぐる対話。二つの作品に出会いながら、自分がどのように身体やダンスを見ているのか、考えてみませんか。