KANが学校に通っていた頃、
私は彼の発達についての相談をするために
3ヶ月に1回ほど
病院に連れて行っていた。
そこでは、主治医のK先生が
「KANさん、最近は、どうですか?」と
彼に学校での様子や生活について質問をする。
その日もK先生は、KANに質問をした。
K先生「KANさん、最近は、どうですか?」
KAN「ハイッ!考えてないけど、計算通りです」
は?? 計算通り?? 何が???
と、いうか
KANにとって計算ってどういう意味???
そもそもKANは算数が苦手で
数字ってなんだ?
足し算? 引き算?? 掛け算??? 割り算????
という感じ。
九九は、歌だと思っていて
語呂とリズムで言えるようになったが、
あれは彼にとって歌にすぎない。
だから、計算通りって。
どういう事?
そんなことを私は頭の中で
考えていた。
K先生「ほぅ。考えてないけど、計算通りにいっているんですね」
KAN「ハイッ。考えてないけど、計算通りです」
KAN「でも〜 ⋯⋯。計算通りにいかないコトもあります」
K先生「そうですか。それは残念ですね」
KAN「はい。でも、計算通りいかないのも計算通りです!」
計算できないKANが語る
考えてないけど計算通り
計算通りいかないのも計算通り。

この連載について
「ハハハなコトを、ハハハなヒトと。」
自称“効率の悪い”デザイナー・二宮さんと、その息子・KANさんによるユニットHAHAHANO.LABO(ハハハノラボ)による、「ぎこちいいコトバ」。
母と子の日々の会話ややり取り、時には言い合いの中から「つい出た」KANさんのユーモラスな言葉たち。思わず会話を止めて二宮さんが書き留め、KANさんが手描きしたコトバは400を超えるのだそう。
ホッとしたり、ズラしたり、ゆるりとしたり…… つい笑ってしまい、うっかり心に響いてしまう、ぎこちいいコトバたち。二宮さんが振り返る、コトバにまつわるストーリーとともに、お届けします。
