こここ編集部より

「地方暮らしで4児の親」は、こここ編集部でどう働いてる?
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【写真】木造の建物の外で、木の椅子に3人が腰掛けている
取材中、子どもと一緒に過ごしてくれる編集長の中田一会さん(撮影:加藤甫さん)

滋賀に住んで6年目。〈こここ〉編集部で、唯一関西メンバーの佐々木将史です。

普段は、琵琶湖からやや離れた山際のまちの片隅で(でも子どもが4人いるので、相応に騒がしく)暮らしています。編集者として、〈こここ〉ではインタビューやニュース記事の企画・取材・編集などを担当してきました。

自分ではオンラインをベースに、育児に振り回されながらもバタバタ楽しく過ごしているつもりなんですが、時々「どんなリズムで生活してるん?」「どういう働き方なの?」と聞かれたりします。たしかにあまりそういう発信をしていなくて、実際に平日だと、家族以外とリアルでコミュニケーションするのは

  • 毎日の保育園の送り迎え
  • 月に何度かの現地取材(場所はバラバラ、日帰り)
  • たまにコワーキング通い(片道10km以上なので、月1程度)
  • たまに近所の子たちと夕方遊ぶ

……くらい。4人の子どもが“双子2組”というレアな事情もあり、育児×仕事をどう成立させているのか、率直にたずねられることもあります。

なので今回は、これまで忙しさにかまけてあまり書いてこなかった、自分の働き方と育児について〈こここ〉ブログに記してみたいと思います。

〈こここ〉との出会い

もともと僕は、大阪にある保育・幼児教育系の出版社に10年ほど在籍して、2017年に妻の地元である滋賀に移住してきました。現在はフリーの編集者として、〈こここ〉をはじめ複数のWebメディアの編集部に在籍したり、法人広報のお手伝いをしたりしています。

2016年に上の双子が、2020年に下の双子が誕生し、4人の子の父親もしています。自分のベースに保育/児童福祉があること、看護師の妻がUターン以降、障害のある人の施設で働いてきたこともあって、福祉をたずねる〈こここ〉は個人的にもど真ん中でした。

また、創刊時から掲げられている「個と個で一緒にできること」というテーマは、聞いた瞬間から今なお、自分のなかで大切な問いとして刺さっています。(これを書き出すと長くなるので、2022年の活動を振り返った個人note「#編集後記」に譲らせてください。)

以前から、〈こここ〉創刊メンバーの垣花つや子さんと別仕事でご一緒しており、2021年4月のメディアスタート時、まず執筆者として協力しました。その後、下の双子が1歳になる(保育園に通い始める)同年夏、育休的に絞っていた自分の仕事量を少し戻そうと考え、そのタイミングが〈こここ〉の運営状況とマッチしたこともあって、編集メンバーとして参画することになりました。

【写真】低い本棚を囲んで7人がこちらに笑顔を向けている
2022年4月の〈こここ〉1周年イベントにて。日頃はリモートで運営しているので、全員がリアルに集まるとても珍しい機会でした(撮影:ただ(ゆかい)さん)

佐々木の日々の仕事は?

フルリモートで運営される〈こここ〉での仕事は、週1のZoom編集会議がベース。それ以外は月々一定の企画立案、取材、記事編集といったコンテンツづくりを担いながら、メディア運営全体に関わるもろもろの業務をみんなで分担しあっています。

インタビューなどは特に相手のご都合があるため、想定していた記事計画が次月にズレるのもままあること。なので「一定の」と言いつつ、月ごとに見ると、個々人の稼働量もバラつきが出ます。デコボコが生じる部分は、チャットツールの「Slack」やタスク管理の「Trello」、スプレッドシートなどで互いの進捗を常にシェアしながら、なるべく編集部全体でバランスをとって対応します。

うちは幼児4人がいる都合、子どもの体調はじめさまざまなイレギュラーが発生することも多く、調整の余白がある運営体制には何度も救われました。そうした対応は他のメディア仕事でもしていただけていますが、〈こここ〉は特に、“個”の事情を積極的にシェアし、融通し合う風土があるように感じます。

また〈こここ〉に限らずですが、メディア編集業は常時いろんな連絡がオンラインで飛び込んでくる仕事です。だからこそ、自分の活動できる時間を明確に周囲に宣言することで、期待値のズレが起きないように意識しています。

僕の仕事時間はこの数年、「朝に上の子どもを保育園に送ったあとの9時から、夕方のお迎えに家を出る17時まで」が基本。(下の子たちは離れた別園に入ったため、妻が通勤途中に送迎する分担に。)みんなの帰宅後、18時すぎに晩ごはん、19時すぎに順番にお風呂、21時には家族全員で寝る生活をしています。

そのぶん起床は早め。夜の間に来た通知も、基本は翌日に対応します。

【写真】丘の上から眺める里山の風景。空がうっすらと明るくなっている

義実家と同居ではないので、基本は家族6人の生活。幼児4人の相手や日々の家事だけでフラフラになる日々ですが、それでも体や心の調子そのものは、実は今の暮らしになってかなり良くなりました。「目の前のことに集中しやすい」「生活リズムのベースが一定」「野菜を子どもとたくさん食べる」あたりが要因でしょうか。晩ごはんをつくりながら、たまに17時台からビールを開けちゃう瞬間などは、個人的に結構な幸せポイントです(笑)。

とはいえ、スマホ片手に急ぎの返信を寝る前したり、こぼれた仕事を朝の3時や4時に起きてやることも正直あります。夜に届いたライターさんの原稿を朝7時にお戻しする……なんてことができる点では早起きのメリットもありつつ、本当はその時間を読書とかに当てられるように、仕事量の調整ができるといいなあと。この春から上の子が小学校に進み、送り迎えを含む生活リズムがまた変わりそうなので、朝の使い方は見直したいところです。

取材はどうやってるの?

