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「利他」と「利己」はメビウスの輪のように繋がっている。書籍『思いがけず利他』発売中
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しょえい
中島岳志箸『思いがけず利他』は、「利他」と「利己」について考える機会をくれる一冊です

これからの時代の「利他」と「利己」を考える一冊

コロナ禍によって、他者を思いやり行動する機会が増えました。「マスクをする」「手を洗う」「外出を自粛する」。これらは、自分自身が感染しないための対策であるとともに、無症状のまま感染していた場合、誰かに広めないようにとる行為です。現に「すでに感染していると思って行動しましょう」と行政からメッセージが発せられ、緊急事態宣言が出た際には、多くの人々が巣篭もりに徹しました。

一方、こうした「誰かのために」を目指す「利他」的行為を、「いい人」として自分を見せたい「利己」的なものではないかと疑ってしまうこともあるかもしれません。「利他」と「利己」はどう違うのでしょうか。人が純粋に誰かのために何かをすることはありえるのでしょうか。

切り離すことのできない「利他」と「利己」について考える一冊が、ミシマ社から発売中の『思いがけず利他』です。

人はなぜ他者のために行動するのかについて考える「利他プロジェクト」

『思いがけず利他』の著者は、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の中島岳志さん。中島さんは、2020年2月に東京工業大学で発足した「未来の人類研究センター」が主催する「利他プロジェクト」のリーダーを務めています。

このプロジェクトでは、政治・経済・宗教・芸術・AI・環境・宇宙など、様々な分野の専門家を交えた研究会やイベントを通して、人はなぜ他者のために行動するのかについて研究を深めています。

「利他プロジェクト」を通した中島さんの研究は、『利他とは何か』(著:伊藤亜紗・中島岳志・若松英輔・國分功一郎・磯崎憲一郎/集英社)や『料理と利他』(著:土井善晴・中島岳志/ミシマ社)などにまとめられ、ユニークな切り口から利他について考える視点を展開してきました。

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「利他プロジェクト」Webサイト内の「Pick up words」では、さまざまな分野で活躍する人が考える「利他」が紹介されています

そんな中島さんの待望の単著が、2021年10月25日に発売された『思いがけず利他』(ミシマ社)です。

利他の本質は人間の意思を超えたところにある

中島さんは著書の「はじめに」で、「偽善、負債、支配、利己性……。利他的になることは、そう簡単ではありません。しかし、自己責任論が蔓延し、人間を生産性によって価値づける社会を打破する契機が、『利他』には含まれていることも確かです」と述べています。

そうした問いを掲げながら、本書では中島さんの経験を紹介しながら「利他」の困難と可能性を考えていきます。

中島さんは、利他を根底で支えているのは、善意や合理性ではなく、意思を超えて「思いがけず」人を動かす力なのではないかと問いかけます。

中島岳志さんによる書籍紹介コメント

「私は、『利他』と『利己』というのはメビウスの輪のようにつながっているものなのではないかと思います。すごく利他的なことをやっている人でも、その内面に『褒められたい』とか『名誉を手にしたい』という思いが強くあると、それはとても『利己的』であったりしますよね。『利己』と『利他』はなかなか分けにくい。厄介な問題があるのではと思っているんです。では、本当の利他とは何なのか? といったときに、キーワードは『思いがけず』なんです。あるいは、『偶然』。人間の意思によって何かをやる、ということを超えたところで起きてしまう行為や現象。そのなかに、利他の本質があるのではないか」(※動画より一部抜粋)

意思や利害計算や合理性の外で、自分自身を動かし、喜びを循環させながら、人と人とをつなぐものとは? コロナ禍を経て、今まで以上に、他者を思いやり行動することが増えました。この機会に、利他について考えてみませんか?

information

著者:中島岳志(なかじま・たけし)

1975年大阪生まれ。大阪外国語大学卒業。京都大学大学院博士課程修了。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は南アジア地域研究、近代日本政治思想。2005年、『中村屋のボース』で大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋賞大賞受賞。著書に『パール判事』『秋葉原事件』『「リベラル保守」宣言』『血盟団事件』『アジア主義』『下中彌三郎』『保守と立憲』『親鸞と日本主義』『利他とは何か』など。ミシマ社からは『現代の超克』(若松英輔との共著)、『料理と利他』(土井善晴との共著)を刊行。

発売日:2021年10月20日
ページ数:184
出版社:ミシマ社

問い合わせ先:ミシマ社
TEL:03-3724-5616
FAX:03-3724-5618
MAIL:hatena@mishimasha.com