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「アートを生み出すスタイル」の可能性を開く。〈世界ゆるアート協会〉の展示シリーズ“ART STYLES”が始動
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アートスタイルの発明に挑む『ART STYLES 01「DRUM&ROLL」展』

「自分にはアートの才能がない」。そんな考えを持つ人に対して、アートをつくるプロセスのユニークさを問う展示シリーズ、「ART STYLES」が始動しました。

〈世界ゆるアート協会〉が仕掛けたこの企画は、障害のあるアーティストを「新しいアートスタイルの発明者」として捉え、作品が生まれる過程そのものをアートとして展示。同時に来場者も、それぞれのアートスタイルでそれぞれのアート作品をつくり出すことを目的にしています。

第一弾となる「DRUM&ROLL」展(〜2024年3月3日)で登場する作家は、障害児者総合福祉施設〈ノーサイド〉に所属する小原和真さん。本展を共同企画した〈JAPAN ART BRIDGE〉の運営するギャラリー(マーチエキュート神田万世橋内)には、ビデオグラファー・釜石拓真さんによる映像作品や実際の作品、制作で使用したマラカスなどが並びます。

〈世界ゆるアート協会〉があらゆる人のアート性をサポート

〈世界ゆるアート協会〉は「世界中の人を、アーティストに」を合言葉に、あらゆる人のアート性をサポートし花開かせるべく、立ち上がりました。最初の企画として2022年12月3日(日)、11名の障害のあるアーティストの作品を集結させた「WOW!DERFUL」展を北千住マルイにて開催。その後2023年3月に活動を本格的にスタートさせ、今まさにさまざまな企業とユニークなプロジェクトを企画中です。

〈世界ゆるアート協会〉のコレクションの一部(公式サイトより)

〈世界ゆるアート協会〉は〈一般社団法人 障害攻略課〉が運営するプロジェクトのひとつ。〈障害攻略課〉は、社会に潜む数々の“社会障害”を攻略するために、多様なプロフェッショナルが集結してできた団体です。手がけているプロジェクトは15件を超え、最近では2024年1月に能登半島地震で被災した障害のある人や高齢者へ、物資を過不足なく届けるプラットフォーム「届け.jp」の開発や運営も行っています。

〈障害攻略課〉は、社会の「ふべん」を「ふつう」にするだけではなく「ふふふ」にすることを目指している

〈障害攻略課〉の運営メンバーには、だれもが楽しめる新スポーツを提唱する〈世界ゆるスポーツ協会〉や、すべての人に楽器を演奏する喜びを提供する協会〈世界ゆるミュージック協会〉の代表理事を務める澤田智洋さんも含まれており、今回はスポーツ・音楽に続いて、アートの可能性をゆるくひらくプロジェクトになっているといえます。

アートの手段が増えたら、あらゆる人がアーティストになれる

〈世界ゆるアート協会〉の新たな展示シリーズ「ART STYLES」は、「アートを生み出すスタイル」に光を当てる企画です。その企画意図には、既存の表現に囚われない手段を知ることで、アートへの見方そのものを変えていく狙いがあると澤田さんは言います。

2024年1月27日にスタートした「DRUM&ROLL」展では、脳性麻痺があり、普段は車椅子に乗って生活をしている小原和真さんが作家として登場。展示では、音楽やリズムを奏でることが大好きな小原さんがマラカスをたたいたり(=DRUM)、スーパーボールを転がしたり(=ROLL)しながら制作している様子を、ビデオグラファー・釜石拓真さんによる映像作品として展示しています。

第一弾の展示作家に小原さんを選んだ背景には、今回のアートスタイルを生み出したマラカスやスーパーボールが、筆やペンといった一般的にイメージされる画材道具ではないものだった点が大きかったとのこと。思いもよらないツールを用いた作品の存在が、これまでアートを縁遠く感じていた人々に、新しいインスピレーションをもたらすことが期待されています。

アート制作におけるさまざまなプロセスがアートスタイルとして公開されていくことで、私たちが選べる「アートの手段」を増やしたいと考える〈世界ゆるアート協会〉。あらゆる人がアーティストとなる未来を期待した今回の「ART STYLES 01」を皮切りに、これからも企画を継続していきます。