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アール・ブリュット2022巡回展「かわるかたち」が〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉で開催中。都内3カ所を巡回
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黒地に、色とりどりの形が描かれた展覧会イメージ画像。左上に白い文字で、展覧会タイトルが乗っている
〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉で2022年9月25日まで開催中の「かわるかたち」。その後〈練馬区立美術館 区民ギャラリー〉〈府中市美術館 市民ギャラリー〉を巡回して、12月4日まで開催されます

いろいろな素材によるさまざまな表現が、都内3カ所を巡回

「かたち」をキーワードに、国内外で活躍の場を広げる10名の作家を紹介する展覧会、アール・ブリュット2022 巡回展「かわるかたち」が、〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉(東京都渋谷区)で開催中です。

絵画や立体作品など、いろいろな素材でつくられる、さまざまな表現を紹介するほか、以前〈こここ〉でご紹介した本展のプレイベント「本田まさはるさんと、街ぶらライブペインティング」の完成作品や、制作過程を記録したドキュメンタリー・ムービーなども公開されます。

本展は、〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉が東京都と共に主催する、アール・ブリュット(※注)作品を紹介する展覧会です。都内3カ所を巡回予定で、2022年9月25日(日)までの〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉の会期後、10月27日(木)から11月2日(水)まで〈練馬区立美術館 区民ギャラリー〉(東京都練馬区)、11月25日(金)から12月4日(日)まで〈府中市美術館 市民ギャラリー〉(東京都府中市)にて開催されます。

注:「アール・ブリュット(生の芸術)」は、フランスの芸術家ジャン・デュビュッフェが提唱した言葉。〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉では、専門的な美術教育を受けていない人が独自の発想と手法で創作したアートとして紹介している。

右側に横辺が長い大きな絵が1枚、左側に縦辺が長い小さめの絵が2枚飾られている
アール・ブリュット2022「かわるかたち」会場風景。〈やまなみ工房〉に所属する井上優さんの、人の顔をテーマにした作品。鉛色に光るほど鉛筆で塗りこめて描かれている

「かわるかたち」とは

展覧会のタイトル「かわるかたち」の「かたち」は、「形」「容」「象」「貌」などの漢字で書き表され、姿や形状などのほか、ものごとの様子や状態を表すときにも使われます。本展では、この「かたち」という言葉のように、印象の異なるさまざまな表現を紹介します。

出展作品には、色鉛筆やボールペン、カラーペンや水彩絵の具などの画材、布、糸、チラシなど、生活の中で出会う素材が使われています。なぜその素材でつくるのかということに、創作と日常の切り離せない関わりを感じることができます。作家ひとりひとりの創作のプロセスやストーリーが見えてくるところも、本展のみどころのひとつ。身近な素材を用いてつくられる多様な表現を通して、創造の根源的な魅力に迫ります。

10人の作家による、独自の表現のかたち

・稲田萌子さん

紙を擦る感触を楽しむかのように円を描く動作を繰り返す稲田さん。「アトリエにおじゃまします vol.01」で紹介した〈クラフト工房La Mano〉に所属しています。色鉛筆を用いて、複数の色を混ぜ合わせて描いた円環の内側は、光を帯びているよう。その伸び伸びとしたストロークには描く動作そのものへの喜びが宿っているようです。

ピンクの線で円環が画面いっぱいに描かれている
《無題》2019年(2019. 3. 14) 画像提供:クラフト工房 La Mano ※参考画像

・佐々木早苗さん

ひしめきあう丸や四角の色面は、ボールペンやカラーペン、刺繍による線の集積で描かれています。よく見ると隙間にも無数の線が集まっていて、それぞれには同じ形がなく、浮遊しているようにも見えます。〈るんびにい美術館〉の創作グループ「こころと色の工房 まゆ〜ら」で活動している佐々木さんは、30代まで農作業に携わり、1996年頃から習得したさをり織りをきっかけに創作の世界が広がりました。

黒い画面を背景に、赤い縁取りで、カラフルな模様が無数につながった布がある
《無題》2008-2012年頃 作家蔵 画像提供:るんびにい美術館

・吉川秀昭さん

「アトリエにおじゃまします vol.03」で紹介した〈やまなみ工房〉に所属する吉川さん。粘土の表面に刻まれた模様のように見えるものは、顔のパーツの集合体です。独自のリズムで、目、目、鼻、口を平面や立体に繰り返し描くスタイルで、30年以上も作り続けているそう。鋭く削ぎ落とされた粘土の表面には、無数の目、目、鼻、口が、上部から下へ連なるように刻まれています。

鋭く尖った粘土の置物が8体ほど並んでいる
《目・目・鼻・口》2017-2018年 やまなみ工房蔵 画像提供:やまなみ工房

・本田雅啓さん

さまざまなモチーフを幾何学模様と色面で構成した絵のほか、本展のプレイベント「本田まさはるさんと、街ぶらライブペインティング」で2022年春に公開制作した作品を展示。あわせて、制作過程を記録したドキュメンタリー・ムービー「シブヤノマチナミ」(クリエイティブディレクター・撮影:池田晶紀さん)を公開しています。

そのほかにも、独自の視点でモチーフを切り取る青木尊さん、オリジナルのキャラクターの立体を無限に創造する萩尾俊雄さん、人をテーマに描き続ける井上優さん、モチーフの世界観を心象風景のように描き出す五十嵐朋之さん、濱中徹さん、渡邉あやさんなど、それぞれの作家による独自のかたちと表現を鑑賞することができます。

展示会場の両側に大きな絵が飾られている。真ん中の黒い台の上にも作品があるようだ
アール・ブリュット2022「かわるかたち」会場風景 撮影:ただ(ゆかい)

また、〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉では、俳優の小関裕太さんによる音声ガイド(※)を無料で聞くことができるほか、学芸員によるギャラリートーク(申込不要、先着順)や全盲の美術鑑賞者・白鳥建二さんをナビゲーターに迎えた鑑賞会「みると話(わ)」(定員に達したため締切)が開催されます。

※音声ガイドは〈東京都渋谷公園通りギャラリー〉のみ

作品の解説や人と一緒に作品をじっくり観てみることで、ひとりでは気が付かなかった新しい発見に出会えるかもしれません。

ぜひ会場で間近に作品を鑑賞し、造形的な面白さやこだわりが詰まった表現の多様さに触れてみませんか。