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高齢者福祉施設〈デイサービス楽らく〉(埼玉県東松山市)がアーティストの拠点に。プロジェクト「クロスプレイ東松山」がスタート
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埼玉県東松山市の高齢者福祉施設〈デイサービス楽らく〉

高齢者デイサービス施設からはじまる、アーティストとの相互交流プロジェクト

一日の日課が決まっていて、関わる人も限定されがちな高齢者福祉施設。そうしたケアの現場にアーティストが滞在し、デイサービス利用者やスタッフと同じ時間を過ごす文化的交流プロジェクト「クロスプレイ東松山」が、埼玉県東松山市の高齢者福祉施設〈デイサービス楽らく〉ではじまります。

2022年7月より、3組のアーティストが滞在しており、ワークショップや作品制作を行いながら利用者やスタッフと一緒に施設で過ごします。レクリエーションの時間枠やそれぞれの役割に留まらない、同じ時間のなかで生まれるコミュニケーションを大切にしながら「高齢者福祉施設でもあり文化施設でもある場」をつくることをコンセプトに掲げています。

「らくに・たのしく・そのひとらしく」あるためのアート

「クロスプレイ東松山」を主催するのは、同施設を運営する〈医療法人社団保順会〉と、〈一般社団法人ベンチ〉です。

〈保順会〉が2007年に東松山市唐子(からこ)地区へ開所した〈デイサービス楽らく〉では、住み慣れた地域での暮らしを豊かにする居場所にしようと、「らくに たのしく そのひとらしく」を取り入れたケアを実践してきたといいます。2017年には、アートを通じた「よりクリエイティブなケアの実践」をテーマにした文化プログラム「くらしの楽校」を実施し、2022年6月、デイサービス機能とアーティストインレジデンス機能を備えた複合施設として再びスタートしました。

もう一方の主催である〈一般社団法人ベンチ〉は、芸術文化分野をはじめ行政や福祉、医療、まちづくりと幅広く連携し、アートにまつわるプロデュースやマネジメントを行う、アートプロデューサー・コーディネーター・マネージャーのコレクティブです。今回の「クロスプレイ東松山」でも企画やプロデュースを〈保順会〉とともに担当しています。

参加アーティストにはダンサーや文化活動家、地域のデザイナーが参加

現在参加が決まっているアソシエイトアーティストは3組。

振付家・演出家・ダンサーの白神ももこさん(©北川姉妹)

振付家・演出家・ダンサーの白神ももこさんは、身近な日々のささいなできごとや願望などから着想を得たダンスを用いた作品創作を続けているダンス・パフォーマンス的グループ「モモンガ・コンプレックス」を主宰しています。

2022年10月より定期的に施設に滞在し、その経験をもとに、新作ダンスを制作します。公演に先立ち、11月13日(日)には〈東松山市民文化センター〉で市民向けの公開ワークショップを実施。〈デイサービス楽らく〉の利用者や職員との交流を経てつくられた作品は、2023年1月15日(日)に〈デイサービス楽らく〉、1月22日(日)に〈東松山市民文化センター〉で上演予定です。

らじおけいしきでおもいでのきょくについていんたびゅーするあさだわたるさん
文化活動家のアサダワタルさん(写真左)

こここの連載も担当されている文化活動家のアサダワタルさんは、音楽などの表現行為を支点にさまざまな生活現場に赴き、「これまでにない他者とのつながりかた」を探求するプロジェクトに取り組んでいます。

「クロスプレイ東松山」では、模擬的なラジオブースを作り、架空のラジオ番組を施設内で放送します。利用者からリクエストを受けた「思い出の一曲」を流しながら、その曲にまつわる思い出を本人にうかがい、記憶の掘り起こしを試みます。

東松山のギャラリーを営む〈comeya〉オーナーで、デザイナーの吉田幸平さん(写真右)と吉田和古さん(左)

吉田幸平さん/吉田和古さんは、東松山のまちのギャラリー〈comeya〉のオーナーで、デザイン業も営んでいます。近隣を活動拠点にする作家の作品展を企画するほか、まちの記憶をのこすことを目的とした冊子を発行するなど、地域に暮らす人々に焦点をあてた活動を行ってきました。

このプロジェクトでは、利用者の思い出の写真をもとに、その写真にまつわるエピソードを本人から聞き取り、その人がこれまで歩んできた物語を、施設内展示の形式で紹介します。

滞在アーティストを募集中、10月30日まで

さらに、この三組に限らず、「クロスプレイ東松山」では、滞在するアーティストを募集しています。募集期間は10月30日まで。

美術・音楽・演劇・ダンス・写真・文学等の活動をしているアーティスト(表現者)で、高齢者・介護・福祉に興味がある方が主な対象です。滞在期間は、2022年12月9日〜28日と、2023年2月27日〜3月27日のなかから、7日以上30日以内での滞在を予定しています。

滞在中は、利用者と交流しながら長期的にヒアリングや企画を開催できるので、福祉や高齢者、施設などを題材にした作品に関して、より深くリサーチすることが可能です。

また、多目的スペース(約10畳)を作品制作のアトリエとして常時使用でき、デイサービスの活動時間以外は、メインホールをスタジオとして使えるので、演劇やダンスの稽古など、幅広く多様な制作に対応できます。

詳しい応募要項は公式noteをご確認ください。

高齢者福祉施設のなかからはじまる文化的な交流

「クロスプレイ東松山」では、利用者やスタッフの日常に、様々なアーティストとの新たな出会いや創造活動が交錯することで、文化的な交流が生まれていくことが期待されます。

そして、その交流を通して、施設が新しい創造の場として地域にひらかれていくことを目指す本活動に、ぜひご注目ください。施設に関わる人々や街に住む人々のなかに眠っていた価値観や考え方を掘り起こしていくことで、新しい「ケアのあり方」のヒントが見つかるかもしれません。