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“児童書の世界”からインクルーシブな未来を描く。「子ども・社会を考えるシリーズ講演会」2026年2月12日に東京開催
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【画像】「ともに生きる世界を描く」イベントキービジュアル。登壇者のアレックス・ストリック、かくあげ久子、いとうあさの名前が入っている
2026年2月12日(木)13:00〜16:00、きゅりあん(品川区)にて

〈NPOブックスタート〉主催、子どもと「ともに生きる世界を描く」イベント

子どもの頃、どんな絵本を読んだ記憶がありますか。「絵本は身近で当たり前の存在だった」という人もいれば、「あまり馴染みがなかった」という人もいるかもしれません。

〈NPOブックスタート〉は、0歳児健診などの機会に、絵本をひらく楽しさを伝える「体験」と「絵本」をセットで届ける自治体事業「ブックスタート」の推進組織です。

その取り組みの一環として、2026年2月12日(木)に講演&対談イベント「ともに生きる世界を描く~児童書がひらくインクルーシブな未来」を開催。イギリスの児童書界における実践を手がかりに、「まるごと受け止め合う社会」とはどのようなものなのかを、参加者のみなさんと共に考えていきます。

イギリスから世界に広がった〈ブックスタート〉の活動

ブックスタート運動は、1992年にイギリス・バーミンガム市で誕生しました。発案者は、絵本コンサルタントのウェンディ・クーリングさんです。小学校での活動中、絵本の存在を知らない5歳の男の子と出会ったことが、そのきっかけでした。

「すべての子どもに、絵本を読んでもらう幸せな時間を届けたい」と考えたウェンディさんは、絵本そのものを読み聞かせの体験とともに、すべての赤ちゃんへ手渡すというアイデアにたどり着きます。配布の場として、地域の赤ちゃん全員が対象となる健診を選び、ブックスタートは市の事業として始まりました。今では世界各国の地域で同様の活動が行われています。

日本でブックスタートが広く知られるようになったきっかけは、2000年の「子ども読書年」です。この年、子ども読書年推進会議(※)でイギリスの取り組みが紹介され、会議内にブックスタート室が発足。約200組の親子を対象に試験的な実施が行われました。

その様子がメディアを通じて全国に伝わると、自治体の関心が高まり、2001年4月には12市町村が新規事業として導入。日本の推進組織として〈NPOブックスタート〉が設立されると、活動は草の根的に全国へと広がっていきました。

※2000年の「子ども読書年」をきっかけに発足した、子どもの読書活動を推進するための組織。出版社や図書館、作家などが連携し、現在は国や自治体の推進会議として、読書イベントの企画や読書環境づくりに取り組んでいる

【画像】ウェブサイトのキャプチャ。中央にshare books, share happinessの文字
)NPO法人ブックスタート 公式サイトより

現在〈NPOブックスタート〉では、自治体へのサポート活動以外にも、さまざまなプロジェクトを実施しています。その一つとして、“すべて”の赤ちゃんや子どもたちが幸せに育つには、子ども本人だけでなくその家族をもあたたかく支える社会の基盤が欠かせない、と立ち上げられたのが「子ども・社会を考えるプロジェクト」です。子どもをめぐる知識や理解を深め、一人ひとりに何ができるのかを考える場として、専門家による講演を実施しています。

同プロジェクトのイベントは2013年度から開催されており、初回は詩人・谷川俊太郎さんと聞き手に草野満代さんを招いて「赤ちゃん・絵本・ことば」をテーマに語り合いました。その後も、2015年度には臨床心理士・武田信子さんによる「社会で子どもをはぐくむ」、2023年度には児童精神科医・小澤いぶきさんによる「子どもの声を聴く」など、毎年多彩なテーマで開催されています。

【写真】広いホール。ステージの上で2人がオレンジのソファに座って話している
初開催となった詩人 谷川俊太郎さん/聞き手 草野満代さんによる『赤ちゃん・絵本・ことば』(2013年)

イギリスの児童書界の実践から考える「まるごと受けとめ合う社会」

2026年2月12日に開催する「ともに生きる世界を描く~児童書がひらくインクルーシブな未来」は、3つのプログラムが予定されています。

1つ目のプログラムでは、イギリス児童書界において障害とインクルージョンの分野で活躍してきた専門家、アレックス・ストリックさんを招き、「『ここに自分がいる』と思える物語を」というテーマの講演が予定されています。

ストリックさんは、「障害や文化的背景にかかわらず、あらゆる子どもが“ここに自分がいる”と感じられる本を届けたい」という思いのもと、多様性とインクルージョンの推進に取り組んできました。一人ひとりの子どもの経験に丁寧に耳を傾け、その声を本のつくり手へとつないできた実践を通して、「まるごと受けとめ合う社会」を実現するために必要な視点や課題について語ります。

2つ目のプログラムでは、バリアフリー絵本研究者であり公認心理師、女子美術大学非常勤講師を務める攪上(かくあげ)久子さんとストリックさんが、「子どもと共に創る本」をテーマに対談します。多様な背景をもつ子どもたちをどのように描き、本としてかたちにしていくのか。具体的な児童書や制作事例を手がかりに、その意義を探っていきます。

3つ目のプログラムは、東京科学大学教授の伊藤亜紗さんとストリックさんの対談です。「『支援する/される』のその先へ」をテーマに、障害のある人とそうでない人との関係性を見つめ直し、相手の生きる世界を知ることから始まる、新たな関わりのあり方を探ります。

「当事者の経験や声に真摯に耳を傾けながら世界を形づくっていく」というストリックさんの哲学は、「障害のある人/ない人」「支援する/される」といった二項対立を超え、新たな関係を探り続けてきた伊藤さんの思想と深く重なります。この二人が出会うことで生まれる新たな化学反応は、参加者にどのような気づきをもたらしてくれるでしょうか。

【画像】イベントチラシ。イギリスの実践から、まるごと受け止め合う社会を考える、のコピー
録画動画は後日〈NPOブックスタート〉YouTubeチャンネルにて配信予定

本イベントは、どなたでも参加しやすい場づくりが掲げられています。車いす席や前方席の確保、手話通訳、テキストデータの提供、骨伝導ヘッドフォンの貸し出しなど、参加にあたって配慮や環境調整が必要な場合は、1月26日(月)までに〈NPOブックスタート〉までご相談ください。

子ども一人ひとりだけでなく、その家族までもあたたかく包み込む社会の土台をつくるために。講演や対談に触れながら、共に考え、対話する時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。