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「ゴミコロリ」祝200回! 京都上賀茂のゴミを退治してきた〈スウィング〉17年の軌跡とは?
活動紹介

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池に落ちたゴミを拾うゴミブルーたち。下に降りている一人の手を、別のブルーが支えて引き上げている

スウィングの「ゴミコロリ」が、ついに200回目を迎える!

町に溢るるゴミある限り、我らの戦い終わりなし。
拾うはゴミでも心は錦、見た目は青でも心は真っ赤。
嗚呼、さすらいのゴミ野郎、嗚呼、我らゴミコロレンジャー!

京都市内を中心に「ゴミコロリ」という名のゴミ退治(清掃活動)を繰り広げる、「まち美化戦隊ゴミコロレンジャー」をご存知でしょうか? 真っ青な戦隊服とお揃いの青ゼッケンをユニフォームに、やって楽しく、見てオモシロく、冒頭の名乗り口上を携えてまち中の美化に取り組んできた、全員ブルーカラーのローカルヒーローです。

そんなゴミコロレンジャーたちの活動がいよいよ200回を迎えることとなり、主催する福祉施設〈スウィング(Swing)〉は2025年6月15日(日)、一般参加者を交えてゴミを退治する「♡祝・第200回ゴミコロリ♡」を開催。併せて、17年間の活動のなかでメンバーたちによって指定された「ゴミコロリ史跡」を巡ります。

京都・嵐山の橋のたもとでゴミ袋を手にしてポーズをとる、青い戦隊服を着たゴミブルーたちの写真)
京都・嵐山にてゴミコロリを行う、まち美化戦隊ゴミコロレンジャー(撮影:スウィング)

ゴミコロリ、17年の軌跡

この活動を行う〈スウィング〉は、京都・上賀茂に拠点を構え、障害のある人・ない人およそ30名が働く福祉施設。「べき」や「ねば」といった仕事観や芸術観に疑問符を投げかけながら、世の中が今よりほんの少しでも柔らかく、楽しくなることを願い、さまざまな創造的実践を繰り広げています。

〈スウィング〉の定義する「仕事」とは「人や社会に対して働きかけること」であり、対価の有無にとらわれない活動を〈OYSS!〉(オイッス!/O=おもしろいこと・Y=役に立つこと・S=したり・S=しなかったり)と称して、さまざまな取り組みを展開してきました。その代表的活動のひとつが、2008年10月にスタートしたゴミコロリです。

当初は青いゼッケンを全員のユニフォームとしていましたが、第50回(2012年11月)には満を持して戦隊服スタイルの「ゴミブルー」が登場。時には警察に通報されながら市中のゴミをコロリし、地域の人々と触れあいながら少しずつ距離を縮め、街ゆく外国人観光客や修学旅行生にも人気のヒーローへと昇華しています。

まち中で警察官に身分証明書を確認されているゴミブルーの写真
(撮影:スウィング)
未就学児たちと公園で戯れるゴミブルーたちの写真
今では近所の子どもたちから「ゴミブルーだ!」と声援が送られ、握手を求められることも(撮影:スウィング)

「圧倒的に良いことを押しつけがましさのない活動に変えること」「誰でもできる単純作業を魅力的な活動に変えること」そんな活動趣旨に賛同する団体・個人を募集すると、北は福島から南はベトナムまで、世界各地から参加希望の声が。現在は29の団体と個人が「ゴミコロ支部」として活動を行っています。

第100回となった2017年2月には、一般から参加者を募り「祝!第100回ゴミコロリ」を開催。総勢63名のゴミコロレンジャーが上賀茂の地に集結しました。ゴミ退治のあとは、お疲れ様会や豪華賞品満載の「ゴミビンゴ」を行い、大いに盛り上がったのだとか。

渋谷のまち中でゴミコロリを行うゴミブルーたちの写真
東京・渋谷でも「出張ゴミコロリ」を実施(撮影:佐藤基 画像提供:東京都渋谷公園通りギャラリー)

また2022年3月には、ゴミコロリを通じて出会った東九条に暮らす12名の“捨てられないもの”に関する記録を公開した展覧会「blue vol.2 ― 捨てられないものが物語ること」を開催。成田舞さんの写真、片山達貴さんの映像を交えて多層的に展示し、話題を呼びました。

清掃活動を通じたさまざまな実践を行いながら、多少の悪天候にめげることなく、毎月第3水曜にゴミ退治を行っているゴミコロレンジャーたち。その実施回数もいよいよ200回という節目を迎えます!

ゴミコロリ17年間の史跡も巡る⁉ 「♡祝・第200回ゴミコロリ♡」

2025年6月15日(日)、「♡祝・第200回ゴミコロリ♡」が開催されるのは〈スウィング〉の拠点である上賀茂エリア。3グループに分かれてゴミを退治し、終了後はお菓子と飲み物がふるまわれる「お疲れ様会」と、豪華賞品(⁉)が当たる「ゴミビンゴ」を実施。お祝いムードの1日となる予定です。

近年は、宅地開発やコロナ禍による清潔志向もあってか「深刻なゴミ不足」にあるという当該エリア。そこで今回は、清掃活動の合間に「ゴミコロリ17年間の史跡」案内も予定されています。

交番の中で待機する、青い火ばさみを手にしたゴミブルーの写真
ゴミコロリ史跡のひとつ「上賀茂交番/ゴミブルー記入しかけ跡」。第101回(2017年3月)にメンバーがクレジットカードを拾って届けた際、遺失物届の氏名欄に「ゴミブルー」と記入しようとした、という逸話が残る史跡。ちなみに、覆面のまま交番内に入っても逮捕されないという関係性がすっかり構築されている(撮影:スウィング)
青い戦隊服と覆面のまま、コンビニで買い物をするゴミブルーの写真
覆面のままコンビニでのお買い物も、いつしか当たり前の風景に(撮影:成田舞)

オモシロいことや役に立つことを、したり、しなかったりする〈OYSS!〉の実践として、対価の有無にとらわれず、毎月欠かすことなく17年間大切にしてきたゴミコロリ。その根底にある思いは、〈スウィング〉の代表・木ノ戸昌幸さんによって以下のように綴られています。

人は何のために働くのか? お金を得るためだけだろうか? 本来、幸せになるための「手段」であったはずのものが、いつの間にか「目的」になり変わってやしないだろうか? お金は大事だ。かなり大事だ。けれど人や社会に対して何か役割を感じたり、自信を持って力を発揮したり、毎日の暮らしに幸せや豊かさを感じるために、必ずしもお金が必要だとは限らない。お金は大事。かなり大事。でもきっとそれだけじゃない ―――
(ブログ「Swinging days」より)

今回の「♡祝・第200回ゴミコロリ♡」は5月末で募集が締め切られていますが、201回以降についても、毎月第3水曜日に開催が予定されています。公式サイトから申し込みができ、誰でも参加可能です。

また、活動の様子は〈スウィング〉のブログやSNSで随時発信されています。ぜひInformation欄のリンクからチェックしてみてください。ゴミコロレンジャーたちの活動を通じて、働くことの意味、生きていくうえでの大切なこと、本当の幸せなどなど、考えを巡らせる機会になるかもしれません!