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社会×アートの未来を展望する書籍『危機の時代を生き延びるアートプロジェクト』が発売
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ほんのひょうし
『危機の時代を生き延びるアートプロジェクト』が、合同会社千十一編集室より発売中です

地域と文化について考える書籍『危機の時代を生き延びるアートプロジェクト』

ウェブマガジン「EDIT LOCAL」の企画による、地域と文化について考えるシリーズの第一弾として、『危機の時代を生き延びるアートプロジェクト』が2021年12月に〈合同会社千十一編集室〉より発売されました。

アートプロジェクトとは、「まちなかや公共的な空間で、アーティストだけではなく様々な関係者・参加者が共に表現活動などを行う」活動。本書は、全国に広がるアートプロジェクトの10年間に渡る取り組みを、8つの事例を通して紹介しています。

編著者は、アートプロデューサーの橋本誠さんと、全国各地の地域プロジェクトに関わる編集者の影山裕樹さん。そして著者には、劇作家の石神夏希さん、別府在住のアートマネージャーである橋爪亜衣子さん、宮城県で地域の文化再生やコミュニティづくりに関わる谷津智里さんなど。その他にも、書籍内で取り上げられているプロジェクトや地域と長期的な関わりを持ってきた人たちが参加しています。 

全国各地の多様なプロジェクトを通じて、社会とアートについて見つめ直す

 2011年に発生した東日本大震災から10年。災害や感染症などの危機的な状況が続き、世の中に分断や不寛容が広がるなか、アートの役割はどこにあるのでしょうか。本書は全国各地の多様なプロジェクトの事例を参照しながら、社会とアートについて見つめ直す一冊です。

取り上げられているのは、〈せんだいメディアテーク〉〈クリエイティブサポートレッツ〉〈ホハル〉〈ココルーム〉〈城崎国際アートセンター〉など施設・組織主体で展開されてきた活動から、「あいちトリエンナーレ」「BEPPU PROJECT」など地域を足場に継続している文化事業、そして「おじさんの顔が空に浮かぶ日」「水曜日郵便局」などアーティスト主導のプロジェクトなど。

「災害復興」「社会包摂」「地域経済」「メディア」などをキーワードとして、各プロジェクトのはじまりから、その歩みや実践のプロセスを丁寧に紐解きます。ときに、アーティスト、ディレクター、施設のスタッフ、ボランティアなど様々な立場で関わった人たちの声に耳を傾けながら、著者たちは言葉を紡いでいきます。

まちなか、ゆうぐれのそらをはいけいに「おじさんのかお」がうかんでいる
編著者である橋本誠さんのコラムに登場するプロジェクトのひとつ、五十嵐靖晃さんの「そらあみ」

アートという手法を共通して用いながらも、それぞれのプロジェクトが向き合ってきたものは実に様々。例えば「福祉のしごとにん vol.01」でインタビューしたアーティストの滝沢達史さんが代表を務める、放課後等デイサービス〈ホハル〉が直面したのは、西日本豪雨という災害。

開所後3ヶ月で被災した〈ホハル〉は、クラウドファンディングを活用して500万円の資金を集め、被災から35日というスピードで営業を再開しました。様々な人を巻き込んだ復旧までの過程や、復興から生まれた地域とのつながりなど、その過程が詳細に描かれています。

その他にも本書では、障害福祉事業を営む〈クリエイティブサポートレッツ〉(静岡県浜松市)による「障害者」という存在を外に開いていく試み、舞台芸術を中心にしたアーティスト・イン・レジデンスの拠点である〈城崎国際アートセンター〉(兵庫県豊岡市)の地域に与えた影響や変化についてなどが、論じられています。

関わる人の言葉と著者たちが目にした景色から、アートが人や地域に与える影響や社会と関わる可能性、アートプロジェクトの未来が浮かび上がってきます。

クラウドファンディングのトップページ
本書は、Motion Galleryで行ったクラウドファンディング「日本各地で行われているアートプロジェクトの10年の動きを伝える本を出版したい!」で集まった資金を元に制作されました。編集に参加できるリターンを用意するなど、支援者にプロセスをオープンにしながら準備が進められました

本書の刊行を記念したトークイベントが開催

本書の刊行にともなって、1月中にトークイベントが開催されます。

1月13日(木)と19日(水)は、本書の著者・編著者が担当した記事について、本には書ききれなかったことを紹介し、書籍全体を通して感じたことなどを話し合うイベントがオンラインで無料開催。

1月20日(木)には本書の刊行を記念したトークイベントが〈本屋B&B〉(東京都世田谷区)で開催されます。登壇するのは、本書編著者の橋本誠さん、影山裕樹さん、そして、『地域アート――美学/制度/日本』(2016年、堀之内出版)、『震災文芸誌 ららほら』(2019年、響文社)を出版した藤田直哉さん。それぞれが考えるアートプロジェクトの価値とその公共化をテーマに語ります。

トークは店舗での実施のほか、配信も行います。配信は、リアルタイムと、1ヶ月間アーカイブで視聴することが可能です。

さらに、1月30日(日)は、〈京都岡崎 蔦屋書店〉(京都府京都市)にて橋本誠さんとコミュニティデザイナーの山崎亮さんが、これからの時代に求められる多様なプロジェクトとデザインの可能性について語ります。

この10年の社会と文化の関わり方について知ることができる貴重な記録でありながら、アートプロジェクトの多様な価値に触れることができる一冊。ぜひ手にとって、編著者たちの話を聞いてみませんか。