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表現を通じて変化する心と体を描いたドキュメンタリー映画『へんしんっ!』6/19劇場公開
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へんしんっ!ポスターがぞう
2021年6月19日から劇場公開されるドキュメンタリー映画『へんしんっ!』

多様な「違い」に触れて、変化する心と体

障害のある人の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー映画『へんしんっ!』が2021年6月19日(土)より劇場公開されます。

本作の監督を務めるのは石田智哉さん。電動車椅子を使って生活する大学生です。映画は、石田監督が取材として表現者に話を聞きにいくところから始まります。訪ねたのは、振付家・ダンサーの砂連尾理さん、ろう者でパフォーマーの佐沢静枝さん、全盲の俳優・美月めぐみさん。

みぎがわにいしだかんとく、ひだりがわにみづきさん。インタビューするようす
俳優・美月めぐみさんの稽古場でインタビュー (C)2020 Tomoya Ishida

多様な「違い」を橋渡しする人々の表現に触れながら、インタビューを重ねていく石田監督。取材を続ける中で、どのように映画として形にしていくかが言葉にできず、もどかしさと不安を募らせます。

その不安は共に映画をつくる2人の制作スタッフにも伝わり、制作進行もスムーズには進みません。そんな中、監督は「対人関係でちょっと引いちゃうんです。映画でも一方的に指示する暴君にはなりたくないと思っていて……」と打ち明けます。やがてスタッフと監督は対話を重ねるようになり、互いに関わり方を模索し、映画のつくりかたが変化していきます。

石田監督の心と体にも大きな変化が訪れます。砂連尾理さんに誘われた石田監督は、パフォーマーとしてコンテンポラリーダンスの舞台に立つことに。それは石田監督自身の、新たな表現への可能性をひらくはじまりでした。

じゃれおさんのてをみつめる、いしだかんとく
砂連尾理さんと手でダンスをする石田監督 (C)2020 Tomoya Ishida

撮る側と撮られる側の境界を越境する、新しいドキュメンタリー

本作は、自主制作映画のコンペティション、第42回ぴあフィルムフェスティバル「PFF アワード 2020」でグランプリを受賞しました。審査に関わった映画のプロたちから「とにかく興奮した」「映画をつくる楽しみが画面全体から伝わってきた」と激賞されています。

この映画の面白さのひとつは、撮る側と撮られる側の境界線が曖昧であることです。石田監督は監督でありながら、主役でもあります。さらに撮る側であるスタッフチームの葛藤など、作品づくりの裏側もドキュメンタリーとして本編に織り込まれ、主要なテーマとなっていきます。

「自分の姿を映像で見続け、自分の声を聞き続け、あれこれと思い悩みながらパソコンを使って言葉をつづり続け、本作は完成した。この過程によって、自分が何をすることに“よろこび”を感じるのかが以前よりも、少しだけ、はっきりと分かったような気がする」。そう石田監督が語るように、映画づくりを通して監督の心と体がまさに「へんしん」していく様がこの映画には刻まれます。

監督が探求したものを表現し共有する、オープン上映

6月19日からスタートする劇場での上映は、石田監督が探求したものを表現するため、「日本語字幕」をスクリーンに投影し、「音声ガイド」を劇場内のスピーカーから流します(注)。この上映方法は、みんなで観ることによる気づきや発見をシェアしたいとの思いから、「バリアフリー上映」ではなく、「オープン上映」と名付けられました。はじめは 驚きや戸惑いもあるかもしれませんが、ひとりで観ているだけでは気づかない新たな発見や面白さを感じることができるでしょう。

ぜひ劇場でご覧になって、自分自身の心や体にどんな「へんしん」が起こるか体験してみてください。

注:ユニバーサルシアター シネマ・チュプキ・タバタでは、音声ガイドは劇場内のスピーカーではなく、イヤホンから流れます。

いしだかんとくのまわりにつどう、キャストたち
キャストが一堂に集うラストのダンスシーンは必見です (C)2020 Tomoya Ishida