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3ヶ月に渡るトラウマ治療の記録を描いた植本一子さんのエッセイ『愛は時間がかかる』が発刊。5月28日には刊行記念イベントも
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エッセイ『愛は時間がかかる』が発刊。5月28日には刊行記念のトークイベントも
3ヶ月に渡るトラウマ治療を描いた記録、植本一子さんのエッセイ『愛は時間がかかる』が〈筑摩書房〉より2023年5月1日に発行されました。5月28日には刊行記念の「『愛は時間がかかる』の話を聞くのも時間がかかる 植本一子 × 碇雪恵トークイベント」が東京都渋谷区にある〈青山ブックセンター本店〉にて開催予定です。
写真家・植本一子さんによる4年ぶりの新刊
エッセイ『愛は時間がかかる』は、写真家の植本一子さんによる4年ぶり7冊めの書籍です。
植本さんは、現在のパートナーと良い関係を築いていきたいと願い、一念発起してこれまで通っていたカウンセリングセンターのトラウマ治療を受けることにしました。本書では、2022年9月から11月まで3カ月続いた治療の記録を、パートナーに向けた手紙という形をとったエッセイとしてまとめています。
「歩ける道は狭くて暗く、心細い。一緒にいるのにいつも不安で、常に何かに怯えている。自分に向けられている愛が、見えない、わからない。誰といてもそうなることを知っていて、心のどこかで、諦めていたような気がします。安定した関係性を、一対一の誰かと作ることは、私にはできないと」(p3「はじめまして おひさしぶりです」)
そんな不安や心配から始まる本書には、植本さんの治療の記録が克明に描かれています。
治療の内容やその時の心境、トラウマと向き合う中で呼び起こされる古い記憶、移り変わるパートナーとの関係性、植本さんが受けたEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)という治療法について。包み隠すことなく詳細に明らかにされていき、読み進めるうちにまるで植本さんの人生を並走しているように感じられます。
書くことは自分のためであり、それ以上に誰かのためになる
著者の植本一子さんは、2003年に「キャノン写真新世紀」で優秀賞受賞。2013年には下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、写真家として第一線で活動してきました。
同時に植本さんは、結婚や子育て、家族についてなどの私生活の記録を通し、生きづらさや葛藤、愛について書き続け、書籍として発行してきました。主な著作に『かなわない』(2016年、タバブックス)、『家族最初の日』(2019年、ちくま文庫)などがあります。また、これまでも日記を書いては自費出版という形で発表しています。
『愛は時間がかかる』は、植本さんが初めてエッセイ形式で記録を綴った書籍です。
「治療を始めてすぐ、これは記録しておかなければ、と思いました。まるで人生の総ざらいのような時間。自分がどんな人生を歩んできて、傷つき、こうなったのか。状況は違えど、きっと似たような境遇の人がいるかもしれません。その人のためにも、こんな方法があるのだということを知らせなければ。そのために書かなければ。書くということは、自分のためであり、それ以上に誰かのため、今読んでくれているあなたのためなのだと、今回強く実感したのです」(p5「はじめまして おひさしぶりです」)
自分のための日記よりも誰かに読んでもらう前提のエッセイにしたことからも、植本さんの「伝えたい」気持ちをより一層感じ取れます。
「トラウマ治療というと、ものすごく大きな、傷ついた出来事に出会った人のための治療、という印象があり、私なんかの経験でもやっていいのだろうか、と思っていた。自分の経験はトラウマと呼ぶには小さすぎるのではないか。でも、傷つくことに大きいも小さいもない。その人が傷ついたと思ったのなら、それはそうでしかない」(p151「未来の鋳型 トラウマ治療⑥」)
3ヶ月のトラウマ治療最後の日の記録に、植本さんはこのように記しています。
刊行記念トークイベントも合わせてご参加を
刊行記念として、5月28日(日)には〈青山ブックセンター本店〉にて「植本一子 × 碇雪恵トークイベント」が開催されます。
対談相手の碇雪恵(いかり ゆきえ)さんは、植本さんの友人であり、“遅すぎる反抗期”を発症した2019年からの出来事を記したZINE『35歳からの反抗期入門』の著者です。
2022年秋に治療を終えた植本さんですが、治療中はもちろん治療に踏み出すまでにも長い時間がかかりました。それをそばで友人として支えていた碇さんは、植本さんをどう見ていたのでしょうか。
トークイベントでは友人であるお二人だからこそ引き出せる内容をたっぷりお伺いできそうです。お時間のある方はぜひ会場に足を運んでみませんか。
information
書籍「愛は時間がかかる」
著者:植本 一子
発行:筑摩書房
四六変型判 192ページ
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-480-81572-9
Web:出版社ページ
<著者プロフィール>
植本 一子(うえもと・いちこ)
1984年、広島県生まれ。2003年、キヤノン写真新世紀で荒木経惟より優秀賞を受賞し、写真家としてのキャリアをスタート。2013年より下北沢に自然光を使った写真館「天然スタジオ」を立ち上げ、一般家庭の記念撮影をライフワークとしている。主な著作に『かなわない』(タバブックス)、『家族最初の日』(ちくま文庫)など。
information
『愛は時間がかかる』の話を聞くのも時間がかかる 植本一子 × 碇雪恵トークイベント
『愛は時間がかかる』を刊行した植本一子さんが、『35歳からの反抗期入門』が大きな反響を呼んでいる、友人の碇雪恵さんをお相手に、トークイベントを開催します。
日時:2023年5月28日(日)14:00〜15:30(開場13:30〜)
参加費:1,540円(税込)
定員:80名
会場:青山ブックセンター本店 大教室(東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア)
Web:申し込みページ
Information
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