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空の旅に不安を感じる人へ。ヘラルボニー×JALが障害のある人向けハンドブックを制作
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障害がある人やその家族の不安に寄り添うQ&Aガイドが公開
旅は、違う場所に行き、違う価値観に触れることで、視野や考え方の幅を広げるきっかけとなるものです。その途中で起こる「想定外のこと」もまた、驚きや気づきをもたらす旅の大きな楽しみといえるでしょう。一方で、障害のある人やその家族にとっては、そうした「想定外のこと」で生じる不安が旅への高いハードルともなっています。
それらの不安に対処するべく、クリエイティブカンパニー〈株式会社ヘラルボニー〉は〈日本航空株式会社(以下、JAL)〉とともにガイドブックを共同制作。空の旅にまつわるQ&Aガイド「Beyond Guide」を公開しました。
このガイドブックでは、「長時間の待機ができるか不安」「こだわりがある食べ物や飲み物を持ち込みたい」「パニックになった場合どうすればいい?」といった声に応える形で、予約・搭乗前・空港・機内それぞれのステップごとにQ&A形式で対応策がわかりやすくまとめられています。知的障害のある人やその家族が感じるさまざまな不安と疑問に応えることで、より安心して空の旅を楽しんでもらえることを目的として制作されました。

ヘラルボニーとJALのこれまでの取り組み
〈ヘラルボニー〉は「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験カンパニー。国内外の主に知的障害がある作家による2,000点以上のアートデータを軸としたライセンスビジネスや企業のDEI推進支援など、福祉領域の拡張を見据えたさまざまな事業を通じて、障害のイメージを変え、“80億人の異彩がありのままに生きる社会”の実現をめざしています。
一方、環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)を重視する「ESG戦略」を経営の最上位に位置付けてきた〈JAL〉では、サステナブルな人流・商流・物流を創出し、「移動・つながり」を生み出すことでさまざまな社会課題を解決していくことを中期経営計画に組み込んでいます。また、重要課題の一つとして「多様性によるレジリエンス」を掲げ、多様な人・文化・価値観や行動様式が尊重されながら、新たな価値が生み出される社会をつくろうとしています。
そんな2社は、互いの企業理念に共鳴し、これまでにヘラルボニー契約作家、合計29名の作家・41作品を起用して、その異彩を広く社会に届けてきました。2023年には業務提携を締結し、国境のない「空」のように、誰もがありのまま自由に羽ばたける社会の実現をめざして「Beyond」というコンセプトのもと共創を進めています。

たとえば、国際線ファーストクラス・ビジネスクラスのアメニティポーチにヘラルボニー契約作家のアート作品を起用するなど、障害のある作家の才能を国内外で発信する取り組みを展開。今回の冊子「Beyond Guide」も、両社の共創の新たな形として生まれたものです。
「Beyond Guide」が、一歩を踏み出すきっかけに。

〈ヘラルボニー〉が2023年に実施した「外出にまつわるアンケート」(知的障害・発達障害のある人やそのご家族250名を対象)では、30〜36%の方が「ハード面・ソフト面それぞれの理由で、飛行機を含む公共交通機関の利用が難しい」と感じていると回答。アンケートを通じて、本当は「旅に出てみたい」と思っていても、道中で何が起こるか想像できないこと、あるいは想定外の事態が起きたときに「逃げ場がない」と感じることから、一歩を踏み出せない障害がある人やその家族がいることがわかってきました。中には、不安や困難を前提に、旅そのものを選択肢に入れていないという人も少なくありません。
この状況を踏まえて、〈ヘラルボニー〉と〈JAL〉は一人でも多くの人の「旅をしたい」という気持ちに寄り添うため、空の旅のハードルをなくすプロジェクトを始動。その第一弾として生まれたのが「Beyond Guide」です。
実際の声をもとに、予約・搭乗前・空港・機内での過ごし方などがQ&A形式でわかりやすくまとめられているほか、〈JAL〉がこれまでに制作した、飛行機利用についてわかりやすく解説する「スカイちゃれんじビデオ」の案内などがまとめられた本冊子。事前に知っておくことで安心につながる情報だけでなく、困ったときに役立つサポート内容や相談先も掲載されています。
また、「Beyond Guide」の公開に併せて、2024年に機内ドリンクサービスにて提供されたヘラルボニー契約作家・水上詩楽さんのアートをあしらった紙コップの、JALグループ国内・国外全路線での再配布もスタートしました。2025年6月以降、水上さんの作品を起用した紙コップが再び空の旅に彩りを加えます。

2社は「Beyond Guide」を皮切りに、今後も「誰もがありのままに、旅を通して新しい価値観・景色と出会える未来」をめざし、あらゆる人に空の旅を楽しむ選択肢を提供するこのプロジェクトの推進を掲げています。これまで空の旅にハードルを感じていた人も、「Beyond Guide」に目を通して、新しい価値観・景色と出会うための準備をしてみてはいかがでしょうか?
Information
「Beyond Guide」
ダウンロードはこちら
<STAFF>
プランナー:大門倫子(ヘラルボニー)
プロジェクトディレクター:吹田奈穂子(ヘラルボニー)
ビジネスプロデューサー:室雅子(ヘラルボニー)
アートディレクション:古谷萌(Study and Design)
デザイン:中貴紀(blink8design)
◾️機内ドリンクサービスの紙コップ提供
提供期間:2025年6月~
対象路線:全路線
起用作家:水上詩楽/Shigaku Mizukami
作品名:「タイトル不明」
Profile
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へラルボニー
株式会社
「異彩を、 放て。」をミッションに掲げる、福祉実験ユニット。日本全国の主に知的な障害のある福祉施設、作家と契約を結び、2,000点を超える高解像度アートデータの著作権管理を軸とするライセンスビジネスをはじめ、作品をファッションやインテリアなどのプロダクトに落とし込む、アートライフスタイルブランド「HERALBONY」の運営や、建設現場の仮囲いに作品を転用する「全日本仮囲いアートミュージアム」など、福祉領域の拡張を見据えた多様な事業を展開しています。これらの社会実装を通じて「障害」のイメージ変容と、福祉を起点とした新たな文化の創造を目指します。社名である「ヘラルボニー」は、知的障害のある両代表の兄・松⽥翔太が7歳の頃⾃由帳に記した謎の⾔葉です。「⼀⾒意味がないと思われるものを世の中に新しい価値として創出したい」という意味を込めています。