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都内11箇所の精神科病院から集まった作品を展示する「オーライ展」東京・神田で3月14日〜16日開催、トークやワークショップも
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黄色い三角錐が描かれた展覧会のメインビジュアル
2025年3月14日(金)〜16日(日)、東京都千代田区にある〈優美堂〉〈TKP神田ビジネスセンター〉を会場に開催されます

多様性を共に育む地域を目指す、作品展示とトークイベント

地域で共に暮らす人、というと、どんな人を思い浮かべますか。学校や子どもの幼稚園など同じコミュニティに所属する友人、いつも挨拶を交わす近所の人など、何人か顔が思い浮かぶかもしれません。一方で自分とは生活圏が異なる人、さらに病院や施設の中で暮らす人となるとなかなか接点がなく、イメージが湧きづらいのではないでしょうか。

そうした「みえない、しらない、わからない」ことから生まれるイメージを解きほぐし、多様性を共に育む地域を目指す展覧会「オーライ展」が、2025年3月14日(金)〜16日(日)に東京・神田で開催されます。

本展で展示されるのは、都内11箇所の精神科病院に入院する人たちの作品。3日間の展示期間中、障害のある人や入院している人が過ごしやすい地域であるために何ができるのかを、多様な立場の登壇者と共に考える、トークセッションやワークショップなどが開催されます。

「みえない・しらない・わからない」が生み出すイメージを緩やかに崩す

本展を主催するのは、〈千代田区障害者よろず相談Light(ライト)〉。〈社会福祉法人ひらいルミナル〉が運営する、障害のある人などに向けて専門的な相談窓口と地域の福祉ネットワークをつくる基幹相談支援センターです。

今回初開催する企画展「オーライ展」の展示作品は、都内11箇所の精神科病院から集まりました。作業療法の時間に制作された作品から、人知れずこっそり描かれた作品まで。日常生活でなかなか出会う機会がない精神科病院に入院する人と、地域の人々が作品を通して出会うことで、「みえない・しらない・わからない」が生み出すネガティブなイメージを緩やかに崩し、多様性を共に育む地域をつくることを目指します。

例えば展示作品のひとつは、〈土田病院〉(東京都台東区)に入院する竹内正枝さんが講師となりつくられた、ちぎり絵の数々。これらの作品は、竹内さんが描いた下絵に、何人かの患者さんが新聞紙のカラー印刷をちぎってつくられました。数年前に医院長に薦められてちぎり絵を始めたという竹内さん。すっかり制作に熱中し、今では患者さんたちの指導をするほどになったそうです。

縞模様や水玉模様のカラフルなネクタイがちぎり絵で描かれている
花のようなものが描かれた作品
〈土田病院〉で制作されたちぎり絵

さまざまな立場の人が語り合う、トークイベントやワークショップを開催

こうした作品にまつわる背景が語られるギャラリートークや、地域共生についてさまざまな立場の人が語り合うトークセッションが、展示期間中に多数開催されます。

・GALLERY TALK「表現のチカラで地域づくりへ」
3月14日(金)15:00〜16:00、3月15日(土)13:00〜14:00、17:00〜18:00、3月16日(日)15:30〜16:30

毎日開催されるギャラリートークでは、作品や出展作家のプロフィールを紹介します。作家本人や病院関係者が来場していれば、一緒にトークをする可能性もあるそう。

精神科病院の取り組みや作品の背景を知ることで、より展示を楽しむことができるようになるのはもちろん、障害のある人や入院している人が暮らしやすい地域を実現するために何ができるのか、考え始めるきっかけにもなりそうです。

・TALK SESSION「地域共生社会とは??」

3月16日(日)13:00〜14:00 ぼくの、わたしの居場所
登壇者:当事者 高野光士郎さん、当事者家族 高野美奈子さん、〈Light〉相談支援専門員 石原茂美さん
進行:〈Light〉施設長 坂田晴弘さん

特別支援学校の高等部に通い、春からは社会人となる高野光士郎さん。ご家族を交えながら、これまでの道のりを振り返り、家庭と学校以外の第三の居場所に期待することについて語ります。また福祉サービスでは補いきれない、生活に必要な場所やつながり、理解者をみつけることの必要性について思いを馳せながら、これからの地域づくりを展望します。

3月16日(日)17:00〜17:45 リカバリーに必要なこと 〜地域移行支援の実際〜
登壇者:当事者 海保氏義さん、〈Light〉施設長 坂田晴弘さん
進行:〈ひらいルミナル〉理事長 河野文美さん

気持ちだけでは治癒することが難しい病気である、依存症。「病気になる前の苦しみのない世界で生きることは、もう二度とできないと思っていた」という当事者の海保さんが、〈Light〉の支援員と出会い、退院するまでの経験を伺い、リカバリーに必要なものは何かを考えます。

3月16日(日)18:00〜19:00 ピアサポーターや相談支援専門員のおもい
 登壇者:当事者 海保氏義さん、〈ピア なかまのわ〉代表 ピアサポーター 石村徹さん、〈地域活動支援センターこまつがわ〉ピアスタッフ 片柳暢啓さん、〈相談支援センターくらふと 副施設長〉岩崎美那 さん
進行:〈ひらいルミナル〉理事長 河野文美さん

病院や入所施設から帰ってくることができる地域づくりのために何ができるのか。東京都の地域移行支援の現状を共有しながら、複数の施設のピアサポーターや相談支援員の思いを聞きます。

イベントの詳細が掲載された、チラシの裏面

この他にも、15歳以降の福祉制度の壁について考える「AGE!15からの壁〜生涯を通じて暮らしやすい地域とは〜」や、80代の親が50代の子どもの生活を支える社会問題を巡る「8050の壁〜多様な生活形態に応じられる体制とは〜」など、福祉の制度や地域課題について語り合うトークが企画されています。

また、3月16日(日)は〈Light〉を利用している「折り紙名人」、林竜太郎さんによるワークショップ「ORIGAMI CAFÉ」も開催。「ぼくの、わたしの居場所」の関連企画として実施する本ワークショップでは、林さんと一緒に手を動かし、会話することで、居場所に必要なものは何かを感じることができるかもしれません。

楽しみながら作品を見ること、そして話を聞くことは、私たちの「地域で共に暮らす人」への視野を広げてくれるはずです。ぜひ会場に足を運んでみませんか。