スウィングでは各々のファッションセンスが見事にバラバラである。「お、いいね」と伝え合うことはあっても、統一感みたいなものがまるでなく、誰も他の誰かに似ていないのだ。当たり前のことなんだけれど、ここでは何を着ても、どんな髪型をしても許される。ゴミブルー(※注1)のままデスクワークをしていたって何も言われない。
<個性>だとか<多様性>だとか<自己実現>だとか、脱け殻のような言葉を駆使して考えこんだり議論するフリはいったんやめて、そして何かに合わせて<置きにいく>のはもうやめて、自分が本当に着たい服を身にまとい、胸を張って外へ出よう。いつもの景色が変わって見えるはずだよ?(木ノ戸昌幸)
※注1:清掃活動「ゴミコロリ」に登場するローカル戦隊ヒーロー「まち美化戦隊ゴミコロレンジャー」の構成員。全員、ゴミブルー。
この連載について
「生き方は、ひとつじゃないぜ。」
京都府・上賀茂に所在する生活介護事業所〈スウィング〉のウェブサイトに、書かれている言葉です。
スウィングの活動はさまざま。絵・詩・?の芸術創作活動「オレたちひょうげん族」、戦隊ヒーローのブルーに紛したメンバーがまち中でごみを拾う「ゴミコロリ」、「世の中、意味があることが多すぎる!!鼻クソみたいにどうでもいいことを話したい」とはじまった「Swing鼻クソRADIO」など、既存の仕事観・価値観に問いかけを投げつつ、創造的な取り組みを重ねています。
この連載では、そんなスウィングから「贈る言葉」をお届けしています。(こここ編集部 垣花)
Information
SWING SKY CLUB 会員募集中!
- 失敗だらけの旅、ご一緒しませんか? -
思うに任せぬ人生だから「うまくいく」なんて稀なこと。むしろ失敗、基本やん(Shippai Kihon Yan=SKY)。
けれどなぜか失敗に対して異常に冷たかったり、過剰に失敗を恐れなければいけない残念な社会です。
株式会社NPOおよび福祉施設<スウィング>は、そんな窮屈で息苦しい世の中のセーフゾーンをジワジワと拡張すべく、ギリギリアウトを狙ってさまざまな活動を展開しています。
そんなわたしたちの失敗だらけの活動を、会費というカタチを通じてご支援ください!
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Profile
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木ノ戸昌幸
株式会社NPO 代表取締役
1977年生まれ・愛媛県出身。株式会社NPO代表取締役、元NPO法人スウィング理事長、フリーペーパー『Swinging』編集長、スウィング公共図書館CEO。引きこもり支援NPO、演劇、遺跡発掘、福祉施設勤務等の活動・職を経て、2006年、京都・上賀茂に<スウィング>を設立。仕事を「人や社会に働きかけること」と定義し、清掃活動「ゴミコロリ」、芸術創作活動「オレたちひょうげん族」、京都人力交通案内「アナタの行き先、教えます。」等の活動をプロデュース。ギリギリアウトを狙った創造的実践や発信を通して窮屈な社会の規定値を拡張したいと願う。単著に『まともがゆれる ―常識をやめる「スウィング」の実験』(2019/朝日出版社)。
(プロフィール写真撮影:Numata Ryohei)
Profile
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更田麻美
1980年生まれ・京都府京都市在住。2007年よりスウィングに所属。「私に絵は描けない」と長らく決めつけていたが、2020年、スウィング主催の展覧会で似顔絵を描いたことをきっかけに制作をはじめる。鉛筆での下書きは書き直しが永遠に終わらないため、書き直せない墨汁を下書きに使用、今や「全ては墨汁の線にあり」が芸術的信条。スウィング公共図書館館長、ちゃみブルーなど様々な顔を持つが「いちばん大事にしたいのは更田麻美、自分自身」。よくしゃべる。描きながらもしゃべっている。