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鎌倉・建長寺で〈ヘラルボニー〉×〈ARu〉が光を演出! 展示「わたしの輪郭が、やわらかくなる。」12月12日から開催
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作家たちの作品と光のインスタレーション

北鎌倉にある、歴史的建造物の〈建長寺 応真閣〉を舞台に、障害のある作家の作品と光のインスタレーションが静かに交わる空間がつくられます。

5日間限定で開催されるのは、〈株式会社ヘラルボニー〉と〈ARu inc.〉の協働による、アート作品と光のインスタレーションの展示「わたしの輪郭が、やわらかくなる。」です。展示期間は、2025年12月12日(金)から16日(火)まで。

初日の12日には、〈ヘラルボニー〉Co-CEOの松田崇弥さん、鎌倉市長の松尾崇さん、臨済宗建長寺派 教学部長の山名田紹山さんが登壇するオープニングトークも〈建長寺 応供堂〉にて行われます。

青空をバックにした、寺の大きな門の写真
鎌倉時代の建長5年(1253年)に鎌倉幕府五代執権・北条時頼により建立された、日本最初の禅寺である建長寺。境内は「建長寺境内」として国の史跡に指定されている。また、浄智寺などとともに神奈川県の歴史的風土特別保存地区に指定されている

東アジア文化都市2025鎌倉市「千年先の鎌倉へ、はじめの一歩」

本企画展は、「東アジア文化都市2025鎌倉市」の一環として開催されます。

「東アジア文化都市」は、日本、中国、韓国の3カ国において、文化芸術による発展を目指す都市をそれぞれ選定し、その都市においてさまざまな文化芸術イベントなどを実施するものです。東アジア地域の相互理解や連帯感の形成、文化の発信力の強化をはかることを目指して、日本では横浜市や新潟市、豊島区、大分県などの自治体が毎年交代で選定されてきました。

2025年に日本で選定されたのは、鎌倉市。「千年先の鎌倉へ、はじめの一歩」をコンセプトに、共生社会の実現を目指す鎌倉市としての新しい企画を模索した結果、障害の有無や国籍、文化などの違いを思いやり、人それぞれによって異なる「ふつう」や「当たり前」を体現する機会をつくろうと、「異彩を、放て。」をミッションに、さまざまな障害のイメージ変容と福祉を起点に新たな文化の創出を目指す〈ヘラルボニー〉との協働展示を開催します。

1000年先の鎌倉へ、はじめの一歩、と書かれたコピーと、コンセプトの説明が書かれたウェブサイトの1ページ

「東アジア文化都市2025鎌倉市」公式サイト
よりキャプチャ

鎌倉の土地が持つ文化的な場所から未来に向けての希望を発信したい、という思いから、展示は市内の歴史的建築物である、建長寺で展覧会を行うことになりました。禅宗寺院を代表する、「鎌倉五山」の第一位に数えられるお寺です。

重要文化財がいくつも並び、国指定名勝の庭園もあるなど、観光名所としても多くの人が訪れる建長寺。「共生」という言葉があまり身近でなかった人々に、それを新しく体験し、触れる機会になると考えたことが、今回の企画へとつながりました。

企画展「わたしの輪郭が、やわらかくなる。」

本展では、〈ヘラルボニー〉の契約作家によるアート作品とクリエイティブファーム〈ARu〉による光の演出が行われます。来場者の歩みや視線に呼応し、静けさの中で感覚が開かれるような体験ができる空間が演出されます。

障害のある人たちの美術作品を中心に展示する〈るんびにい美術館〉(岩手県花巻市)の活動に関わるなかで、互いに知り合ったという〈ヘラルボニー〉と〈ARu〉。今回、〈ARu〉の拠点が鎌倉にあることや、禅の文化が息づく土地で光の体験型展示を行うことで、〈ヘラルボニー〉としても新たな問いかけの形を生み出せるのではないかと考えたことが、初の協働へとつながりました。

展示作家は、岡元俊雄さん、小林覚さん、 SATOさん、福井将宏さん、藤田望人さんの5人。そこに、〈ARu〉による光の演出が加わることで、鑑賞者の存在や価値観の「輪郭」が柔らかく溶け出していくような空間を目指します。

太い黒い線とカラフルな色が紙面を埋めている画像
《般若心経(羯諦羯諦)》 岩手県の〈るんびにい美術館〉に在籍する小林覚さんの作品。いろいろな言葉がつなげて描かれている。養護学校中等部在学中、日記も作文もすべての文字を独特の形にアレンジして書くようになったことが、表現のきっかけに
水彩絵の具で描かれた、草原のような雨のような絵
《プールサイド》 アメリカ・ボストン在住のSATOさんの作品。10歳のサマーキャンプで水彩画と出会って以来、自宅で「1日1枚」絵を描くのが日課。色相が濁らないように、米国製の透明水彩絵の具を愛用している
はっきりとした色合いで描かれた花の絵
《バラ》 鳥取県の〈アートスペースからふる〉に所属する福井将宏さんの制作スタイルは、植物を見て描くこと。色や形を単純化した画面の構成力も魅力のひとつ

オープニングトーク「ひとりひとりの『ちがい』が響き合う社会のかたち」

展示初日の12月12日(金)15:00〜16:00は、オープニングトークが予定されています。登壇するのは、〈ヘラルボニー〉Co-CEOの松田崇弥さん、鎌倉市長の松尾崇さん、臨済宗建長寺派教学部長の山名田紹山さん。3つのトークテーマ、「東アジア文化都市2025 鎌倉市について」「アートからも見る『ちがい』について」「1000年先の鎌倉へ、はじめの一歩」を3人で語り合います。

トークは要事前申込で、参加費は無料。建長寺の拝観料(大人500円、小人200円)のみ必要です。

「ひとりひとりの『ちがい』が響き合う社会のかたち」というテーマと、登壇者3人のプロフィール写真が並んだアイキャッチ画像

歴史ある空間での新たなアート鑑賞体験を通して、私たちの「輪郭」はどのようにやわらかくなっていくのでしょう。

何かと慌ただしい年末だからこそ、静かなお寺でアートを鑑賞しながらひと時を過ごしてみる。そこから、今まで覚えたことのない「共に在る」感覚が立ち上がってくるかもしれません。