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「ビッグビート板」で、水泳をもっと楽しく!〈日本障がい者スイミング協会〉が12月15日(日)までクラファンで先行販売を実施中
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【画像】アーチ型の青いビート板。横長で、頂点のところに細いアーチ型の穴も空いている

障害のある子どもたちがより水泳を楽しめるように、療育ビート板「ビッグビート板」を開発

プールでよく見かける、泳ぎをサポートしてくれるビート板。小学校の授業などで、一度は触れたことがある人も多いのではないでしょうか。

しかし、発達障害や知的障害、肢体に不自由のある子どもたちにとっては、あの縦長のビート板は必ずしも使いやすいものではありません。サイズや浮力の強さが合わず、扱うことが難しい子どもも多くいました。

そのような課題を解決するため、「日常生活支援」をテーマに障害者水泳教室を運営している〈一般社団法人日本障がい者スイミング協会〉は、新しく療育ビート板「ビッグビート板」を開発。製品は従来のビート板を2枚程度並べた横長の大判サイズで、水の中で上半身を預けてもフィットするアーチ型になっています。

これを全国に広げることを目的として、2024年9月18日(水)から12月15日(日)までクラウドファンディングに挑戦しています。

ビッグビート板サイズ画像。高さ400mm、幅700mm

福祉の一環としての水泳教室。子どもたちの「できた」を増やす関わり

〈日本障がい者スイミング協会〉は、発達障害や知的障害、肢体に不自由のある方や、持病などで一般のスイミングスクールに通うのが難しい方を対象にした水泳教室や、その指導員養成を実施している法人です。

代表理事を務めるのは、酒井泰葉さん。酒井さんは、大学生のときに障害者水泳に出会いました。障害のある子どもたちと水泳を通したコミュニケーションに楽しさを感じ、水泳教室「アクアマルシェ」(東京都三鷹市)をスタート。口コミで生徒が増えたことをきっかけに、2020年に一般社団法人を設立しました。

〈日本障がい者スイミング協会〉では、水泳を「指導ではなく、福祉の一環」と捉えています。先生一人ひとりが支援員として、障害の度合いや水への親しみ具合に合わせた福祉的なケアをプールの場で提供しながら、スイミングスクールで支援を行う支援員の養成研修や、障害者水泳について学べるプログラムも行っています。これまで、障害者水泳を広めるためのハンドブック『ハッピースイミング』や、水中療育プログラムを解説した書籍『発達障害・グレーゾーンの子のための水中療育 からだ・こころ・ことばを育むスイミング』なども刊行しました。

冊子の本文画像。「ゆるゆるリラクゼーションでやってみよう」「ふんわり上向でやってみよう」などのテーマで、写真とともに体の動かし方が解説されている
〈日本障がい者スイミング協会〉が発行する64pの小冊子『ハッピースイミング』より。PDF版は無料で配布されている(要メルマガ登録)

水泳は、発育の促進や運動機能向上に効果があり、発達障害や知的障害、肢体に不自由のある子どもたちにも親しみやすいスポーツです。水の力を借りることで陸上よりも自由に身体を動かすことができ、「できた」という成功体験を感じやすいと酒井さんは言います。

子どもたちの「できた」をもっと増やしたい。そんな想いから生まれたのが、今回の「ビッグビート板」です。

子どもたちの体型データをもとに開発。ビックビート板が、共生社会のきっかけにも

発達障害や知的障害、肢体に不自由のある子どもにとって、これまでのビート板にはいくつかの課題がありました。たとえば、面積が小さいためにバランスを取りづらく、泳ぎのサポートの前にバランスをとる練習をしなければならないこと。かと言って大人向けビート板だと、体重の軽い子どもにとっては浮力が強く、体に負担がかかってしまうことなどが挙げられます。

〈日本障害者スイミング協会〉は、これまで国内外からさまざまな水泳道具を輸入し試してきたものの、すべての課題を解決してくれるものは見つかりませんでした。そこで、自分たちで作ることを決意。日本人の子どもの手足や体格を調べ、どのような形状が良いのか、どのくらいの大きさにするのかを検討しました。

ビッグビート板を使った背浮き画像

水泳道具を制作している〈株式会社サンワ〉とともに調整を行い、完成した「ビッグビート板」には、大きく4つの機能性があります。

1つ目は、子どもが主役のビート板であること。さまざまなデータをもとに子どもの体型を考慮し、従来のビート板2枚程度の大判サイズになっています。キック動作の練習はもちろん、背浮きの練習でも安定して身体を支えることができます。

2つ目は、体幹機能の発達を促してくれること。水泳は、身体を横たえて行う運動です。体幹が安定していないと腕を伸ばした姿勢になりにくいですが、ビックビート板は横にも長さがあるため自然と体幹が安定。腕を伸ばすことが容易になり、バタ足の姿勢に移行しやすくなっています。

3つ目は、つかみやすい形状であること。ビート板上部に穴をあけることで、手や指、腕の力がなくても握りやすい形状になっています。

4つ目は、身体に沿う形であること。ビックビート板は、しなる設計になっています。ビート板に上半身がのったとしても、浮力で飛び出すことがなく身体に沿ってくれるため、安心して水中運動に集中できます。

ビッグビート板を使ったバタ足画像

日本人の子どもに合わせた作りになっているビックビート板は、障害の有無に関わらず、従来のビート板を使うのが難しかった人に新しい選択肢をもたらしてくれる可能性があります。子ども同士、同じ道具を使い、同じ場所で水泳を楽しむこともできる点は、多様性や共生社会を考えるきっかけにもなるアイテムです。

クラウドファンディングは、200万円を目標金額に、2024年9月18日(水)から12月15日(日)の期間で実施中。気になる方は、ぜひ、クラウドファンディングページをご覧ください。