話が少しズレたので、〈こここ〉に戻します。コロナ禍でスタートした〈こここ〉では、オンラインと現地訪問を使い分けながら取材をしています。この数年で一気にリモート環境が普及し、Zoom取材などを違和感なく受け入れてもらえるようになったのは、自分のような地方在住の編集者にとっては大きな変化でした。

写真が撮れないことの難はありますが、「こここスタディ」のシリーズなどではイラストで象徴的なところのメッセージを表現できるため、むしろ幅が広がるよさも感じています。

とはいえ、現場に行くべき内容であれば、そのためのスケジュールを組みます。「唯一の関西メンバー」という特性を生かし、大阪や京都の取材が多いですね。名古屋も、滋賀からだと朝夕の子どもの送り迎えができる圏内です。

一方で、子どもの成長に伴い、関東でのイベントや遠方の取材に上の双子を連れていったりもしてます。

例えば、昨年の11月に栃木で開催された「まるっとみんなで映画祭 2022 in NASU」の取材では、子ども2人を連れて2泊しました。初日は福島空港までのフライトのあと、野外上映が行われてる那須高原〈GOOD NEWS〉へ車移動。合流した取材チームは僕以外に4名いたため、僕が動く間は順番に子どもたちを見てもらいました。

すでに会ったことのある大人、PCの画面越しに見知った大人もいて、いい感じの遊び場も食べ物もある(笑)。長時間の移動後でしたが、初めての場所を自然に楽しんでる様子でした。

【写真】広場で、たくさんの切り株の上を渡り歩く2人の子ども
サステナブルな取り組みを進めるショップなどが集まる、「GOOD NEWS NEIGHBORS」の裏側の広場。日が落ちてからは、フレンドリー上映会にそのまま参加させてもらいました

映画祭2日目の朝には、取材のコアとなる対談も行いました。ファシリテーションを僕が務める1時間ほどは、編集長の中田さんが付きっきりで息子と娘の相手。朝食を食べさせてもらいつつ、絵を描いたり走り回ったりして過ごしたそうで、このブログ冒頭の写真はその時の貴重な1枚です。

もちろん毎回こうしたチーム編成ができるわけではないですが、この時は取材のテーマそのものが「インクルーシブ」であったこと、子どもを連れて映画祭をめぐることも〈こここ〉として気づきがあるかもという仮説があったこと、そして幼児4人を置いたまま遠方に出かけられない僕の事情を踏まえての決断でした。映画祭を主催する〈precog〉さんにも、取材チームにもすごく助けられながら、貴重な体験をさせてもらったことは、その後公開された記事の端々に実際生きているかなと思います。

“個”に向き合いながら、チームで仕事をしていくこと

子どもの生活には、親の仕事のスケジュールがどうしても影響します。取材同行についても、ポジティブな狙いを毎回考えるとはいえ、「4児を置いて家をあけられない」事情のほうが発端です。結果的に、息子も娘も楽しかった記憶として残っているようですが、僕が彼らを巻き込んだことには変わりありません。

そうしたときに僕が意識しているのは、できるだけ本人たちと話すこと。「大事な仕事があって行きたい」「こういう体験もできるんだけど、2人についてきてほしい」「お父ちゃんが動けない時間は、〇〇さんが一緒にいてくれるからどうやろう?」……などなど、想定されることを話していくと、不安ポイント、逆に希望するポイントも出てきます。そのうえで、解決策や納得できる方法を一緒に探ります。

もちろん、大した選択肢が残されておらず、希望に添えなくて「ごめん!」と謝るときもある。それでも「話す」「一緒に考える」の姿勢は、子どもと向き合ういろんな場面で意識しないと……と、育児と仕事が重なるたびに思います。

【写真】観覧車の中から、紅葉の山々を眺める2人の子ども
那須の場合は、僕から3日目の月曜の休みを提案し、高原の遊園地で遊び倒してから(笑)、飛行機に乗って帰りました

改めて振り返ると、「個と個で一緒にできること」の“個”には、編集メンバーも、そしてそのパートナーや家族、友人なども含まれるのだなと感じています。それぞれの人に事情があり、「できる範囲/できそうな範囲/できない範囲」も刻々と変わっていく。このコロナ禍で多くの人が急に身動きできなくなる経験をしたはずですし、うちだったら子どもたちの調子など、調整事案は日々尽きません。

そんなときチーム内でうまく頼り合うには、お互いの事情を日常的にシェアできていることとあわせて、メンバーとして目指す先を揃えておくことも大事です。〈こここ〉の場合、フルリモートで意識合わせの時間は限られているぶん、公開記事の定期的な振り返りや「こここのコンパス」のブラッシュアップなどが機能しているので、優先順位の整理もしやすいように思います。

複雑な事情が重なるなかで、どう支え合いながらチームとして目標を成し遂げていくか……〈こここ〉だからこそ、この点にはこだわりたい。そのプロセスも(今回やっと筆を取ったみたいに)なるべく見せていきたいなと、子どもとのことを振り返りながら考えています。